キム・ヘス主演であり、韓ドラ界の元祖母ことキム・へスクとの再共演が話題となっている『シュルプ』や、「ゴッド・グンミン」の名で親しまれる演技派ナムグン・ミンの最新法廷ドラマ『わずか1000ウォンの弁護士』など、韓ドラ界のスターたちがこぞって出演する話題作が続々と登場！ 話題性もストーリー性も申し分ない、おすすめ最新韓国ドラマ４作品をぜひ視聴リストに加えてみては？
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約19年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『シュルプ』／新たな表現で、強く優しい「母」の姿を描く時代劇
部屋では優雅に刺繍をし、散策する姿は静々と。朝鮮王朝の王妃といえばそんなイメージ。でもこの王妃はまったく違います。とにかく宮中を走りまくる。まなじりを決して、時には早歩きで、時にはチョゴリをたくしあげて全力で。そして、身体よりも想いが先んずるかのようにいつもいつも前のめり。それもこれも、すべて愛する我が子を守り抜くため。我らがキム・ヘス姉さんの20年ぶりの時代劇となるこのドラマ。
『シュルプ』とは古代朝鮮語で傘を意味する言葉。王子たちの成長と幸せを守りたい母・王妃の想いがその言葉に深く深く込められているのです。舞台となるのは朝鮮王朝架空の時代。後ろ楯となる外戚のいないファリョン王妃（キム・ヘス）が産んだ王子は５人。その長子となる世子（ぺ・イニョク）は文武に秀でているだけでなく、親想い、弟想いの完璧息子。なのに以下４人の大君は今まで放任してきたせいか、軒並み劣等生。しかも、王妃を困らせるトラブルを次から次へと。そんななか、頼りの世子が突然病に倒れたことから、ファリョン王妃の胸締め付けられる奮闘が始まるという次第。世子の病は20年前に亡くなったテイン世子と同じ。当時のユン王妃（ソ・イスク）は世子の逝去と同時になぜかすぐに廃妃とされ、嫡流ではない今の王（チェ・ウォニョン）が世子となったという経緯が。折りしも、宮中では側室たちが虎視眈々と世子の座を狙っているようでもあり、王の母・大妃（キム・ヘスク）の何やら不穏な動きも……。ユン王妃の王子たちがその後も次々と殺害されたと知ったファリョン王妃は、可愛い息子らを守るべく敢然と立ち上がるのですが……。
とにかく圧倒されるのはやっぱりキム・ヘス姉さんの王妃っぷり。ダメ息子たちの尻を叩きまくる教育ママとして笑わせつつ、息子たちのありのままの個性を尊重し、最後まで信じきる絶対的な強さと優しさ。その圧倒的な存在感と演技はもちろん圧巻で、子を持つ母、いや、人としてこうあるべきと思わず号泣させられるエピソードが目白押し。王妃vs大妃のキム・キム対決も背筋が凍るド迫力。22年下半期の揺るぎない大傑作です。さらに大注目してほしいのが、二男ソンナム大君を演じている新進気鋭のムン・サンミン。今、私の周りでは彼の話題で持ちきり。次世代の大スター間違いなしの逸材は、即チェックを！（さすらいのライター山崎）
『わずか1000ウォンの弁護士』／型破り弁護士の一挙一動に笑いが止まらない！
「ゴッド（神）グンミン」と愛され、韓ドラ好き視聴者から絶大な信頼を寄せるナムグン・ミン。最高視聴率15.2%とさすがでございます。時に真面目に、時に愉快に、時にエキセントリックな言動（演技ですが）で、我々の心を鷲掴みにしてくる。まずもってタイトルからして惹きつけられませんか？ 日本円で約100円。超超超格安ですけれど、この受任料で解決してくれる弁護士なんて逆に怪しくないか？と。ところがグンミン演じるジフンが「なぜこの金額にこだわるのか？」が物語中盤からジワジワと映し出されてきて、そこからどっぷり沼落ちする痛快法廷ストーリーになっているというわけです！
父の法務法人ペクで試補となったマリ（キム・ジウン）がとある裁判でジフンにこてんぱんに敗訴したことから、父の命を受けてジフンの薄汚〜い事務所で見習いをすることになるんですね。なにが自分に足りないのか学んでこいと。で、ジフンと事務長のムジャン（パク・ジヌ）とスリーマンセルで動くことになるのですが、受任料に驚き、ジフンの型破りな戦略に唖然とし、兎にも角にも毎日振り回されジェットコースター状態。優しいハラボジ（祖父）にイチャモンをつけてきた悪徳おじさんの車にわざと荷台をぶつけたり（このシーンのグンミンがキレッキレ）、詐欺を働く自動車販売会社に潜入し、「もう帰ってくれ」と思わせるほどのサイコっぷりで詐欺師たちを追い詰めたり、常にジフンの言動は予測不可能かつぶっ飛んでいる！ そんなジフンに怒り心頭な一方、心の片隅ではなぜか「弁護士」として信頼し始めているマリがいると。前半はとにかく笑いが絶えないシーンばかりなのですが、「これ同じ作品？」と思うくらい中盤からガラッと変化し、法廷×サスペンス×スリラーの要素がギュギュギュッと詰まっています。
やることなすこと面白おかしく、掴みどころのない、ジフンの“検事時代”の過去。本作のキーワードはそこにあるんですね。ジフンがなぜ検事を辞めて弁護士になったのか、なぜ受任料を1000ウォンにしているのか、ひとつずつ明らかになるたびに切なく、愛おしく、ジフンと物語の終着点が気になって仕方なくなる。マリ役のジウン、ムジャン役のジヌをはじめ、これまでグンミンと何度も共演したことのある俳優陣が揃っているためにケミの良さも保証します！ （エディターK）
『グリッチ −青い閃光の記憶−』／新感覚SF作品が誕生
韓ドラフリークであれば、「カルト集団」をテーマとしたドラマを何度か目にしたことがあるはず。韓国はキリスト教国としても知られていますが、端的に言うと「やばい」新興宗教もた〜くさん潜んでいるんですね。よく渡韓した日本人がターゲットにされるなどという話も耳にしますが、本作は宇宙人が見える（と思っている）主人公ジヒョ（チョン・ヨビン）がカルト集団の餌食になり、大きな陰謀に巻き込まれていくという最新サスペンス物語……に、なんちゃってスリラーとコメディ要素をふんだんに交えて表現した新感覚ドラマになっております。どんな調合!?と気になって食べ進めてしまう本格カレー流の痺れがすごい！！
コネでデザイン会社に入社し、交際中のシグク（イ・ドンフィ）とは結婚間近と、周囲から見れば「順風満帆」な人生を歩むジヒョ。ところがジヒョには人には言えない秘密が。そう、昔から普通の人の目には映らない「宇宙人」が見えてしまうんですよね。一時期落ち着いていた幻覚が再発し、これが原因で恋人のシグクに「もう無理よ」と一方的に別れを告げた翌日、なんとシグクが失踪。「え、宇宙人に連れ去られた？」と疑い始めたジヒョが、SNSで検索したオカルト集団「タルクニョンTV」のオフ会に顔を出すと、そこにいたのはかつての友人で宇宙人オタクだったボラ（AFTERSCHOOL ナナ）。ボラとともにシグク誘拐事件の真相や、中学時代にジヒョの身に起こった宇宙人拉致事件やらを紐解いていくなか、もっとも〜っと恐ろしい「天の光教会」こと、UFOカルト集団の存在に辿り着くわけです。彼らが崇拝し、探し求める“メシア”も本作のキーワードのひとつで、ジヒョがとんでもない出来事に巻き込まれていくんですね。魂の救済を求めて「集団自殺」を平気でしてしまうという……恐怖世界。
ここまで読んでいただくと『地獄が呼んでいる』を連想させてしまうかもしれませんが、こちらが食べる人を厳選する超絶辛口カレーだとすると、本作は創造豊かなインド風カレーのようなイメージ。一口目はマイルドでありながら時にスパイシーで、SF要素に加え、随所にちりばめられた笑いのセンスの虜にさせられてしまう。ネタバレになるので詳細は伏せますが、とある話で披露されるジヒョのドレス姿が絶妙にダサく、塩梅が最高なんですよ！！ 細やかな演出は本当にあっぱれ。サスペンス好きは問答無用で視聴、苦手な方もぜひトライしてみてほしい作品です。（エディターK）
