【最新韓ドラ】異色のロマンスから王道ヒューマン、新展開のサスペンスまで！ 今知っておきたい話題の韓ドラ４

出会い系アプリに快楽殺人、そして大胆なセックス描写。その仕立てはかなり過激でエキセントリック。なのに、心に届いてくるのは“誰か”を求めてやまない渇望にも似た恋心。猟奇や残虐シーンが得意でない私でさえも観始めた途端に釘付けとなり、久しぶりに夜を徹して一気観。韓国ドラマはどこまで行くのか。あまりにも斬新で、かつ異色のラブロマンスは、良作ひしめいた2022年のラストに、まだまだ来るか！と思えるかなりチャレンジングな作品。

物語の軸となるのは、“サムバディ”と呼ばれる出会い系アプリ。そのサイトを通じて起きた連続殺人がSNS上で話題になっているところから始まります。サムバディを開発したソム（カン・ヘリム）は、アスペルガー症候群を持ち、天才的な頭脳を有する反面、人の気持ちに共感することができないし、自分の感情を表す術も知りません。彼女が高校時代に開発した“サムワン”は、削除した言葉も読み取るAIチャットボットで、つまりは“少数派”の隠された思いも掬うことができるソムにとっては自分を唯一理解してくれる友。そんなサムワンがベースとなるサムバディを介した連続殺人に一人動き出したソム。そして、行き着いたのは建築デザイナーのユノ（キム・ヨングァン）。ある直感を胸にソムは彼に接触していくのですが……。互いを探り合いながら、惹かれ合う“共通”を感じ取っていくふたりの会話は、かなりスリリングだしエロティック。アスペルガーのソムとサイコなユノと。さらに、車椅子のサイバー捜査官ギウン（キム・スヨン）、トランスジェンダーの祈祷師モグォン（キム・ヨンジ）というソムの友人ふたりが加わって、事件をめぐるそれぞれの想いは思いも寄らぬ方向へとエキサイトしていきます。

犯人と関わっていく主軸の３人はいわゆるマイノリティ。世間に入り込めないピースを持つ孤独と、そんな自分に向き合いつつ何かを求めて進む姿は、実は誰にも通じる人としての普遍のテーマにも思えるのですが、どうでしょう。だから、常軌を逸した展開なのに釘付けにならずにはいられない。ソム、ギウン、モグォンを演じるのは、ほぼ無名の3人。そんな彼女たちの今的な魅力あふれる危うく力強い存在感が鮮烈で愛おしく、猟奇な役柄を大胆かつきめ細やかに演じたキム・ヨングァンもあっぱれ。全８話痺れまくりです。（さすらいのライター山崎）

序盤からストーリー、演者のパワーともにエンジン全開のこちら。主演のキム・レウォンがキレッキレで、超絶ハマり役です！！ 善と悪のスレッスレラインを猛犬の如く攻めるイカれ気質刑事チン・ホゲ（レウォン）。一度噛み付いたら決して離さないことと名前の発音にかけて、あだ名は珍島犬（チンドッケ）。シリアスとコメディの均衡をうまく保ちながら、あらゆる事件を通して社会問題をナチュラルに映し出し、その矛盾に切り込んでいく脚本が見事！ 視聴者の心にずっしりと響かせる良作ヒューマンドラマが誕生しています。

まず本作のポイントとして、「警察×消防×救急」チームが三位一体となって事件解決に乗り出す点なんですね。緊急出動チームに移動したばかりの珍島犬こと刑事のホゲと、人を助けるためならどんな荒地にも飛び込む姿からブルドーザーの異名を持つ消防隊員のポン・ドジン（ソン・ホジュン）、いかなる状況でも患者を第一に思う心優しい救急隊員のソン・ソル（コン・スンヨン）。各分野のエキスパートが集合して事件解決へと導くのですが、それがまた空気感まで妙にリアルで……。衝撃的だったという意味でも、特に１話が頭から離れません。夜道を歩く一人の女性が突然サイコパスに襲われ、目が覚めると一夜明けた状態で監禁状態。太ももを刺され瀕死状態のなか、やっとの思いで母からの電話をAirPodsで受け、SOSを出します。幸いにも部屋が２部屋あり、内鍵をかけられたことで、サイコパスとは一旦休戦状態へ。とはいえ絶望的な展開。もちろん奴は安心し切っています。気分次第でいつでも手にかけられる状況だから……。緊急出動チームは彼女のスマホのGPSを頼りにしながらも、辿り着いた先は大型団地。何棟の何階の何号室に監禁されているのか見当もつかない……と、毎話手に汗握る展開のオンパレード！！

一刻も早い救出が必要とされるなか、周囲をあんぐりさせる策ばかり講じるホゲに振り回される隊員&視聴者。スリル満点でありながらヒューマン作品らしい温かさを感じられますし、エピソードごとに込められたメッセージにも注目してほしい。上司であろうと政界の偉い人であろうと、肉親であろうと関係なく、容赦なく「善」へと突き進むホゲの言動。心にめちゃくちゃ響いては、考えさせられる点も多い！ 隠れ名作になりそうな予感です。（エディターK）

還暦間近の老刑事が犯人を追って走る、走る。「定年になったら絶対に走らない」という心のつぶやきとともに。そんなスローモーションカットから始まる本作。タイトルロールの刑事ロクことテクロクを演じるのは、『ミセン-未生-』や『記憶〜愛する人へ〜』などの心揺さぶる名演で知られるイ・ソンミン（『未成年裁判』でのキム・ヘスとの対決も震えましたね〜）。ぎりぎりに追い詰められた状態で必死で踏ん張り続ける瀬戸際のイ・ソンミンって、ピークをとうに過ぎたボクサーがズタボロに殴られフラフラになってもダウンしない感じにも似て、手に汗握っちゃうというか、タオル投げた方がいいのではと何度もセコンド（いないけれど）見ちゃったりとか、とにかく目が離せないわけでして。

で、そんなイ・ソンミン演じるテクロクは、凶悪犯ばかりを追ってきた手練れのベテラン刑事。それゆえ犯人に狙われることも多く、その過去のトラウマから、薬は手放せないし、家族とも別れうらぶれた共同アパートで一人暮らすという、のっけからズタボロ感半端なく。そのテクロクが「チング（友達）」と名乗る謎の人物からの電話を受けたことから、同僚殺しの容疑者に仕立てられてしまい“最後の心理戦”が展開。真犯人を逮捕するためにテクロクに与えられたのは１週間。「チング」に脅迫されているテクロクは、「チング」の指示通りに自分が関係した過去の事件を洗い出しながら誰にも相談できず捜査を続けるのですが。折りしも、テクロクの所属するクモ署では何やら不正が横行している様子。いったい「チング」とは誰なのか。その目的は何なのか。謎を追う孤高の老刑事の捜査に協力するのは、新たに赴任してきたクク刑事（チン・グ）。

ヘタヘタのテクロクを追い越して犯人逮捕を手助けしちゃうその登場シーンは、年老いた刑事VS若きエリートの対比が何とも言えずグッと心を持ってかれちゃうのですが、最初はテクロクを疑っていたクク刑事が、次第にテクロクの人柄に傾倒していき……というところにもグッ。出演を決めるきっかけがイ・ソンミンの存在だったというチン・グ。撮影中もずっと“ときめいて”いたという彼とイ・ソンミンのブロマンスもゾクゾクです。犯人探しが混迷するミステリーも当然面白く、やっと犯人に行き着いたと思った瞬間、実は……という愕然のラスト。シーズン２、パリッパリ（早く早く）待ってます！（さすらいのライター山崎）

物語の設定やメロディからして、なにやら第１次韓流ブーム時代の韓ドラを彷彿させるような俗に言う「エモさ」を感じるのは私だけでしょうか。妙に色気立つクォン・サンウの存在が余計にそう感じるのかもしれませんが（笑）、従来の味を残しながら、親子の絆、家族の愛を問うようなヒューマン作品に仕上がっています。『椿の花咲く頃』で親子役だったカン・ハヌルとコ・ドゥシムがまたまたいいケミストリーを見せてくれているためにふたりのシーンは別格でして、とにかく涙腺が弱って仕方ない……！

1950年代の激動期を生き抜いた一人のハルモニで、韓国屈指のホテルチェーン「楽園」の創設者兼会長のチャ・グムスン（ドゥシム）の「最後の願い」が物語のキー。グムスンは北朝鮮で生き別れた夫と最愛の息子の存在を胸に秘めこれまで必死に生きてきたと、序盤はその過去だけで泣けます。のちに夫も息子も命の灯火が消えてしまったことを知り、グムスンも３ヶ月と余命宣告を受けた今、所在がわからない孫のリ・ムンソン（ノ・サンヒョン）に会うことだけを切望しているわけです。長年グムスンに使える執事のチョン・サンチョル（ソン・ドンイル）が怪しいルートでようやく見つけたのは、到底会わせることができない悪党と変わり果てたムンソン……。そこで目をつけたのが、無名俳優のユ・ジェホン（ハヌル）。北朝鮮の兵士を題材としたジェホンの演劇を観て、なんと“ムンソン”の芝居をしてほしいと。最初こそ「それ詐欺ですよね？」と怪訝な顔をしていたジェホンも、多額の金を提示されコロッと変わり身。財閥一家相手に芝居する日々のなかで、グムスンへの想いが日に日に大きくなっていくんですね。罪悪感とともに。隠し通せる嘘はないとよく言いますが、バレるその瞬間をジェホン同様にヒヤヒヤしながら見守っている状況！！

世界観にはグッと引き込まれるのですが、扱っている題材的にも感情移入できるかどうかがミソになってくるような気がしております。なので、ある程度話数を溜め込んでから間髪開けずにイッキ観するのが最適解でした！ 少し間を開けて作品の世界観から一歩引いてしまうと、また入り込むまでに時間がかかるのですよね……あくまで個人的見解ですが。切なさが全体を覆いながらも、随所に薫るユーモラスな部分と、ロマンスの展開が今後どうなるのか!? まだ10話までの視聴なので、最後までじっくりゆっくりと見届けたいと思います。（エディターK）