今注目すべき韓国の“悪魔祓い”作品! パク・ソジュン主演『ディヴァイン・フューリー/使者』をはじめ、マニアが厳選するおすすめ3作品

ラッセル・クロウ主演の大ヒットホラー映画『ヴァチカンのエクソシスト』が公開されるや否や、たちまち世界中で大ヒット! 日本では7月14日に公開されたが、今改めて“悪魔祓い”ものに注目が高まっている。そこで今回は「悪魔祓い作品なら負けてない!」と言わんばかりに良作を次々と生み出している、韓国のエクソシストムービー3作品をご紹介。

【プリースト 悪魔を葬る者】悪魔祓いとバディ要素は鉄板の組み合わせ! 超王道エクソシズムホラー!

韓国ホラー映画 プリースト 悪魔を葬る者
『プリースト 悪魔を葬る者』U-NEXTで視聴可能。

バディ(相棒)ものといえば娯楽映画の人気ジャンルだ。悪魔祓い映画とも、この要素はバッチリとハマる。例えば本作のようにベテラン神父と若手神父がタッグを組む、といった感じだ。本作はホラーであると当時に、優れたバディムービーでもある。荒み気味のキム神父(キム・ユンソク)と、まだ若くて悪魔祓い経験はないが儀式用の言語が話せる神学校生のアガト(カン・ドンウォン)が、力を合わせて女子高生に取り憑いた強力な悪魔に挑む。最初は互いにすれ違うふたりが、悪魔との対峙を通して、次第に協力を深めていくドラマが最大の見どころだ。王道の展開を熱量たっぷりに見せてくれる。
悪魔がメチャクチャ強くて何度も心を折られそうになるが、主人公たちはそれでも歯を食いしばって立ち向かうので、思わず応援したくなってくる。多分、応援上映にも向いている作品だと思う。悪魔祓いの見せ方も丁寧だ。

例えば、悪魔に取り憑かれた人は死臭を漂わせているので、それをまともに吸わないように、事前に鼻の下に歯磨き粉を塗りたくって嗅覚を麻痺させてから儀式を始めるというシーン。確かに言われてみれば納得、でも他では見たことがないディテールの凝った描写が楽しめる。ぜひここにも注目してほしい。
キム・ユンソクとカン・ドンウォンという二大名優が迫真の演技で挑む、ド直球エクソシズムホラーの傑作。未見の方には強くおすすめしたい一作だ。

【ディヴァイン・フューリー/使者】神父×格闘家!異色のコンビが悪魔とバトるエクソシズムアクション!

韓国ホラー映画 ディヴァイン・フューリー/使者 
『ディヴァイン・フューリー/使者』U-NEXTで視聴可能。

本作も悪魔祓い+バディムービーという組み合わせの作品。ただ、同じ組み合わせの『プリースト 悪魔を葬る者』よりも遥かに漫画チックで、バトルものに近い内容なのが特徴だ。この映画でタッグを組むのは、バチカンから派遣されたベテラン神父のアン(アン・ソンギ)と、神への信仰を捨てた総合格闘技の世界チャンピオン・ヨンフ(パク・ソジュン)。なんと悪魔祓いに巻き込まれるのが神父や神学生ですらなく格闘家! この時点で興味を惹かれる。当然、ヨンフは悪魔祓いについてはド素人。それを支えるアン・ソンギが演じる神父の頼もしい姿が本作の魅力のひとつである。
本作の友情劇も非常に良くできていて、ぶっ飛んだ組み合わせにもかかわらず、全くしらけることなく話に入り込むことができる。恐怖感はほとんどないが、キャラの魅力と洗練された画作りでグイグイ引っ張っていく。

そして終盤に待ち受ける大見せ場はマジですごい! まさかこの手の映画で殴り込みが見られるとは思わなかった。フィジカルエクソシズムを突き詰めたようなイカしたアクションが炸裂する! 総合格闘家が主人公と聞いて期待していたものが見られたので大満足だ。韓国の悪魔祓い映画における引き出しの多さには驚かされる。こんなパターンの映画も成立するのかと感心した。今や韓国がこの手の映画では世界ナンバーワンなのではないだろうか。今後、どんな角度のエクソシズムホラーが誕生するのか。楽しみでならない。

【メタモルフォーゼ/変身】家族を引き裂く擬態の悪魔。不穏と興奮混じる疑心暗鬼ホラー!

韓国ホラー映画 メタモルフォーゼ 変身
『メタモルフォーゼ/変身』U-NEXTで視聴可能。

ストレートな悪魔祓い映画は『エクソシスト』で完成してしまっているので、それ以降に作られる映画では、他の要素と組み合わせて差別化を図って存在感を出すことが多い(もちろん、真正面から『エクソシスト』に挑んでも面白いパターンもある)。他に紹介した韓国産エクソシズムホラー2本は、いずれもバディ要素を強調し、さらにバディを組むキャラの特性でその映画独自の色を出した。本作はそれらとは異なり、家族の誰かに悪魔が擬態しているという疑心暗鬼のスリルを組み合わせ、オリジナリティを出すことに成功している。
この映画、家族の一員になりすまし仲違いをさせていく悪魔の狡猾な所業が、えげつないことこのうえない。韓国映画は、こういう容赦ない展開を描かせると強い。ユーモアも極力排除し、より陰惨さを全面に出した内容で、非常に恐怖度が高い。

本作で悪魔に挑む神父は、今回はたったひとり。しかも過去のトラウマに苦しんでいる設定なので、正直言って少し頼りない。それが余計に絶望感を高めている。そんな神父を演じるペ・ソンウの演技も素晴らしい。不安に満ちた表情から、次第に覚悟の決まった顔つきに変貌する様を、丁寧に演じ切っている。終盤はあんな精悍な姿に様変わりするのだから、一流の俳優ってすごい。抑え目の演出で不穏な空気を煽り、次第に悪魔の攻撃を過激化させて、終盤で一気に盛り上げる。ツボを抑えた無駄のない作りと名優の説得力で魅せる秀作である。


【ホラードラマ ナビゲーター】
人間食べ食べカエル
あらゆるジャンルのホラー映画・ドラマを網羅する敏腕ライター。人が喰べられる作品に目がない。的確なコメントと面白いつぶやきがクセになるTwitterこと「X」アカウントは、@TABECHAUYOをチェック!

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