大ヒットドラマ“ウ・ヨンウ”に続く新たな法廷ドラマ『離婚弁護士シン・ソンハン』や、色褪せぬ王道ジャンル“ロマンス時代劇”の最新作『コッソンビ（イケメンの士）熱愛史』など、またしてもGWに一気観したい注目作品がてんこ盛り！ 予期せず徹夜案件になってしまう注目の４作品をぜひお見逃しなく。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『離婚弁護士シン・ソンハン／復讐のため、天才ピアニストから弁護士に転身！
最近の韓国ドラマは弁護士ものだらけ。そんじょそこらの弁護士では埋もれてしまう……というわけでもないのでしょうが、大ヒットしたウ・ヨンウ同様こちらの弁護士もかなり異色です。なんと元ピアニスト。しかもドイツで教授までしていた筋金入り。演じるのはご存じ『秘密の森』のチョ・スンウ。『秘密〜』では感情を失った検事シモク役でしたが、今回扮する離婚弁護士シン・ソンハンは、シモクが感情に左右されることなく論理に則って事件を推理していったのとは異なり、人間味豊かに問題を解決していくというのがミソ。チョ・スンウの演じ分けもさすがなのですが、現代の社会問題にも通じるいくつかの生々しい離婚訴訟エピソードを題材としていて、そのヒューマンな解決っぷりに癒されるというか、ジーンとさせられるというか。例えば、ドラマ最初の案件。
ラジオの人気DJイ・ソジン（ハン・ヘジン）は、自分の不倫が原因で離婚訴訟中なのですが、不倫相手がかなりなゲス野郎でして、彼女の性的動画を拡散したのですね。なので、当然、世間からはバッシングの嵐。いろんな事務所から断られ続け、最後に門を叩いたのがシン・ソンハンというわけです。ソジンの唯一の望みは息子の養育権。スキャンダラスな圧倒的不利のソジンに、ソンハンはどんな真実を見い出し、どう勝訴するのか……。それは見てのお楽しみですが、それにしても、なぜピアニストをやめて弁護士になったか、という件。
実は、ソンハンには溺愛する甥がいるのですが、産みの母であるソンハンの妹は、財閥に嫁いだものの離婚させられ、その後事故死してしまった過去が。その真相を探るのがソンハンの真の目的。このストーリーがドラマの縦軸になるわけですが、終盤に近づくにつれどんどんクローズアップされていくという次第。離婚によって最も傷つくのは誰か、守らなければならないのは誰か、そんな弱者を思いやるソンハンの視点が温かく、共感することしきり。そして、もう一つ、魅せられるのがソンハンとその仲間たちの絆。ソンハンの親友として登場するキム・ソンギュン（「応答せよ1994」）、チョン・ムンソン（「賢い医師生活」）は、チョ・スンウ同様、元々舞台畑の人。演技派3人のアドリブのような応酬がマジ楽しすぎです。ソンハンを慕うインターン弁護士のとぼけた味も、かなり好き。（さすらいのライター山崎）
『パンドラ 偽りの楽園』／すべてを奪われた主人公の人生を懸けた復讐劇
あの伝説のマクチャンドラマ『ペントハウス』を手がけた制作会社とスタジオドラゴンのタッグに加え、『ペント〜』のキム・スノク作家がクリエイターとして参加、さらに本作の脚本を担当するのはスノク師団所属のヒョン・ジミン作家、主演はお馴染みイ・ジアと、最強チームで織りなす最新ドラマ。また新たな復讐劇が繰り広げられるわけですが、最終回配信前とはいえ、正直、驚愕度は『ペント〜』が完全リード（未視聴の方はぜひこちらの記事を！）。ただ１話からトップギアで走り抜くで！という制作陣の気迫が感じられますし、「え、ここで？」「今それ言っちゃうの？」と思うような駆け引きなしの超スピーディストーリーはなかなか面白いです。というか、ながら観ができない！から必然的に見入っちゃうよ！といった印象。ニクい！
ギリシャ神話で、さまざまな災いを引き起こすといわれる「パンドラの箱」。注目のIT企業ハッチに勤める天才開発者の夫ピョ・ジェヒョン（イ・サンユン）と、愛娘ジウと、誰もが羨むような超リッチな生活を送るホン・テラ（ジア）。しかし事故で失ったと思っていた記憶が少しずつ蘇ってきたことで、完璧に思えた人生こそが創造主からの「贈りもの」であり、すべて作りものだったことが発覚するんですね。自分の存在、これまで感じていた幸せ、生活、すべて偽りだったことを知ります。そこから人生を賭けた復讐劇がスタート。『ペント〜』よりマクチャン感は薄いけれど、アクションシーンが多いためにバトル感は強め！ 緻密な心理戦というよりかはとにかく展開が早いので、勢いに身を任せているとあっという間に物語が進んでいって「いつの間にこの人たちが!?」状態です。ちなみに『Mine』でも使用されていた韓ドラマニアお馴染みの「デジャヴ大豪邸」も登場します（笑）。キム・スノクエッセンスが存分に発揮されている天と地の描き方が、まあ秀逸！
さらに『ペント〜』のDNAを受け継いでいるな〜と思うのは、夫婦間の関係性にズバズバと亀裂を入れまくる点。なんとも残酷な展開と試練の連続なんですよ。YBCのトップキャスターでテラの妹的存在のコ・ヘス（チャン・ヒジン）、ヘスの夫で財閥家の次男チャン・ドジン（パク・ギウン）、ハッチの研究所長ク・ソンチャン（ボン・テギュ。ペントチーム）、そしてジェヒョンとテラ。５人を主軸に繰り広げられる身内戦の結末、GWの一気観にもってこいです。（エディターK）
『コッソンビ（イケメンの士）熱愛史』／若手俳優で贈る新たなロマンス時代劇
「花」とか「花のように美しい」という意味の“コッ”と、主に両班（支配階級）の男子を指す「士人」を意味する“ソンビ”。タイトルの「コッソンビ」とは、つまりは“見目麗しきいいとこの男子”とでもいいましょうか。その恋愛史となれば、もうキュンキュンの時代ロマンスに違いありません。事実、ドラマは二花院という下宿屋を舞台に、宿を切り盛りする娘ダノ（シン・イェウン）と、そこに宿泊する３人の“コッソンビ”にまつわるお話なのですから。でも、ちょっと待った。10話までの視聴ではありますが、私的には今のところロマンスよりも王権にまつわる時代ミステリーの方に心が奪われている次第なのです。誰？誰なの？何？何なの？ という伏線がいい具合に次々と盛り込まれ、その謎解きで頭がフル回転しちゃうというか（わかりやすさがまたちょうど良く）。
そもそもの始まりは13年前。少女だったダノは、父の葬儀の夜、逃げ込んできたひとりの少年を助けます。実は彼、世孫（王の孫）イ・ソルで、この日、王宮では謀反が起こり、父（世子）と母は殺害され、命からがらひとり逃げてきたわけです。ダノに命を救われたソルは再会を約束し名を明かすことなく別れるのですが……。そして、時は経ち、両班だった家が没落したことからダノが始めたのが件の二花院。で、コッソンビは、武官を目指す無愛想なサン（リョウン）、遊び人のシヨル（カン・フン）、良家の庶子で心優しきユハ（チョン・ゴンジュ）の３人なのですが、なにやら秘密を抱えている様子なのですね。もちろん、イ・ソルも紛れ込んでいるのですが、それが誰なのか、３人が抱える秘密は何なのか、いい具合に引っ張ってくれるわけです。
でもって王宮では、ソルの影に怯える現在の暴君である王イ・チャンがソルを見つけ出して殺そうと企んでいるし、一方、かつてソルの番人（忍びのような存在）に息子を斬り殺された判官（オ・マンソク）もイ・ソルと番人への復讐に燃えているわけです。さらに、新たな王を立てようと画策する大臣もいたりして。さらに、さらに……、そう、いろんな思惑と秘密がくんずほぐれず。9話あたりから徐々に秘密が解き明かされ、ダノとソルのロマンスも本格的に動き出すのですが、もう、それどころではありません。判官の執拗な追走をかわすことができるのか。大臣の企みはどうなるのか。そして、そして、暴君とソルの対決は。固唾を飲んで見守っている次第です。（さすらいのライター山崎）
『キル・ボクスン』／シングルマザーの殺し屋が繰り広げる壮絶なバトル！
こちらはドラマではなく新作映画ですが、『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』でチョン・ギョンホとの大人のラブストーリーが話題となったチョン・ドヨンの最新作であり、前作とは打って変わった役どころである点。さらに一見相反する「シングルマザー」と「殺し屋」を掛け合わせた斬新なテーマ、加えて若年層のジェンダーレスの観点を取り入れた見応えのある内容である点など、注目ポイントが多い作品ということで、ぜひご紹介させてください。
さまざまな用途で使用される「キル」という言葉。本作では間違いなく「殺す」の意味合いですが、主人公は暗殺請負業者MKエンターテインメントに勤める超A級の殺し屋キル・ボクスン（ドヨン）。実態は、思春期ド真ん中の一人娘キル・ジェヨン（キム・シア）とふたりで暮らすシングルマザー。多くを語らぬ母は、娘から見ても謎に包まれた存在であり、当然目に見えない厚い壁がふたりの間には存在するわけで。良好な関係を築くのが難しいのも当然のこと。シアにだけは絶対に真実を知られたくないボクスンは、そろそろ引退を考え始めるんですね。ただ成功率100%を誇るボクスンを、会社が易々と手放すわけもなく。そうして少しずつ亀裂が生じ始め、抗争へと繋がっていくわけです。このドンチャンバトルが、まあ過激！ ボクスンのアクションシーンにも目を見張りますし、随所でブラックコメディのようなユーモアを効かせてきたりして、思わず笑ってしまう場面も。同じ会社の殺し屋ハン・ヒソン役にク・ギョファン（『D.P -脱走兵追跡官-』）を投入することで、作品に深みを生んでいるのも胸アツ！
デビュー前の殺し屋見習いキム・ヨンジを演じているのが、キム・ヘスオンニ（お姉さん）に衝撃を与えた実力者イ・ヨン（『未成年裁判』）だったり、ボクスンをこの世界に導いた代表チャ・ミンギュの青年時代をイ・ジェウクが演じていたり、キャスティングも拍手ものですが、細かな演出まで抜かりがない。「平和のための戦争。ウソを信じる心理。殺し屋のくせに規則を定めるのも矛盾」。ヒソンが放つこの言葉に、現代社会のさまざまな矛盾に対する疑問が潜んでいますし、最後のボクスン×ジェヨンがはじめて向き合う母子シーンには、「そうくるか」と現代らしい解釈を見せてくれていますし、ただのアクションと思って甘く見ると度肝を抜かれるかもしれません。 （エディターK）
