年末年始の一気観にも! 2024年、Netflixで配信された話題の韓国ドラマ13選
SPUR.JPの韓ドラ班がご紹介してきた様々な韓国ドラマの中から、今回は「2024年にNetflixで配信されたおすすめドラマ」にフォーカス! 一度観たらノンストップ視聴必至の話題作をぜひチェックして。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、20年間以上あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。
キム・ソヨン『貞淑なお仕事』/世間の偏見と真っ向から闘う、訪問販売シスターズに元気をもらえる
4人の女性が世間の偏見に真っ向から立ち向かう、エンパワメント作品の見どころをエディターKが解説。
性について女性が自由に語ることができなかった1992年の田舎町クムジェを舞台に、解放的なランジェリーとアダルトグッズを訪問販売する4人の女性たちにフォーカスされた物語。韓国でもなかなか珍しく、食い込んだジャンルです。主演キム・ソヨンを筆頭に名俳優が揃っていて、メインの4人の感情や人生観を丁寧に描いているからこそ、笑えて、心に刺さる作品に仕上がっています。これまで“世間の目”によって抑え込まれていた反骨精神が呼び起こされ、周囲の目や噂を気にせず、“欲望”を前に突き進む女性たちの姿に、またひとつエンパワメント作品が生まれたなという感じ。キム・ウォネなどの脇を固める俳優のバランスも良く、適度なコミカルさも絶妙です。この仕事がなければ決して交わらなかったであろう4人が少しずつ距離を縮めていく姿とか、それぞれが秘める葛藤とか、内から湧き出る強さとか、視聴者が見たいシーンを上手に表現してくれるから爽快。現代にも通ずる点が多々あり、改めて社会問題と向き合えるドラマでもあると思います。
『貞淑なお仕事』について紹介している記事はこちら!
チョン・ソミン×チョン・ヘイン『となりのMr.パーフェクト』/“お母さんの友達の息子”という王道の幼馴染ラブに心ときめく
チョン・ヘインとチョン・ソミンで織りなす幼なじみロマンスの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
私ごとで恐縮ですが、この連載レビュー韓国ドラマ班スタッフは全員(といっても3人ですが)チョン・ヘイン(『D.P.-脱走兵追跡官-』)推しなのです。ということで、そのヘインさまの、なんと“お初”というラブコメの本作は期待半分、勝手に身内気分の心配半分でドキドキしながら配信開始を見守っていたという次第。しかも、ダブル主演の相手役はラブコメの名手でありロマンスの妖精ともいわれるチョン・ソミン(『還魂』)。もう、心配を内に押し込んで胸膨らまないわけがないと申しましょうか。
ドラマは、ふたりの高校時代(アラサー俳優が高校生の回想シーンも演じるのは最近の流行りか!?)を交えながら、ソンニュ(ソミン)とスンヒョ(ヘイン)の元カレ(婚約破棄の)元カノが登場したり、家族の小さないざこざを描いたり、もうひとりの幼馴染で救急隊員のモウム(キム・ジウン)と記者ダノ(ユン・ジオン)のサブカップルラブがあったりと盛りだくさんに進んでいくわけなのですが、うん?キュンキュン指数が、あら?低め安定? へインの初々しい高校生姿ありぃの、細マッチョな体を惜しみなく見せてくれる水泳のサービスカット(高校時代は有望な水泳選手だった)ありぃの、セクシーな額見せヘアスタイリありぃの、さらにさらにロマンス妖精ソミンとのキュートなケミも満載なのに、なぜ?なぜなんだ! わかりやすすぎるベタな脚本のせいなのか、演出があえてキュンキュンを抑え込もう作戦なのか? なのに、続きを観ずにはいられないふたりの力ワザ!
『となりのMr.パーフェクト』について紹介している記事はこちら!
キム・ユンソク×コ・ミンシ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』/ミステリースリラーに人間の心の闇を投影した話題作!
キム・ユンソク×コ・ミンシで織りなすサスペンススリラーの見どころをエディターKが解説。
ドラマの冒頭、毎度流れるナレーション「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」。私的インセンドラマ『五月の青春』のコ・ミンシが今回殺人犯に? しかも映画界でお馴染みの名優キム・ユンソクと対立するの? んでもって刑事役でふたりを追うのがイ・ジョンウンでユン・ゲサンも出演!?ということで、「これ絶対に面白いやつ」と確信していました。もう、大当たりです。そもそも血が飛び交うスリラー全般が無理という人には到底すすめられないけれど、思わず声を上げながら、目を覆いながら、細めながらも観てしまう人はぜひ。トチ狂った女性と無愛想おじさんのリアル対決が斬新で、1話から画面に吸い寄せられます。ノンストップ視聴(1日)で完走しました。それくらい勢いがある! ユンソク×ミンシのせめぎ合いは安定に面白いんですが、ユンソクの娘役を若手実力派のノ・ユンソが演じていて、ミンシとのバトルも女同士の戦いも迫力があり見どころ満載です。ミステリースリラーに、傷を負った人間の心の動きや闇を繊細に描いているために感情移入できるという仕立て。韓国はこういった魅せ方が本当に秀逸で脱帽します!
『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』について紹介している記事はこちら!
ソン・ガン×コ・ミンシ×イ・ドヒョン『Sweet Home -俺と世界の絶望-』シーズン3/大人気作品の最終シリーズがついに配信
ソン・ガン主演の大人気シリーズドラマの最終章の見どころをエディターKが解説。
ついにラストシーズンが配信されました。オンボロマンション「グリーンホーム」の住民と、突如現れた怪物との絶望的な戦いをエキセントリックな見せ方で繰り広げたシーズン1。「真の怪物はどちらか?」にスポットライトを当て、人に危害を加えない怪物さえも関係なく一律に抹消する人間の残酷な行為を通じて、現代社会の闇に踏み込んだシーズン2。物事の本質への問いも感じられました。そして今回のシーズン3。主演ソン・ガン演じるチャ・ヒョンスをはじめ、グリーンホームで離れた兄を待ち続けるイ・ウニュ(コ・ミンシ)、元特殊部隊の消防官で“怪物”の子を産んだソ・イギョン(イ・シヨン)など、それぞれのキャラクターたちの覚悟や決着のようなものがうかがえるシーズンになっている。大人気作品なので賛否両論のある終わり方ではあったものの、ほぼCGのなかここまでしなやかで迫真の演技を見せてくれた俳優陣と、勢いある演出で視聴者の感情を揺さぶった製作陣の気概には頭が上がりません。
壮大なスケールで描いてきた物語もついにクライマックス。作品の演出方法としても観る人を選ぶ作品であることは間違いないけれど、単なる怪物VS人間の戦いではない、社会への強いメッセージを感じさせるドラマだけに、そのストーリーの全貌をぜひ確かめてみてほしい。
『Sweet Home -俺と世界の絶望-』について紹介している記事はこちら!
チョン・ウンジ×イ・ジョンウン『Missナイト&Missデイ』/ラブ、コメディ、ヒューマンにスリラーの要素も薫らせて
チョン・ウンジとイ・ジョンウンで織りなすドタバタヒューマンラブコメディの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
味のある個性派Apinkのチョン・ウンジが突然、『パラサイト 半地下の家族』のあの家政婦役の名バイプレイヤー、イ・ジョウンのビジュアルになってしまったら……。想像するだけでなんだか愉快になってくるこの設定&配役がもはや勝利していると言いましょうか。ウンジ演じるヒロインのイ・ミジンは間もなく30代に突入する20代崖っぷち。公務員試験に何度も挑戦すれど、成績は優秀なのになぜか7年間落ち続けている流浪の就活生。さらに就活詐欺に遭い母から預かった大切なお金も奪われボロボロ。そんなある日、一匹の猫を助けたことがきっかけで、日の昇っている間だけ30歳も年上のおばさん(イ・ジョンウン)になってしまうという事態に。物語はケ検事(チェ・ジニョク)とミジン(ウンジ)の過去に関係するであろう失踪事件につながるミステリーサスペンスと、ミジンをめぐる検事VSアイドルの三角関係ロマンスが同時進行しながらハラハラドキドキの展開を見せてくれそうな予感。チェ・ジニョクのツンデレぶりも板についているし、ペク・ソフのアイドル役もキュート。私的にはふたりのイケメンとイ・ジョンウンとのそれぞれのラブシーンをぜひともお願いしたいところなんですが、はてさて。それにしても、猫を助けたのにビジュアルが歳取っちゃうなんて、酷すぎません? お礼にもっといいご褒美をくれても良さそうなのに……と思うところに、今回のドラマのテーマも隠れていそうで、そちらも楽しく見届けたいと思います。
『Netflixシリーズ『Missナイト & Missデイ』独占配信中』について紹介している記事はこちら!
イ・チェミン×ノ・ジョンウィ『ヒエラルキー』/上位0.01%の学生たちの深い闇が映し出される
イ・チェミンやノ・ジョンウィなど、若手注目株が揃った話題作の見どころをさすらいのライター山崎が解説。
上位0.01%という韓国トップクラスのご子息ご令嬢が通うケタ違いにハイソなチュシン高校が舞台。「ノブレス・オブリージュ」の精神に則って、この高校には奨学生制度が設けられており、つまり、社会貢献の名のもとに庶民の生徒たちも学費免除で受け入れているのですが、トップの生徒は校長さえも抗えない絶対的な権力を持っており、その金持ち度合いによって決められる圧倒的なヒエラルキーが形成されている(当然奨学生は最下層)……というのが物語のバックボーン。カン・ハ役のイ・チェミン(『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』などで人気上昇中)や、キム・リアン役のキム・ジェウォン(『私たちのブルース』でチャ・スンウォンの高校時代を演じた)など、次世代オーラ感バリバリの存在感もさることながら、やっぱりヒロイン、ジェイ役のノ・ジョンウィです。とにかく美しいし麗しいし。思えば『その年、私たちは』でチェ・ウシクに片想いする金髪のアイドル役を演じていた彼女。それとはまったくイメージ違う今回のヒロインは、絶望のような憂いをはらんだ超絶クラシックな美貌が圧巻で、吸い込まれるように見入ってしまったという次第。物語的にはひょっとしてシーズン2あり?的な結末。だとすれば、今度はすべてのピースがぎゅーっとロマンスに集中していく身悶えするような展開をぜひとも〜。
『ヒエラルキー』について紹介している記事はこちら!
チャン・ギヨン×チョン・ウヒ『ヒーローではないけれど』/超能力と現代社会を味わい深くミックス!
チャン・ギヨンとチョン・ウヒで贈るヒューマンロマンスの見どころをエディターKが解説。
なんだか序盤はストーリーもふわふわしているというか、曖昧な部分が多く、間の取り方とかも独特。だからこそ「ん?つまんない?」と視聴をやめてしまう人がいたら3話まで観てほしい。そこからグッと物語にのめり込めるはずです。完全ファンタジー設定なんだけれど、現代社会の風潮をうまく盛り込み、ここに良質なメロとヒューマンを入れ込んでいて、決してとっ散らかっていない。
ポク家の遺産目当てでマヌムが通うスパのマッサージ師として潜入するダヘ(ウヒ)。そう、詐欺師なんですよ。ダヘの施術を受けるとよく眠れる!と感動するポク家の母マヌムが(実は睡眠薬を入れているだけ)、鬱病のギジュ(ギヨン)をなんとかせねばとふたりを恋人にさせようとするんです。それがダヘには願ったり叶ったりで、ポク家の妻となってお金をむしり取る算段。ところがです。惹かれ始めてしまうんですね、ギジュに。常套句だけれどまんまとときめくメロパート。なんと言っても「気怠い雰囲気で色気ダダ漏れ」なギヨンに心奪われます。もちろんギジュも最初こそ拒みまくりでしたが、なんとダヘといることで能力が復活! しかもギジュが戻った過去では皆がモノクロに見え、決して触れたりできないにもかかわらず、ダヘだけは色が付いていて、触れられる。この理由は何なのか?が物語の核心になりそうです。実は悲しい過去を背負うダヘの切ないシーンも胸にグッと響くので、未視聴の方は騙されたと思ってぜひ。
『ヒーローではないけれど』について紹介している記事はこちら!
リュ・スンリョン×アン・ジェホン『タッカンジョン』/笑いのなかに隠された“不条理”がスパイス
ひとりの女性が韓国の大人気フード「タッカンジョン」に変身!? コメディタッチの衝撃作の見どころをさすらいのライター山崎が解説。
タッカンジョンとは韓国の甘辛から揚げのことです。私も大好きな食べ物ですが、な、な、なんと!そのタッカンジョンにですよ、うら若き娘が変身してしまった!!というのがこのドラマの発端です。かなりシュールです。不条理です。だから、きっと好き嫌いが大きく別れるやもしれませんが、実は私的にはナップジアナ(悪くない)。というか、むしろ好き。というか、深い感慨すら覚えるというか。きっと小劇場芝居が好きな人なら、かなり楽しめるんじゃないかと。ジャンルはミステリーコメディなのですが、日常の世界を舞台に、コミカルというパワーを借りながら日常から大きく逸脱した世界へとパーンと飛ばしつつグーッと引き込み、そして、ことの真髄に触れていく……、そんな感じ。主演のふたりはもちろん、すべてハマり役としか思えない絶妙のキャスティングといい、彼らが迫真の演技で紡いでいく不条理喜劇を圧巻のハートフル物語に仕立て上げる監督イ・ビョンホンのセンスと手腕といい。だから、あろうことか何度もジーン。「うー、不味い。でも、もう一杯」。そんな昔の青汁みたいな忘れがたい旨味。ぜひとも味わってほしいなあ。
『タッカンジョン』について紹介している記事はこちら!
キム・スヒョン×キム・ジウォン『涙の女王』/2024年最高級のロマンス!
キム・スヒョンとキム・ジウォンのケミストリーも話題になった2024年最高のロマンスドラマの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
『愛の不時着』の脚本家×キム・スヒョンという組み合わせだけでも、どんだけ面白いか想像に難くないのはもちろん、いやいや、その想像を超えてめちゃんこ楽しませていただいた点からすれば、やっぱり今期No.1の傑作です。財閥の娘と新入社員の世紀の結婚。それから3年目の離婚危機。そして、妻の余命宣告と財閥家乗っ取りを狙われる不穏。からの再びのロマンス。そう、韓国ドラマあるあるの目白押しなのではありますが、古臭いどころか洗練ささえ感じる巧みな演出は、「あえて“あるある”で調理しましたけど、何か?」的な作り手の自信とそれを裏付ける完成度の高さがひしひし。財閥の娘役のキム・ジウォンは、これまでのどの作品よりも超絶麗しく、氷のように冷たい眼差し&態度と、実はピュアで優しい内面とのギャップの表現に圧倒されることしきりなのですが、個人的にはやっぱりキム・スヒョン。冷酷な妻と理不尽な財閥家にボロボロにされていくスヒョンがとにかくおかしいし、めちゃんこキュート。コメディが上手い人が真の演技派と言われるけれど、三枚目だけに終らずどんどん強く優しく頼もしくなっていく二枚目ぶりも超絶カッコ良く、さすが!。
『魅惑の人』/演技派の共演が話題となった王道ロマンス時代劇
チョ・ジョンソク×シン・セギョンで繰り広げられる朝鮮王朝時代のロマンス時代劇の見どころをさすらいのライター山崎が解説。
囲碁の名手でもあるチナン大君(ジョンソク)は、ある大志のため賭け囲碁で資金を集めている男装の天才棋士(セギョン)と偶然、対局することになるのですが、囲碁を打ちながらお互いに心通わせたりするわけで。名前を明かさない彼(彼女)に大君は「モンウ(濠雨)」という名前までつけちゃったりなんぞして。実は、モンウは清廉な高官の娘で大君の誠実な言動に触れるにつれ、次第に惹かれてしまうわけですよ女子として。ところがです。そんな最中、王が急死。どうやら大君側の外戚高官らの陰謀絡みのようなのですが、それによりモンウの父は清に罪人として送られ、モンウもまた親友とともに捕えられてしまうという。
王イ・インとなった大君にモンウは友として助けを訴えるわけなのですが、政治のため王はモンウとの仲を切り捨ててしまうのです。親友は死に、多分父も助からない。かくしてモンウは復讐を決意、3年後、男装棋士として再び、王イ・インの前に現れるという次第。信じたいけれど信じてはいけない、復讐しなければならないのにまた惹かれてしまう……シン・セギョンの葛藤もまた萌えポイントですが、やっぱりチョ・ジョンソク。モンウの心を読みながら、何手先も見据えたその腹の内を静かに深く表現する演技力。絶品です。脇役陣の迫真の演技の応酬もさすが時代劇ならでは。大人のロマンス時代劇が好きなら必見。
チェ・ウシク×ソン・ソック『殺人者のパラドックス』/演技派共演にゾクゾク!
『その年、私たちは』のチェ・ウシクと『私の解放日誌』のソン・ソックのビッグネーム共演が話題のサスペンスドラマの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
ウシクが演じるのは大学生のイ・タン。平凡を絵に描いたような青年で、これといった夢もなく惰性で生きてきたような人生。ひとつだけちょっと人と違うのは、例えば先輩と浮気しても、友人のタブレットをちゃっかり盗んでも、なぜかバレない、ということ。状況がつい彼に味方しちゃうとでもいいましょうか。そんなタンがひょんなことから殺人を犯してしまったことが発端。行きがかり上、その後もいくつかの殺人を繰り返してしまうタンですが、なぜか偶然が偶然(ひょっとすると必然なのかもですが)を呼び、彼が殺ったという証拠がことごとくなくなってしまうのですね。そして、もうひとつ、重要なのが、タンが偶発的に殺してしまった人たちが、殺人犯だったり、婦女暴行犯だったり、殺しても飽き足らないほど凶悪な輩だったという点。そうなんです。タンの意図するところではないものの、これは悪を悪で持って制するダークヒーローの構図……。
徹底して描かれているのは、悪を悪で制する爽快感ではなく殺人者のパラドックス(題名まんまですが)。何が正義なのか、何が悪なのか、そして生じる現実と心の矛盾……。衝撃のそのラストまで、自分の中のパラドックスもともに探りながら味わってほしい、そんな傑作です。
『殺人者のパラドックス』について紹介している記事はこちら!
『ドクタースランプ』/名作韓ドラ『相続者たち』ファン待望のヒューマン×ロマコメ
パク・シネ×パク・ヒョンシクコンビで贈る王道ヒューマンロマンスの見どころをエディターKが解説。
同級生役の『相続者たち』から約10年の時を経てまたしても同級生役で、しかも今回はラブあり。韓ドラファンなら興奮せざるを得ない展開なんですね。ふたりの安心度を表すならば、深夜に飲むココア並みの“ほっ”と感です。ドラマの題材が人生のスランプに陥った医者たちですし、心の栄養補給にはヒューマン&ロマンス韓ドラが最適解かと思う次第。1日の終わりは『ドクタースランプ』で締めたいくらいです。
現代社会の問題点を浮き彫りにする社会派要素や、ジョンウ(ヒョンシク)を陥れた真犯人は誰なのか?というサスペンス要素、定番のロマコメ要素が袋詰めになっていて、ミックスナッツのようなお得感なんだけれど、決して破茶滅茶にならずにいい塩梅を保てているのはシネ×ヒョンシクだからこそ。余談ですがシネはやはり泣きの演技が最高にうまく、『天国の階段』で泣きじゃくる姿に一目惚れした日を思い出しました。ヒョンシクの顔芸も(かなり)パワーアップしているので、ぜひ疲れた日の処方箋として本作をどうぞ。
『ドクタースランプ』について紹介している記事はこちら!
『サムダルリへようこそ』/毎話に泣けるシーンを忍ばせる良質ヒューマンドラマ
シン・ヘソンとチ・チャンウク主演! チェジュ島を舞台に繰り広げられるヒューマン作品の見どころをエディターKが解説。
『ムービング』以降、私のインセンドラマのひとつに加わった作品です。もとより本作は演技神シン・ヘソンと、キス職人のチ・チャンウクが主演。加えて脚本は『ゴー・バック夫婦』『ハイバイ、ママ!』のクォン・へジュ、監督は『椿の花咲く頃』のチャ・ヨンフンと、良質なヒューマンドラマへの期待値(最大レベル)を裏切ることなく、最後まできれいに終わらせてくれました。チェジュ島・サムダルリを舞台とし、とある三姉妹とその家族、周囲の人間模様を丁寧に描き、全員(一部例外を除き)に感情移入できる。もう、あらゆるシーンで泣けます。号泣からホロリまで涙の理由も様々で、ずっとこの世界観に浸っていたいと思えるくらい、観終わったあとはサムダルリという街が好きになるはずです。山あり谷ありの人生を切なく、面白く、感動的に描いているのが素晴らしく、決してチープに見えない。自分の物語でもあるんですよね。ロマンス面もヘソン×チャンウクが「リア恋か?」並にときめかせてくれますし、冗談抜きで泣ける、笑える、悶えるの三拍子が揃い踏み!
『サムダルリへようこそ』について紹介している記事はこちら!