【韓国ドラマ】40代俳優ソ・ジソブの不死身っぷりがすごい!? Netflix新作『広場』にハマる理由

やっぱりこの男は孤独と悲運がよく似合う。そう、ソ・ジソブ。ご存じ『ごめん、愛してる』で魅せた、これでもか、これでもかというほど降りかかる不運のなかで、命尽きるまで愛するものを守り抜く壮絶なる生き様。その姿に、その眼差しに、涙した人も多いのではないでしょうか。一見クールにして内に熱い炎を宿しながら、こうと決めた目的に向かって、たったひとり寡黙に走り抜く彼ならではのヒリつくような哀感が、13年ぶりにノワールアクションを舞台に蘇ったといいましょうか。タイトルの『広場』とは、裏社会、もしくはその縄張りのこと。ジソブが演じるのは11年前の抗争の責任を取り、自らアキレス腱を断ち切って、“広場”から身をひいた男ナム・ギジュン。彼の弟ナム・ギソク（イ・ジュニョク）は、今では同組のNo.２に上り詰めていたのですが、突然何者かによって刺殺されてしまうところから、ギジュンの孤独な復讐劇の幕が切って落とされます。

背景となるのはソウルの裏社会を牛耳るイ・ジュウン会長（ホ・ジュノ）率いる「ジュウン組」とク・ボンサン会長（アン・ギルガン）率いる「ボンサン組」の２つの暴力団。ギソクの死をきっかけに11年の間、静かだった広場に、再び血で血を洗う縄張り争いが勃発。その激しい抗争のなか、ギジュンは、弟を殺した犯人とその真実に向かって突き進んでいくという展開です。大きな見どころのひとつはやっぱり帰ってきたギジュンというか、ジソブというか。眼差しの奥に悲しさを秘めながら孤独に突き進むギジュンですが、一旦敵を相手にすれば、これが強いのなんのって。刃物や鉄パイプを武器に次から次へと襲いかかってくる大勢の敵を相手に、足引き摺りながらも拳ひとつでバッタバッタと倒しまくる姿は、まるで『犯罪都市』シリーズのマ・ドンソクのような無敵感。なのに、敵を倒す爽快感よりはむしろ切ないほどの悲壮感が伝わってくるのは、やっぱりジソブだからなんでしょうね。増えていく体の傷よりもむしろ、彼の心に刻み込まれた深い傷のほうにヒリヒリと癒えない強烈な痛みを感じるといいましょうか。深遠なテーマ性や複雑な設定を一切省いたわかりやすいストーリー運びは、刃物でグサグサなどのエグいシーンはあるもののノワール苦手派でも一気見できちゃうほどサクサクと楽しめるのも魅力。

そして、もうひとつ見逃せないのが今年最大の注目若手俳優チュ・ヨンウと除隊後のコンミョン。それぞれ敵対する組の会長の息子役なのでありますが、検事となったクールなヨンウと、どうしようもないドラ息子のコンミョンと。それぞれに違う２代目の宿命を背負いながら、「あー、そうなるか」的な成れの果てキャラクターを迫真の演技で表現しているのがスゴイ。特に、私的待ちに待っていたコンミョン。ドラ息子の振り切ったミッチン（狂った）ぶりに、救いようのないやなヤツなのに思わず惚れてしまうほどのなりきり感。軍隊帰りで今後ますます活躍するであろうコンミョンに、期待せずにはいられません。（さすらいのライター山崎）