百想芸術大賞で作品賞を受賞し、ナムグン・ミンの圧倒的な演技力に魅了される『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』や、イ・ジョンウンとApink チョン・ウンジのドタバタ入れ替わり(!?)ロマコメに思わず笑ってしまう『Missナイト & Missデイ』など、あらゆるジャンルの良作が続々と配信開始に! そのなかから今観ておいて損なしの話題作を韓ドラマニアのライター&エディターが熱量たっぷりにリコメンド。
『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』U-NEXTにて独占配信中 ©2023MBC
Netflixシリーズ『Missナイト & Missデイ』独占配信中
Netflixシリーズ『ヒエラルキー』独占配信中
『卒業』U-NEXTにて独占配信中 © STUDIO DRAGON CORPORATION
【韓国ドラマ ナビゲーター】 さすらいのライター 山崎敦子 『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK 母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。
ナムグン・ミン×アン・ウンジン『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』/とにかく切なくて泣ける、最新ロマンス時代劇
『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』U-NEXTにて独占配信中 ©2023MBC
先日の百想芸術大賞で作品賞を受賞した本作。全話観終わって一言、まあ期待を外さない、さすがナムグン・ミンです。アクションもお手のものだし、『賢い医師生活』から安定の演技力を見せるアン・ウンジンとのケミも想像以上で、またひとつ名作が誕生したな〜という感覚。清の朝鮮侵略によって勃発した“丙子(へいし)の乱”が時代背景で、戦乱のなかで必死に生きる人々にフォーカスされているだけに、切ないし、苦しいし、怒り心頭に発する場面が多くて疲れるのも事実。けれど、あまりにも過酷で残酷な日々のなかでも無条件にひとりの人間をここまで愛することができるのか、それが人の本質なのか……と心に刺さるものがある。これだからロマンス時代劇はやめられないんですよね。 舞台は1636年の春。ヌングン里に住む両班のおてんば娘ギルチェ(ウンジン)は、片思い中のヨンジュン(イ・ハクジュ)と親友のウネ(イ・ダイン)が婚姻しそうで落ち着かない日々を過ごしていたんですね。そんな時、里にやってきたのがジャンヒョン(ミン)。すべてが謎の男です。飄々としていて思考は不明。本質が見えず、非婚主義を公言するような人。もちろんギルチェは相手にしません。ジャンヒョンも、最初は世間知らずで無鉄砲なギルチェを観察対象としか見ていなかったけれど、次第にギルチェの芯の強さや逞しさに惹かれていくと。お構いなしに迫るジャンヒョンにときめくのも束の間、清の軍隊が国境を越えて攻め入ったという知らせが入り、急展開を迎えていきます。ここからはもうエンドレスに苦しい。争いによって苦しめられるのはいつだって民で、身近な人が次々と亡くなっていく恐怖、生き延びることへの不安、終わりが見えない残酷な現実が怒涛の展開で繰り広げられていきます。 時代劇ならではの信じ難いタイミングの悪さですれ違うジャンヒョンとギルチェの恋模様はそりゃもう気になるし、ずっと「待て」を要求されている気分ですが、本作はそれだけじゃないんですよ。ジャンヒョンに突き動かされて変わっていく世子(演じているキム・ムジュンは『ブラックペアン2』に出演中!)、ジャンヒョンの弟のような存在のリャンウム(キム・ユヌ)の心の闇と葛藤、ギルチェとウネの絆に泣けて泣けて仕方ない! 特に心打たれたのは、ギルチェとウネが侍女を連れて清の追っ手から逃げるシーン。「敵に姿を見られたら、その時点で国のために自害せよ」との教えが頭をよぎるウネに対し、それを真っ向から跳ねのけるギルチェ。彼女の真っ直ぐさが、ウネの救いとなるんですね。こういうエンパワーメント要素を組み込んだ脚本にもグッとくる。観始めたら止まれない、(幸せな)徹夜案件ドラマです。(エディターK)
『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』U-NEXTにて独占配信中 ©2023MBC
チョン・ウンジ×イ・ジョンウン『Missナイト&Missデイ』/ラブ、コメディ、ヒューマンにスリラーの要素も薫らせて
Netflixシリーズ『Missナイト & Missデイ』独占配信中
味のある個性派Apinkのチョン・ウンジが突然、『パラサイト 半地下の家族』のあの家政婦役の名バイプレイヤー、イ・ジョウンのビジュアルになってしまったら……。想像するだけでなんだか愉快になってくるこの設定&配役がもはや勝利していると言いましょうか。ウンジ演じるヒロインのイ・ミジンは間もなく30代に突入する20代崖っぷち。公務員試験に何度も挑戦すれど、成績は優秀なのになぜか7年間落ち続けている流浪の就活生。さらに就活詐欺に遭い母から預かった大切なお金も奪われボロボロ。そんなある日、一匹の猫を助けたことがきっかけで、日の昇っている間だけ30歳も年上のおばさん(イ・ジョンウン)になってしまうという事態に。 夜は本来の自分の姿に戻れるのだけれど、これでは就活すらできないと嘆き悲しむミジンですが、地元の地方検察庁のシニアインターン募集記事を見てイム・スンというかつて失踪した叔母の名を借り応募してみたところ、見事初めての就職に成功。働ける喜びを噛み締めながら清掃の仕事に精を出すイム・スンですが、社会服務要員として配属されていたアイドルのコ・ウォン(ペク・ソフ)を暴漢から救ったことから、なんと事務官に任命されるという快挙。実は、上司となるケ・ジウン検事(チェ・ジニョク)は冷徹な完璧主義者で自分にも他人にも超絶厳しい性格。そのため、今どきの若い事務官が居つかず、イム・スンに白羽の矢が立ったという次第。「おばさんでは激務がこなせない」とケ検事は無理難題な仕事で辞任させる作戦に出るのですが、数々のバイトをこなしながら、弛まぬ努力と勉学を続けてきたイム・スンことミジンは、どれもこれも完璧にやりこなしてしまうわけで、ここら辺のイ・ジョンウンがそりゃあもう楽しすぎるというか。 まだ7話の視聴ではありますが、物語はケ検事とミジンの過去に関係するであろう失踪事件につながるミステリーサスペンスと、ミジンをめぐる検事VSアイドルの三角関係ロマンスが同時進行しながらハラハラドキドキの展開を見せてくれそうな予感。チェ・ジニョクのツンデレぶりも板についているし、ペク・ソフのアイドル役もキュート。私的にはふたりのイケメンとイ・ジョンウンとのそれぞれのラブシーンをぜひともお願いしたいところなんですが、はてさて。それにしても、猫を助けたのにビジュアルが歳取っちゃうなんて、酷すぎません? お礼にもっといいご褒美をくれても良さそうなのに……と思うところに、今回のドラマのテーマも隠れていそうで、そちらも楽しく見届けたいと思います。(さすらいのライター山崎)
Netflixシリーズ『Missナイト & Missデイ』独占配信中
チョン・リョウォン×ウィ・ハジュン『卒業』/韓国でムーブメントを起こした“年下ロマンス”の再来!?
『卒業』U-NEXTにて独占配信中 © STUDIO DRAGON CORPORATION
年下男子と赤い傘、そして雨。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』の鉄板ネタに、思わずデジャヴ!と驚いた『卒業』。さすがアン・パンソク監督の最新作! 類似ポイントがありすぎて、『よくおごって〜』が好きな人にはぜひ観てほしい。本作は韓国の社会問題にもなっている「高校生と塾と学校」に焦点を当てているので、もう少し恋愛要素はマイルドかなと思いながら、人の恋愛を土足でのぞき込んでしまっている感は残したままという絶妙な塩梅。なにより皆さん、ウィ・ハジュン待望のメロですよ〜〜〜! スリラーやアクションジャンルが多いゆえ、いつやってくれるのか?と期待していた人も多いはず。もれなく私もそのひとりです。 『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』然り、日本とは違う独特な学習文化がある韓国。財閥はいいコーディネーターをつけること、一般家庭はいい講師がいる塾に入れることこそが、高校生の子どもを持つ母親の最優先事項であり、務めなんですね。その闇にグッとフォーカスされる回もあり、いい講師、いい先生、子どもにとって本当に必要な環境とは?を改めて考えさせられます。で、そんな壮絶な塾争いのなかでトップの座を守っている勤続14年のソ・ヘジン(チョン・リョウォン)と、かつての教え子であり、新人講師として働き始めるイ・ジュノ(ハジュン)のロマンスが繰り広げられていくと。設定自体に目新しさはないものの、パンソク監督ならではのニクい演出が目白押しでどうしたってときめくんですよ! 小っ恥ずかしさで言ったら『よくおごって〜』に分配が上がります(笑)が、ふたりの距離の縮め方やジュノの無鉄砲さ、強引さ、可愛さが全面に表れすぎなんです。骨抜きにされるとはこういうことですか?と納得。 そして後半で描かれてくるのは、対極に見える学校と塾の在り方、そこで働く人たちの葛藤に加えて、ふたりの関係が周知の事実となったとき、世間でどういう扱いを受けるのか?という点。ヘジンが築き上げた信頼は一瞬で砕け散り、これまでの努力も無かったことにされたり、ありもしない話をでっち上げられたりと、心身ともに追い詰められていく姿は決して他人事とは思えず。中盤、若干の中弛みを感じる部分もあるけれど、演技派のリョウォンとハジュンをはじめ、サブカップル(ソ・ジュヨンとシン・ジュヒョプ)がうまく手綱を引いてくれたおかげでしっかりとロマンスを堪能できますし、偏見ではなく、物事の本質はどこにあるのかを自分のフィルターでしっかりと見定めなければならないと感じる作品です。(エディターK)
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イ・チェミン×ノ・ジョンウィ『ヒエラルキー』/上位0.01%の学生たちの深い闇が映し出される
Netflixシリーズ『ヒエラルキー』独占配信中
上位0.01%という韓国トップクラスのご子息ご令嬢が通うケタ違いにハイソなチュシン高校が舞台。「ノブレス・オブリージュ」の精神に則って、この高校には奨学生制度が設けられており、つまり、社会貢献の名のもとに庶民の生徒たちも学費免除で受け入れているのですが、トップの生徒は校長さえも抗えない絶対的な権力を持っており、その金持ち度合いによって決められる圧倒的なヒエラルキーが形成されている(当然奨学生は最下層)……というのが物語のバックボーン。となると、かつての名作『花より男子〜Boys Over Flowers〜』や『相続者たち』ばりの身分違いの胸きゅんロマンスか?と思いきや、ドラマ冒頭、いきなり奨学生が無残な事故死を遂げる衝撃的なシーン。ってことは、ドロドロの学園マクチャンサスペンスか!? 物語は、チュシン高校にカン・ハ(イ・チェミン)という奨学生が新たに転入してきたことから動き始めます。学園のトップとして君臨するのはチェユルグループ令嬢チョン・ジェイ(ノ・ジョンウィ)と、曽祖父が高校の創始者でもあるチュシングループの御曹司キム・リアン(キム・ジェウォン)。ふたりは恋人同士なのだけど、ジェイが一方的に別れを告げたことから一気に不穏なムードに。一方、カン・ハはそんなジェイとの距離を急激に縮めていくのですが、そこからヒエラルキーの世界が大きく崩れ始めていき……という展開。それにしても、なぜジェイは別れを告げたのか? カン・ハとジェイにロマンスは生まれるのか? そもそも奨学生の事故死は何なのか? そんな謎にひっぱられながら思わず一気観してしまった作品。観終わってみれば、思うところも多々あったりするのですが、とにかく主軸の高校生たちのフレッシュな吸引力に引っ張られてしまうというか。 カン・ハ役のイ・チェミン(『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』などで人気上昇中)や、キム・リアン役のキム・ジェウォン(『私たちのブルース』でチャ・スンウォンの高校時代を演じた)など、次世代オーラ感バリバリの存在感もさることながら、やっぱりヒロイン、ジェイ役のノ・ジョンウィです。とにかく美しいし麗しいし。思えば『その年、私たちは』でチェ・ウシクに片想いする金髪のアイドル役を演じていた彼女。それとはまったくイメージ違う今回のヒロインは、絶望のような憂いをはらんだ超絶クラシックな美貌が圧巻で、吸い込まれるように見入ってしまったという次第。物語的にはひょっとしてシーズン2あり?的な結末。だとすれば、今度はすべてのピースがぎゅーっとロマンスに集中していく身悶えするような展開をぜひとも〜。(さすらいのライター山崎)
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