大人気ウェブトゥーン原作の実写化かつ、ぺ・スジ主演とあって配信前から大きな話題になっていた『イ・ドゥナ!』や、“ウ・ヨンウ”を世界的大ヒットへと導いたパク・ウンビンの主演最新作『無人島のディーバ』など、今Netflixには良作韓国ドラマが大渋滞!そんな最新ドラマの見どころやポイントを、韓ドラマニアのライター&エディターが熱量たっぷりにリコメンド。ぜひ視聴リストに加えてみて。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。
『イ・ドゥナ!』/原作ファンをうならせる“スジ”の圧倒的なビジュアルと演技力
昨年の話題作『アンナ』で、“青龍シリーズアワード”の主演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞したペ・スジ。ガールズグループMiss A出身ということもあり、グループを脱退してソロになってからもアイドル俳優のイメージが強かったスジですが、この作品で演技者として確かな実力も証明し、名実ともにトップ俳優の仲間入り。その彼女が次作として選んだのが本作で、演じるのはもちろん“イ・ドゥナ”。人気ガールズグループDREAM SWEETの揺るがぬセンターだったイ・ドゥナは突然引退を宣言し、大学生として復学。その大学街にあるシェアハウスの女子スペースに一人引きこもるように暮らしているという設定。そこに平凡で真面目な大学生ウォンジュン(ヤン・セジョン)が地方から移り住むことになり、アイドルと一般人のロマンスが展開されるというのが大筋です。
ストーリーはとってもシンプルな展開ではありますが、やっぱり魅せられるのは主演のペ・スジ。彼女のアイデアだというリバイバル姫カットがちょっと挑発的で、スリム煙草をアンニュイにくゆらせたりする姿なんぞ、それだけで圧倒されてしまうような美貌とオーラ感。さらに、ゾクゾクしちゃうのがヘアスタイルと同調するような姫なキャラクター。猫のような気まぐれさと、狼のごとく他を威圧する近寄りがたさ、かと思うとガラスのように粉々に壊れそうな危うさ……。これって、イ・ドゥナなの?私のイメージするペ・スジそのものなんですけど〜、というくらいの一体感。そんなスジに翻弄されるセジョン……もとい、イ・ドゥナに翻弄され惹かれていく真面目なウォンジュンも楽しいというか。ドラマでは通称ルセラ(LE SSERAFIM)ばりのアイドル服をまとったファン垂涎のステージシーンも随所に挟まれるのですが、昨年の有明アリーナで開催された実際のKCONの舞台で収録されていたり、DREAM SWEET のメンバーにはストリートウーマンファイター1出場のダンスグループ、ラチカのメンバーがいたり、とかなり本格派。
そして、ロマンスを軸にしながら丁寧に描かれるのはアイドル、イ・ドゥナの現実。なぜ、突然の引退宣言なのか、そして、それでもステージを恋しく思う心……。心を壊すアイドルも少なくないK-POPの世界のリアルをちょっとだけ垣間見るような印象も。それにしてもアイドルと平凡すぎるほど平凡な一般人のロマンスは成り立つのか。終始幻想的に綴られるペールトーンの映像のラストの余韻にその答えが隠されているかもしれません。(さすらいのライター山崎)
『無人島のディーバ』/“ウ・ヨンウ”に続く世界的大ヒットの予感!
アイドル出身でもなく、練習生だったわけでもなく、子役時代から活躍する生粋の演技派俳優です。そんなパク・ウンビンが、今回の役では無人島で15年過ごした奇跡の“ディーバ”を演じるというのだから、心躍らないはずがない。現時点で8話までの視聴ではありますが、すでに大優勝しています。透き通った歌声に圧倒されて思わず身震いする瞬間もあり、彼女の持つパワーにただただ魅せられてしまう。“ウ・ヨンウ”でも驚きと感動を与えてくれましたが、本作でまたしても偉業を成し遂げようとしているんですよ……。2023年終盤にして最高の作品が誕生しました。
とある小さな島で暮らしながら歌手を夢見るソ・モクハ(ウンビン)が、憧れのディーバことユン・ランジュ(キム・ヒョジン)の事務所にスカウトされたことにより、ソウルに上京を果たそうとするんですね。明るく元気で何の悩みもなさそうに見えるモクハだけれど、実は父親から精神的・肉体的な虐待を受けています。そんな彼女にとっての救いは、歌と、ランジュオンニと、同じ境遇に苦しむ同級生チョン・ギホ(子役時代ムン・ウジン)の存在。ある日ギホとともに島を抜け出して新しい一歩を踏み出せると思った矢先、執拗なまでに追いかけてくる父親に阻まれて、自ら海に飛び込むんですね(ギホの必死の抵抗も虚しく、序盤で結構泣かされます……)。で、目が覚めると無人島。父親から解放された喜びと、この先どうやって生きていけばいいのかという恐怖との狭間で苦しみ、なんと15年の時が経ってしまう……と、設定は若干飛ばし気味ですが、物語の本質として描かれるのは至って現実。近年韓国ドラマでよく題材とされている「大人によって苦しめられる子どもたち」とその行く末を描いていたり、夢と現実の間でもがき苦しむ大人の葛藤が映し出されたりと、本当に意図せずして涙を流してしまうシーンが多いんですよ。
で、15年の時を経てモクハを救出したカン・ウハク(VIXX エン)とカン・ボゴル(チェ・ジョンヒョプ)との関係も回を追うごとに深くなっていき、どちらかがギホなのか?これは三角関係の予感?とウハウハせずにはいられません。旬のふたりをウンビンと絡ませるナイスキャスティングにも感謝を述べたい。加えてランジュとモクハの関係性にも泣けますし、全体を通して「本当の家族とは?」も問われている作品なので、ヒューマン好きもぜひ。終わってほしくない……けれど終盤にかけて物語がどう動いていくのか、楽しみで仕方ないのです。(エディターK)
『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー〜』/現代社会を生きる私たちへの強いメッセージ
何気ない言葉ですごく傷ついてしまうのに、自分でも知らないうちに、もしくはわかっていても、他人や自分自身を傷つける言動を思わずとってしまったりする……そういうことってないですか? ドラマの主人公は精神科ナースのチョン・ダウン。コメディもヒューマンも自在に操るキュートな演技派パク・ボヨンが演じているのですが、総合病院の精神科を舞台に看護師や医師たちが遭遇する日常を描いているのがこの作品。となると思い出すのはあの名作『賢い医師生活』。なるほど、あのナース版ね……と癒しを求めて気楽に観始めたのですが、いやあ、“癒し”の方向性と深度が違いました、かなり。『賢い〜』が医師を職業にするキャラクターにより濃くスポットを当てているのと違い、本作はより病気、つまり精神疾患そのものにぎゅーっとフォーカスして描かれているのがポイント。
看護師3年目のダウンが精神科に異動になったところから物語は始まります。配属替えの理由は優しすぎて仕事が滞ること。そんな彼女が最初に担当するのは、双極性障害のリナ(チョン・ウンソン)。裁判官の夫に裕福な家庭。なのになぜ、彼女は心を病んでしまったのか。ドラマは、リナを皮切りに妄想性障害のソヨン、強度の不眠症のソンシク、そしてパニック障害になったダウンの親友のユチャン(チャン・ドンユン)などなど、精神疾患の患者の話を横軸に、彼ら彼女らがそうなってしまった背景が丁寧に描かれていくのですが、母親からの強迫、上司の無自覚のガスライティング、公務員試験に7度失敗したストレス、過重労働などなど、その原因が決して他人事でなく誰の日常にもあり得る現実がうかがえるのです。そう、精神障害は特別なものではなく自分と紙一重のところに存在するもの。なのに、根強く蔓延る世間の偏見とレッテル。そうこうするうちに、ダウンにもうつ病という魔の手が……。
心にずんとのしかかる重いテーマではありますが、『賢い〜』を彷彿させるような軽やかなタッチで描かれていること、縦軸に心温まる2つの恋愛ストーリーも盛り込んでいるところ(肛門科医師(ヨン・ウジン)がいい)、そして、精神疾患の現実を見据えながら温かな視点ですべてが綴られていること……だから、見終わった後は、ダウンや登場人物たちと一緒に自分の心までちょっと成長したような気分。人にも自分にもこれからは優しくあろう、心からそう思う今日この頃です。ちなみに小さなノート2冊と黄色のマーカー1本を早速購入してみた私です。(さすらいのライター山崎)
『力の強い女 カン・ナムスン』/大ヒットドラマの新シリーズは祖母・母・子3世代の物語!
パク・ボヨンとパク・ヒョンシクの“ミンミン・ボンボンコンビ”でお届けし、世にムーブメントを巻き起こした『力の強い女 ト・ボンスン』。本作に沼った身としては、新シリーズが観られるなんてとムジョッコン視聴しておりますが(3話には感動のカメオ出演も!)、シーズン1とはまた違った構成で、全体的にラブは少なめ、アクションをより強固にしているイメージです。『イカゲーム』『今、私たちの学校は…』で注目されたイ・ユミが主人公カン・ナムスンを演じ、母ファン・グムジュ役にキム・ジョンウン、祖母キル・ジュンガン役にキム・ヘスクと、実力派のトリプルタッグで絵面が強い! 3世代で巨悪の麻薬組織に立ち向かう痛快アクションパワー(!?)コメディに仕上がっています。すでにお腹いっぱい状態ですが、いわゆるヒョンシクのポジションを本作ではオン・ソンウが演じているので、もう少しユミ×ソンウの絡みが欲しいと懇願するのは私だけではないはず!?
お忘れの方にお伝えすると、先祖代々女性だけに超人的な怪力を受け継ぐ一族がいるんですね。それがボンスンやナムスンです。その分、一族の男性は病的で弱々しいという設定や、力を悪用すると消えてしまうというルールもユニークで、悪人をバッタバッタ投げ倒す姿が本作の醍醐味であり、爽快感満点! で、今回の主人公ナムスンは、幼少期に父とはぐれたことでなんとモンゴルの地に取り残されてしまうんですよ。優しい夫婦に助けられ、20年間をモンゴルで遊牧生活を送ることに。怪力と関係する特殊遺伝子のせいでなかなかナムスンを見つけ出すことができなかったものの(詳細は物語をご確認ください)、ナムスンが麻薬組織の秘密捜査チームである刑事カン・ヒシク(ソンウ)と出会ったことにより、ようやく韓国で本当の家族と再会。と、序盤は割とコメディ強めですが、ここからグッと物語の真髄に近づいていきます。流通販売会社ドゥゴの代表リュ・シオ(ピョン・ウソク)VS 力の強い女たち。シーズン1を超える闘いを見せてくれることを期待。
そして私個人の推しポイントは、ジュンガンの恋愛模様。新しく好きな人ができたジュンガンに対し、娘のグムジュは「いい歳して!」とありきたりな言葉を放つんですね。それに対するジュンガンが名言炸裂でして、「私最近ドラマを観てないの。なぜだかわかる?若者の恋愛ばっかりだからよ。年寄りは歌謡ショーでも観とけって言うの?年寄りにだって心臓はある。胸は垂れるけれど心臓は垂れない」(byエピソード6)。まさにおっしゃる通り。強く頷いてしまいました。(エディターK)