演技派キム・ナムギル×スタジオ ドラゴン制作で話題になっている最新作『アイランド』や、多くの国のNetflix視聴ランキングで首位を獲得した新たな復讐劇『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』など、12月配信開始の話題作を韓ドラマニアが本気レビュー! 4作品のなかから気になる作品をぜひ見つけてみて。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『アイランド』/シンクロ率100%と原作ファンの心を掴んだ話題作!
最初に念を押しておきたいのは、パート1はほんの序章にすぎないということ。だから、まだ伏線の段階。物語が大きく動くのは2月配信のパート2を待たなければなりません。それなのに、このワクワク感(もれなく切ないも満載)。1997年出版の大人気漫画を原作に、舞台となるのは“その昔、神と鬼により世界が混沌に陥った”という伝説を持つ現在の済州島。済州島には守り神として有名な石像トルハルバンがありますが、ドラマによるとこの石像、妖怪たちが這い出てくる地獄の穴を塞ぐため46人の子供たちを生贄として変えたもので、これにより鎮まったというのが由来だそう。そのトルハルバンを砕いて再び妖怪たちが姿を現し始めたというのがドラマの発端。済州島伝説を絶妙に織り交ぜながら、妖怪と戦わなければならない運命を担った人々と、その戦いを描くのがこのドラマ。
とにかく話題なのが漫画とのシンクロ率100%といわれる豪華俳優陣で、主人公のバンを演じるのは『悪の心を読む者たち』のキム・ナムギルなのですが、伝説の時代、妖怪(ドラマでは情炎鬼)の血を植え付けられ武器になるべく育てられた半分人間、半分妖怪という存在で、数千年に及ぶ歳月を不滅の命で一人耐えながら、救世主となるウォンジョンの生まれ変わりを待っていたという、それだけで胸を締め付けられる役どころは、ナムギルの憂いを含んだ表情と切ないほどにリンク。ヒロインの財閥の娘ミホを演じるのは『恋愛ワードを入力してください〜Search WWW〜』のイ・ダヒ。叔母の策略で済州島の高校教師として働き始めることになるのですが、実は彼女、ウォンジョンの生まれ変わりで、そのため、度々妖怪の標的に。凛として美しく、一見高慢そうだけれどおちゃめかつ実は心優しいミホとイ・ダヒのリンクも完璧。
そして、そして、もう一人、忘れてならないのが我らがチャ・ウヌです。扮するのは最高の実力を持つ悪魔祓い司祭ヨハン。予言書に書かれた救世主ミホを守るために済州島にやってきたという設定。原作以上に美しく神々しい存在感はもちろんですが、ちょっとチャラめという新たな魅力もたっぷり堪能できるのも垂涎。この3人が世界をどう守るのか、はたまたバンとミホの命がけのロマンスはどうなるのか、その見どころはパート2に譲るとして、パート1はやっぱり“ウヌ・ヨハン”。涙なくしては見られないヨハンの悲しい運命が物語を引っ張る終盤。必見です。(さすらいのライター山崎)
『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』/復讐の先に待っているものとは
衝撃的な1話目に恐怖に似た怒りの感情を覚えながらも、復讐のその果てが観たい一心で徹夜し、約1日で観終わってしまったんですよ、この作品。シーズン2があることを先に知っていたら、絶対にまだ手を付けなかったのに!!と涙をのみました。そして3月10日配信って! 待てませんよ!! 脱力感満載だったので、今から観る方はぜひシーズン2視聴日を逆算してから観ることをお勧めします。それくらい、続きが気になりモヤモヤしてしまうのは久しぶりです。
本作はソン・ヘギョ演じる主人公のムン・ドンウンが高校生時代に受けたいじめの復讐がテーマ。いじめは韓国の社会問題であり日本も決して他人事ではないですが、これまたキム・ウンスク作家(『太陽の末裔』『トッケビ』など)の描き方がえげつないのですよ……。第三者という名の「傍観者」の心にグッサグサと矢を放つイメージで、1シーンごとに「君が思っている以上に闇は濃く深い」と突きつけられているかのよう。同級生でリーダー的存在のヨンジンを筆頭に、サラ、へジョン、ミョンオ、ジェジュンのターゲットにされてしまってから、ドンウンに突如訪れた逃られない絶望。カースト上位とされる学生たちの「遊び」「暇つぶし」「ストレス解消」の餌にされる日々。ヒロイン役でお馴染みのシン・イェウンがまさかヨンジンを演じるとは!と驚きましたが、凄みが桁違いであるが故に、演技ということを忘れ怒りに震える瞬間も。ヘアアイロンを当てる残虐的すぎるシーンは、本当に、見ていられませんでした。ドンウンに残ったのは数え切れないほどのやけどの傷と、決して癒えぬ心の傷。そして人生をかけた復讐を誓います。
復讐を実行するために緻密に練られたドンウンの計画を前に、ヨジョン(イ・ドヒョン)、ヒョンナム(ヨム・ヘラン)という想定外の異分子が現れ、少しずつ人間らしさを取り戻していけるかと思いきや、現実はそんなに甘くなく。そのリアルさがまた切なく苦しいのにもかかわらず、これだけ見入ってしまうのは、物語に一筋の希望が描かれることを願っているからかもしれません。そして、ドラマを通してまたしても強烈なメッセージを世に放ったことは間違いない。作家ニム(様)曰く、シーズン2は痛快な復讐劇が繰り広げられるとのことなので、また徹夜案件となりそうです。(エディターK)
『愛と、利と』/損得勘定なしに、人を好きになれるのか?
10話まで観終わったところです。何とも言えない心ざわつくやるせなさ。そりゃあ、そうですよね。だって、思えば純粋に好きという気持ちだけで付き合うカップルなんて、現実には少数派なのかもしれませんから。家柄、学歴、職場の格差、そして互いの“好き”の温度……。これまで歩んできたお互いのプロフィールが、時として恋愛をも左右しちゃうらしいと、わかっているつもりではおりましたが、こうもリアルに突きつけられると、なんかなあと力が抜けるというか。厚い真綿で顔を覆い隠されたようで、ソフトタッチではあるのに、なんか、い、息が、く、苦しい……ぞ。
物語は、とある銀行の支店に勤めるそれぞれ立場も考え方も違う男女4人の微妙すぎる四角関係の恋愛模様を描くもの。チーム係長ハ・サンス(ユ・ヨンソク)は有名大卒でトップの成績で就職したものの、慣れない業務に失敗続き。そんな自分を優しくサポートしてくれた預金窓口主任のアン・スヨン(ムン・ガヨン)に思いを抱くようになるのですが、あら?このふたり、なんかいいムード♡なんて思っていたら、まさかのすれ違い。そこに関連してくるのが“格差”。スヨンは高卒の契約社員。上司のパワハラにも言い返せないなど、その格差をじわじわ実感させられることも多く、サンスの一瞬の躊躇を“格差”のせいと思い込んでしまうわけなのですね。で、なんと自分に一途な守衛のジョンヒョン(チョン・ガラム)と付き合い始めてしまうのです! さらに、そのことを知ったサンスは、後輩のパク・ミギョン代理(クム・セロク)の告白を受け入れるという……。しかも、サンスもスヨンも互いへの本当の気持ちを燻らさせたまま。う〜む……。
確かに現実は、どんなところにも“格差”がリアルに存在しているかもしれません。それを慮っての選択は、果たして正しいことなのか、真実の愛なのか。少しずつ少しずつ嫌な方向にズレていく居心地の悪さの描き方が絶品で、パンツが少しずり落ちているのになかなか引き上げられないもどかしさがずっと。なのに、このリアルな痴話恋愛の先が気になって仕方ないというもどかしさもずっと。どうか、ここらへんで一発スカッと心地いい、真実の愛への建設的な展開をお願いしたい! そうでないなら真綿で覆わず、いっそのこときゅ〜っと一思いに締めてくれ〜〜、と思う今現在です。(さすらいのライター山崎)
『ザ・ファビュラス』/恋愛、仕事、人生のために奔走する大人の青春物語
紆余曲折を経て12月、ついに配信開始。SHINee ミンホとチェ・スビンというなかなか興味深いふたりのケミはいかがなものか!?とマニアの間では密かに注目されていた作品ですが、華やかなイメージが先行するファッション業界が舞台なだけに、苦悩はあれど、まあ仕事も恋愛もキラッキラ!青春が眩しい! コロナ禍で失いかけていたというか感覚的に忘れている煌びやかな日常(例えばクラブでのド派手パーリナイとか)を楽しむことができるのは、本作の醍醐味かなと思う次第です。
広告代理店勤務のジウン(スビン)、ジウンの元彼でフォトグラファーのウミン(ミンホ)、ファッションデザイナーのジョセフ(イ・サンウン)、モデルのソノ(パク・ヒジョン)の4人が、仕事、キャリア、恋愛、人生に関して、あーでもない、こーでもないと日々葛藤しながら、時に真剣に、時に手を抜きつつも、己と向き合っていく様子が描かれているわけです。『SATC』や『ゴシップガール』よりかは(話数も少ないので)非常にライトではありますが、共通するところで言うならば、その華やかさとエネルギッシュさ。コロコロ変わるスビンのスタイリングを観ているのも楽しく、『ネクスト・イン・ファッション』で一躍時の人となったデザイナー、ミンジュ・キムがジョセフのコレクションに携わるなど、ファッション好きであれば1度目を通しておきたい!なポイントも多々あります。しかも『イカゲーム』のチョン・ホヨン同様に、有名モデルのヒジョンも本作が俳優デビュー作。今後ますますランウェイ出身俳優がドラマ界に飛び込んでくるやもしれません。
さらにシン・ドンミやイ・ミド、チョン・スギョンといった実力派オンニ(姉)が脇を固めてくれているのが熱い! ながら見になりそうな絶妙なタイミングに現れ吸引力を生むそのパワー、間違いない。そして本作のバイプレイヤーは、チョ・ジョンソクと同じエナジーを感じる(そして似ている)サンウンに一票。次回作は絶対にチェックしようと思いましたが、ミュージカル出身俳優だけに、実力は折り紙つき。ジョセフの一挙手一投足が愛らしくてたまらないのですよ〜〜。ジョセフの秘書、エスター(イ・シウ)との関係性が個人的にはいちばん推せます。弱いところを包み隠さずに互いを支え合う師弟関係、癒されました!(エディターK)