韓ドラのプロが選ぶ【名作韓国ドラマ マクチャン編】。ドロドロ展開、衝撃の復讐劇から、なぜか目が離せない!

嫌な展開ばかりなのに、なぜか観る手が止まらない。伝説級の“マクチャンドラマ”8選!

SPUR.JPの韓ドラ班がご紹介してきた様々な韓国ドラマの中から、今回は「ドロドロ展開、衝撃の復讐劇に思わず見入ってしまう、マクチャンドラマ」にフォーカス! 一度観たらノンストップ視聴必至の伝説級のドラマをぜひチェックして。

【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。

韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、20年間以上あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。

『私の夫と結婚して』/日韓ともに大ブーム中! 一気観間違いなしの注目作

パク・ミニョン 韓国ドラマ『私の夫と結婚して』の場面写真
Amazon Original 『私の夫と結婚して』Prime Videoで独占配信中 © Studio Dragon by CJ ENM

パク・ミニョンが極限まで減量して挑んだ、度肝を抜く復讐劇の見どころをエディターKが解説。

白状すると、1話から「あんぐり」なストーリーや、今後繰り広げられるであろう愛憎劇が容易に想像でき、「いや〜重たい復讐系はあんまり気が乗らないな〜」なんて呑気に思っていました。そんな過去の自分を往復ビンタしたい。冒頭だけ観ると『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』のようなかなりシビアなストーリーの予感しかしないけれど、2話からなんと本ジャンルにあるまじき(?)ギャグ要素が加わってくるんですね。マクチャン展開にブラックコメディ的なユーモアを取り入れ、「笑えるんだけど憎い!憎いんだけど笑える!」みたいな謎の高揚感が生まれる作品になっているんですよ。この絶妙なバランスと威力のあるタイトルがいい化学反応を起こしています。
ロマコメ女王のミニョンが37キロまで減量して挑んだという気概も素晴らしいけれど、彼女が演じることでやはりコメディの要素が出てくるんですね。クズ夫を演じるイギョンの演技力もキレキレで、サイコだけど間抜けで笑えるという絶妙なラインを保っているし、ハユンのトチ狂った演技は彼女の新境地とも言えるレベル。そしてなんと言ってもナ・イヌです。ジウォンの会社の部長役ですが、純粋にロマンスとして楽しめることはもちろん、バラエティで見せる姿とのギャップが最高に面白く、“アイス”のシーンは制作陣の粋な計らいであるはず! ノンストップ視聴間違いなしの話題作です。(エディターK)

『7人の脱出』/想像を絶する、新たなマクチャンドラマが幕を開ける

韓国ドラマ『7人の脱出』の場面写真
『7人の脱出』Leminoで配信中 © SBS

伝説に残るマクチャンドラマと謳われる『ペントハウス』作家の見どころをエディターKが解説。

『ペントハウス』の衝撃を覚えていますでしょうか。キム・スノク作家の旨みが凝縮されたあの“マクチャンドラマ”最高峰の作品を。『7人の脱出』では前作よりもマクチャンに現代社会の闇を取り入れ、トンデモナイ展開が連発中。スノク作家作品の特徴として、物語内の数少ない常識的な良い人たちだけが永遠に(序盤)苦しめられるため、胃もたれのような消化不良感がずっとあるんですよ。『ペントハウス』同様に過激なシーンがあまりにも多い。なので、コンディションが悪い日の視聴はとてもお勧めできません。復讐劇がはじまる(であろう)中盤までスキップしたい気持ちをグッと堪え、憤りを感じながら観ていくと、とある“7人”への信じられない制裁が待っています。
マクチャンの果てを映しているのか?と思うくらいのストーリー展開です。もはや観るのをやめたくなってきたところで、復讐のターンにスイッチ。観たくないのに観てしまう……恐ろしいです、スノク作家。『ペントハウス』お馴染みのシン・ウンギョンやユン・ジョンフン、そしてオム・ギジュンはどう絡んでくるのか!? イ・ジュンやイ・ユビといった新しいキャスト陣を迎えて確実にパワーアップしている本作。ダミを陥れた“7人”に誰がどんなふうに制裁を加えていくのか。終着点を知らずには終われない作品がまたひとつ誕生しました。(エディターK)
 

『パンドラ 偽りの楽園』/すべてを奪われた主人公の人生を懸けた復讐劇

韓国ドラマ『パンドラ 偽りの楽園』
『パンドラ 偽りの楽園』ディズニープラス スターにて独占配信中 © STUDIO DRAGON CORPORATION & CJ ENM Co., Ltd, All rights reserved.

『ペントハウス』作家がクリエイターとして参加! イ・ジアのアクションも楽しめる復讐劇の見どころをエディターKが解説。

ギリシャ神話で、さまざまな災いを引き起こすといわれる「パンドラの箱」。注目のIT企業ハッチに勤める天才開発者の夫ピョ・ジェヒョン(イ・サンユン)と、愛娘ジウと、誰もが羨むような超リッチな生活を送るホン・テラ(ジア)。しかし事故で失ったと思っていた記憶が少しずつ蘇ってきたことで、完璧に思えた人生こそが創造主からの「贈りもの」であり、すべて作りものだったことが発覚するんですね。自分の存在、これまで感じていた幸せ、生活、すべて偽りだったことを知ります。そこから人生を賭けた復讐劇がスタート。『ペント〜』よりマクチャン感は薄いけれど、アクションシーンが多いためにバトル感は強め! 緻密な心理戦というよりかはとにかく展開が早いので、勢いに身を任せているとあっという間に物語が進んでいって「いつの間にこの人たちが!?」状態です。ちなみに『Mine』でも使用されていた韓ドラマニアお馴染みの「デジャヴ大豪邸」も登場します(笑)。キム・スノクエッセンスが存分に発揮されている天と地の描き方が、まあ秀逸!(エディターK)

『結婚作詞 離婚作曲』シーズン3/いよいよ三者三様の夫婦たちの結末が明らかに!?

Netflix韓国ドラマ『結婚作詞 離婚作曲』シーズン1〜3
『結婚作詞 離婚作曲』シーズン1~2Netflixで独占配信中、シーズン3配信中

シーズン1から「あんぐり」展開を貫く衝撃マクチャンドラマの見どころをエディターKが解説。

過去シーズン同様、とんでもない展開で走り続けているのがこちら。シーズン2の終わり方も「???」の連続でしたし、キャストがなんと3人も入れ替わりましたし、もうこの人たちのやり取りにお腹いっぱいの方もいらっしゃるかと思います。かく言う私も元々入口がソンフン目当てでして、彼がいなくなった時点で白目状態。しかしながら、恐ろしいことに「なんとなく」で1話を観始めると止まらないんですよ。「もう勝手にやってくれ〜」と思いながらも、続きが観たくてウズウズしてしまう。これほどイッキ観にぴったりな作品があるだろうか!? 
ちょっと無理くり感がありつつも、十分フィクションとして楽しめるレベル。なんならコメディ番組のように笑えるシーン、結構あるんですよ! ただギャグのような展開を入れ込みながらも、時にハッとさせられる台詞が飛んでくるのが、この作品のすごいところ。そして元夫婦でまたしても不毛な戦いの連続。もはや登場人物全員の人生が気になってしまう本ドラマの魅力、やはり只事ではない! (エディターK)

『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』/復讐の先に待っているものとは

Netflix韓国ドラマ『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』ソン・ヘギョ
Netflixシリーズ『ザ・グローリー〜耀かしき復讐〜』独占配信中

ソン・ヘギョが体当たりで挑んだ衝撃の復讐劇の見どころをエディターKが解説。

衝撃的な1話目に恐怖に似た怒りの感情を覚えながらも、復讐のその果てが観たい一心で徹夜し、約1日で観終わってしまったんですよ、この作品。本作はソン・ヘギョ演じる主人公のムン・ドンウンが高校生時代に受けたいじめの復讐がテーマ。いじめは韓国の社会問題であり日本も決して他人事ではないですが、これまたキム・ウンスク作家(『太陽の末裔』『トッケビ』など)の描き方がえげつないのですよ……。第三者という名の「傍観者」の心にグッサグサと矢を放つイメージで、1シーンごとに「君が思っている以上に闇は濃く深い」と突きつけられているかのよう。同級生でリーダー的存在のヨンジンを筆頭に、サラ、へジョン、ミョンオ、ジェジュンのターゲットにされてしまってから、ドンウンに突如訪れた逃られない絶望。カースト上位とされる学生たちの「遊び」「暇つぶし」「ストレス解消」の餌にされる日々。ヒロイン役でお馴染みのシン・イェウンがまさかヨンジンを演じるとは!と驚きましたが、凄みが桁違いであるが故に、演技ということを忘れ怒りに震える瞬間も。観たくないのに続きが気になってしまうのは、物語に一筋の希望が描かれることを願っているからかもしれません。そして、ドラマを通してまたしても強烈なメッセージを世に放ったことは間違いない。(エディターK)

『マスクガール』/現代社会の歪みを映した衝撃作

Netflix韓国ドラマ『マスクガール』
Netflixシリーズ『マスクガール』独占配信中

主人公のモミを新人のイ・ハンビョル、AFTERSCHOOLのナナ、演技派コ・ヒョンジョンがバトン形式のように演じた話題作の見どころをさすらいのライター山崎が解説。

この手のドラマを作らせたら、韓国は本当にとてつもなく上手い!と改めて何度も唸らされたのはいうまでもありません。設定と描写は半端なく強烈で型破り(エロもグロもエグい!)。かといってまったくの他人事とは思えない自分にも超絶リアルな“切実”がひしひしと迫りくるとでも申しましょうか。ブラック交えたコメディ要素を適所にあしらった絶妙な軽さも相まってか、好き嫌いに関わらずその否応なしの吸引力が凄まじく。
ドラマはモミの会社同僚オナム(アン・ジェホン)や彼の母親ギョンジャ(ヨム・ヘラン)など、モミと関わる登場人物たちの別の視点からも、時間を巻き戻しつつ描かれていて、彼らの中に無意識に潜む現代社会の歪みにも通じる“強烈さ”も怒涛のように画面に映し出されるという具合。ルッキズム主義、男尊女卑、根強く蔓延る家父長制思想などなど……。そんな女性蔑視に何度もあいながら、モミはどう生きていくのか。そして、ラストにとった彼女の行動は一縷の望みということなのか……。それにしても、モミを演じた3人のそれぞれの個性といい、扮装もとい薄毛頭の演出まで徹底させたキモすぎるアン・ジェホンとか、ギョンジャの狂信的執着と執拗さを演じたヨム・ヘランとか、最終話登場の子役たちとか、マジで素晴らしすぎるぅ。

『ペントハウス』/シーズン1から目を疑う展開のオンパレード

韓国ドラマ『ペントハウス』
『ペントハウス』©SBS

キム・スノク作家の伝説マクチャンドラマと話題になり、大ヒットを飛ばした作品の見どころをエディターKが解説。

格差社会、教育論争、いじめ問題……。1話から度肝を抜かれる本作の舞台となるのは、ソウルの高級住宅地にある100階建てのタワーマンション“ペントハウス”。華やかな社交パーティ中に一人の少女が転落死したことが引き金となり、ペントハウス内にはびこる人間の醜悪さが浮き彫りになっていきます。 
物語のキーとなるのはヘラパレスのクイーンことスリョン(イ・ジア)、人を貶めることで超一流のプリマドンナとなったソジン(キム・ソヨン)、声楽界の天才と謳われるはずだったユニ(ユジン)、そしてスリョンの夫ダンテ(オム・ギジュン)。本ドラマでよく「당신은 인간이 아니다(タンシヌン インガニ アニダ=あなたは人間じゃない)」という言葉が飛び交いますが、まさにダンテとソジンの行動は見るに耐えないレベル。その子どもたちの卑劣な言動にも目を覆いたくなります。ここに『ヴィンチェンツォ』がいたらと思ってしまう絶望の展開ばかり。胃もたれする感覚を覚えながらそれでも続きを求めるのは、やっぱり悪が処断される瞬間が一刻も早く見たいから!! ただし、1話を観たらもう後戻りはできないので、ある種覚悟が必要。今までに観たことのない愛憎劇が繰り広げられているため、万全の精神状態で挑むことをお勧めします。

『夫婦の世界』/ドロドロ部門でぶっちぎりの1位!?

韓国ドラマ『夫婦の世界』
『夫婦の世界』ⓒ JTBC studios & Jcontentree corp All rights reserved Based upon the original series “Doctor Foster” produced by Drama Republic for the BBC, distributed by BBC Worldwide

イギリス原作ドラマの韓国版! 度肝を抜く展開続きで観る手が止まらない大ヒットドラマの見どころをさすらいのライター山崎が解説。

ドロドロ最高峰といえば、これ。原作はイギリスの人気ドラマ。だからというわけでもないのでしょうが、アジア育ちの私の感性とはまた違った倫理なき情念の目白押しで、理解を遥かに超えた驚きの展開が次々と押し寄せてくるとでも申しましょうか。主人公のチ・ソヌ(キム・ヒエ=不倫ものといえばこの人!)は、苦労して女医となり、優しい夫とかわいい息子に恵まれた完璧な人生(ソヌ基準による)を送っています。ところがです。その夫が自分より遥かに若い女と不倫。しかも自分の知らないところで友人たちが夫&不倫相手と仲良くやっていたという……。
さらにさらに、映画監督の夫は、ソヌの経済的援助なくしてはなにもできない! ほら、この時点で私的には怒り爆発。もちろん、そこから妻の壮絶なる復讐が始まるのですが、ゲス夫の卑劣な反撃がこれまた凄まじく、ソヌも観ている私もぜいぜいと満身創痍。なのに、きっぱりできない夫婦の関係……マジか! 油っこい(しかも酸化している)揚げ物を食べ過ぎたような臓腑がキリキリと傷んでくる重圧感。観るほどに夫はもちろん、ソヌさえも大っ嫌いになるヘビー過ぎるインパクト。キャラも展開も嫌い過ぎて、だからこそ次を観ずにはいられない。アカデミー賞にドロドロ部門があれば、大賞間違いなし。

FEATURE