韓国ドラマの王道ジャンルといえば、ときめきと法廷シーンの心理戦にドキドキさせられる“弁護士×ロマンス”作品! 近年はさまざまな制作会社がこぞって力を入れているジャンルだけに、良作が続々と登場。話題の新作『その恋、断固お断りします』から、色褪せぬ過去の良作『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』まで、一度は観ておきたい作品を韓ドラマニアのふたりが熱くリコメンド!
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『その恋、断固お断りします』/笑いとロマンスの配分が絶妙の最新人気作!
女性弁護士がヒロインではありますが、これといった法廷シーンはほとんどありません。ロマンス主体。しかも、思わず笑って、図らずもきゅんきゅんしつつ、ところどころにジーンと泣かされ、最後はデトックスした後のようにスッキリ爽快な笑顔になれる王道ラブコメなのです。ロマンスの主役を演じるのは、36歳のキム・オクビンと41歳のユ・テオ。日本での知名度はあまりなく、それほど若くないふたりではありますが、それゆえ見逃しているとしたらちょっともったいない。もはやNetflixトップ10の常連人気作品は、一度視聴し始めれば、やめられない止まらないノンストップな面白さ。『社内お見合い』や『最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜』にハマった人なら、文句なしに楽しめること請け合いです。
負けず嫌い、男嫌いの弁護士ヨ・ミラン(キム・オクビン)が、女性に不信感バリバリのトップスター俳優ガンホ(ユ・テオ)の担当弁護士になるところからラブが展開する物語は、突如浮上したスキャンダルをもみ消すためにふたりが契約恋愛することになり、グッと深まっていくという“あるある”なノリ。すべてのキャラもストーリー展開も、思わず“おいおい”と楽しくツッコミを入れられちゃうほど振り切られていて、その筆頭が当然ではありますが、女弁護士ヨ・ミラン。小さい頃から、女が男に一歩譲ることに理不尽さを感じ、格闘技を習い尽くして腕っ節まで鍛え上げ、つい弁護より先に手が出てしまうほどの武闘派熱血フェミニスト。ワンナイトな関係は数知れずという恋愛も男まさりな豪快さ。一方のガンホは、ロマンス職人といわれるほどラブものに引っ張りだこの人気俳優なのですが、実は過去のトラウマから、精神安定剤飲まずしてラブシーンを演じられないほど大の女性不信。そんな反発必至なふたりが、どう、惹かれあっていくかは、もちろん見てのお楽しみですが、スパイスの効いたコクと味わい、ビシバシ挟み込んでくる小技の応酬は、脂のりきるアラフォー同士ならではのこなれ感。思わず、楽しい〜〜〜と声を上げたくなること必至。
『社内お見合い』同様、『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』で大ブレイクしたキム・ジフン演じるサブカップルラブもきゅん指数高めなのですが、それにしても、彼も主演のユ・テオも私の苦手な濃い顔系。なのに、これが最後にはまんまと!なんですよね〜。うーむ、韓国ラブコメ濃い顔系の不思議な吸引力、恐るべしです。(さすらいのライター山崎)
『私たち、他人になれるかな?』/現代夫婦のリアルな悩みと葛藤の嵐
「元夫婦は果たして“他人”になれるのか?」の問いをとことん追求した新たな弁護士ドラマ。しかもチャン・スンジョ(『模範刑事』『スノー・ドロップ』など)のロマンスは私自身めちゃくちゃ待ち望んでいたジャンルでございます。お相手は本作が出産後の復帰作となるカン・ソラ! ただし、現代社会が抱える闇や本音がベースにある作品のため、単なる法廷ロマンスものではないのがミソ。夫婦生活のすれ違い、子どもを持つか否かの選択、その価値観の違いなどが、メインカップルを筆頭に、離婚協議中のさまざまな夫婦を通して見せられていくんですね。改めて考えさせられる点も多い上に、スンジョとソラの駆け引きにときめくし、もどかしいしで、大人にこそ刺さる作品かと思います。
離婚専門の敏腕弁護士としてお茶の間のスター的存在のオ・ハラ(ソラ)が勤める事務所に、元夫で同じく弁護士のク・ウンボム(スンジョ)が入社することになり、なんと同僚関係に。「こいつは不倫した最低最悪なクズ」と何度も心の中で唱えるもののウンボムへの思いをまったく断ち切れておらず、ひとり相撲状態。この「気にしたくないのに気になって仕方ない」状態って、恋愛のあれこれで必ず通る道ですよね。さらに相手があっけらかんとした態度だと、なぜか敗北感が襲ってくるという……とはいえ総じてソラがウンボムに振り回されているかのように見えるものの、ウンボムが抱える闇もちらりと。人間関係の複雑化もありながら、いちばん近しいはずの家族が時に最も遠い存在に感じるような構図と、そうならざるを得ない理由がただただ切ない。他人になりたいと願いながら、愛と憎しみのふたつの感情に悩まされる元夫婦の姿。これってリアル以外のなにものでもない。
しかも嘘で固められた「不倫」にはソラの知らない真実が潜んでおり、私個人の意見としては真実のほうがよほど残酷だなと思う次第ですが……視聴した皆さんの意見もぜひ伺いたい。本作の特徴として、ハラとウンボムをはじめ、同僚のカン・ビチ(チョ・ウンジ)やクォン・シウク(イ・ジェウォン)といった登場人物たちの人間味が溢れているだけに、親近感が湧いて物語に入りやすい!という点があるかと思います。世の夫婦が抱える悩みと葛藤が浮き彫りになった物語に、共感の声が相次ぐこと請け合い。(エディターK)
『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』/何年経っても色褪せない良作の法廷サスペンス!
多分、法廷サスペンスの中では、私的ベスト オブ ベスト。それほどの激愛作品。なんてったって、敬愛してやまないキム・ヘス姉さん(『シュルプ』)と、永遠の貴公子チュ・ジフン(『キングダム』)という私にとってはかなり垂涎な組み合わせ。そのふたりが法廷を舞台に生き残りをかけて、くんずほぐれずの闘いを繰り広げるわけですから、わくわくが止まらないというか。
チュ・ジフンが演じるのは、大手弁護士事務所のエリート弁護士ヒジェ。頭脳明晰で、豊富な情報を駆使してサラリとクールに勝訴率を上げるスマートタイプ。最年少でパートナー弁護士へと上り詰め、おまけに家柄も法曹界のサラブレッドという生え抜きなわけです。当然、恋人にするべき女性に対する視線も厳しく、理想が高いというよりめちゃ細かい。そんなヒジェが毎回深夜に通っているコインランドリーで巻き毛のロングヘアが優美なひとりの女性に出逢います。こんな時間に女性が……と注視すれば、読んでる本は自分の好きな作家だし、立ち居振る舞い全てが自分の好みドンズバ。こんな理想の女性は二度とは現れない!とばかりにヒジェは猛烈アタックし、ついに思いを遂げて恋人同士になるわけです。ところがです。そんな中、自分が担当する訴訟の裁判に、相手側の弁護士として現れた女性は、なんとなんと、その恋人。そう、それこそキム・ヘス演じるこのドラマのヒロイン、ハイエナ弁護士のクムジャだったという!
貧しい家に生まれ大学にも行けなかったクムジャは、がむしゃらに這い上がってきた雑草タイプ。金に対する執着心は人一倍で、手段を選ばず“勝ち”を取りにいくなりふり構わない剛腕弁護士。その雑草クムジャとスマートヒジェが、さまざまな案件で対立するわけですが、その逆転に次ぐ逆転を繰り広げる訴訟の展開も、ドラマ全体を貫くサスペンスとしての面白さも超ド級。そして、なにより楽しませてくれるのが、ふたりの微妙な関係性。何度も何度もクムジャに手玉に取られながら、それでも彼女に惹かれてしまうヒジェの複雑な男心と、過去のトラウマから“男なんて誰も信じられない”クムジャの実はガラスのような脆さを抱える切ない女心、その複雑かつ絶妙に揺れ動くロマンスの綾が絶品。果たしてクムジャの思いはどこにあるのか……。くっつきそうでくっつかない、くっつかなそうで……というロマンスの意味深具合も最高。3年前の作品ですが、まだの方はぜひ視聴を。(さすらいのライター山崎)
『あやしいパートナー~Destiny Lovers~』/ここにときめきしかない、元祖法廷ロマコメ
チ・チャンウクに沼って沼って抜け出せなくなる作品といえばこれ。彼のロマンス作品はどれも良作ですが、さすがは韓国俳優きってのキス職人。ヒロイン役で子役出身俳優のナム・ジヒョンとの濃厚キスシーンをこれでもかと披露。そして演出の策略通りに終始ときめきっぱなし!! 漂う色気が尋常ではないので、エネルギードリンク飲料時並みにアドレナリンが湧きでます。『青春MT』出演時にクォン・ナラ(本ドラマで元カノ役として登場)が、ファン・イニョプ(チャンウクとは『アンナラスマナラ -魔法の旋律-』で共演)に対し、「恋愛ドラマはチャンウク先輩に学ぶべし」と言及するだけあります。本作はロマ強めですが、もちろんそれだけではありません。法廷×ロマンスにサスペンスをブレンドし、濃密すぎる香りと味わいを引き出しています。2017年放送と少し昔なので時代設定など若干古く感じるかもしれませんが、驚くほどにときめきは健在ですのでご安心を。
起訴成功率1位の凄腕検事ノ・ジウク(チャンウク)はある日電車で痴漢に間違われ、散々な目に。その相手こそ、弁護士を目指す司法修習生のウン・ボンヒ(ジヒョン)という、期待をまったく裏切らない元祖韓ドラロマコメらしい出会い方です。それからというもの、浮気されて別れた元恋人チャン・ヒジュン(2PM チャンソン)が何者かに殺害され、その殺人容疑をかけられてしまったボンヒを放っておけず、法廷に立つジウク。しかし裁判は思わぬ展開を迎え、ジウクが検察を辞める事態に発展。幼馴染のチ・ウニョク(チェ・テジュン)の弁護士事務所で働き始めるという結構なカオス状態にありながら、ヒジュンを殺害した真犯人をボンヒとふたりで探し出すことに。
それにしても、意固地だった人が「変わっていく姿」とは、どうしてこうも愛らしく見えるんでしょうね……。ジウクがボンヒという沼に落ちていく様を横目に、こちらはジウクに落ちていくという。さらにジウクに復縁を迫る元カノチャ・ユジョン(ナラ)や、実はユジョンに思いを寄せるウニョク、ボンヒに恨みを募らせる司法修習生ナ・ジヘ(キム・イェウォン)の存在が、物語をいい具合に掻き乱してくれる! 法廷ロマンスをピリリと引き締めるサスペンス要素のおかげで、大人が楽しめるロマコメに仕上がっていると思います。(エディターK)