韓国でも「インセン（人生）ドラマ」と愛される大人気医師ドラマ『浪漫ドクター キム・サブ』のシーズン３や、子育てにひと段落ついた大人のセカンドキャリアを描いた『医師チャ・ジョンスク』など、話題の新作が続々と配信スタート！ 笑いあり、涙あり、ときめきありの３拍子が揃った最新韓国ドラマをぜひチェックしてみては。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『医師チャ・ジョンスク』／40代で医師に再チャレンジする強き母の姿
“ジョンスク”と入力したら、ワードが勝手に「貞淑」と変換。へ〜、ジョンスクは漢字で書くと「貞淑」とも表現できるのですね。ドラマの主人公チャ・ジョンスク（オム・ジョンファ）も、まさに“貞淑”な妻。そこからの成長物語がコメディタッチに描かれるのが本作ですが、そんな意味がタイトルロールに込められていたとは！ 大学病院教授の夫イノ（キム・ビョンチョル）と姑、息子、娘と暮らす５人家族の専業主婦ジョンスクは、姑が何かと嫁いびりしようが、夫に冷たくあしらわれようが、母がご飯を作るの当然と子どもたちが思っていようが、家族のために身を粉にして家事する良妻賢母なわけです。でも、実は、予期せぬ学生時代のできちゃった婚で医師になる夢を諦めたという経緯が。その貞淑ジョンスクに生死に関わる災難が降り注ぐというのが、このドラマのプロローグ。
悲しくも母からもらった民間療法の薬が原因で、移植しか手立てなき肝機能障害に。なのに、唯一ドナーになれる夫は躊躇がちな挙句、姑は猛反対。ということで、死を待つしかない状態へと追い込まれてしまうわけなのですね。え〜そんな！ でも、そこはドラマ、いよいよ危ないという時に他にドナーが見つかり無事生還。術後目覚めたジョンスクの絞り出した第一声は夫への「ケーッセッキ（クソ野郎）」。当然です。ということで、貞淑も家事もかなぐり捨て、医師への夢目指して奮闘するという展開です。
ジョンスクを演じるオム・ジョンファは韓国のマドンナとも称される歌手にして俳優。同世代のキム・ヘスのつい平伏しちゃう迫力オーラと違って、等身大の親しみやすさがあり、だから、つい一緒のラインに立って応援したくなるような。面白いのは夫役ビョンチョルとの絶妙なケミ。夫のイノは同じ職場で働く女性医師と実は不倫中。しかも一家の長や教授という立場を笠に着る前時代的男性なのですが、『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』のピラミッド夫を演じた時に似た愛嬌ある可笑しみもあり、憎みきれないのですね、これが。ドラマは、この微妙な三角関係にミュージカル俳優ミン・ウヒョク演じる移植専門医が加わって、ハラハラの四角関係まで展開される模様。40代で医師を目指す年齢の壁と妻や母という立場に対する家族＆世間的な押し付け。そして、夫の不倫。多くの難問にもまれながら、か弱き患者たちを救おうと奮戦するジョンスクの今後を応援せずにはいられません。（さすらいのライター山崎）
『浪漫ドクター キム・サブ３』／心を震わせる名作ドラマのシーズン３！
言わずと知れた名作韓ドラの待望のシーズン３が配信開始しましたね。シーズン２放送時までは日韓同日配信というものがなかったものの、今回はディズニープラス スターで同日独占配信というなんたる嬉しいニュース！！ サブスク文化の恩恵を受けまくっております。“インセン（人生）ドラマ”と多くの人に愛されるだけに、今まで放置していた……という人にもぜひ観てほしい良作中の良作です。涙あり、笑いあり、ときめきありと、生きる上で大切なことをギュッと盛り込んで見せて、思い出させてくれる。そんな医師ドラマなんですね。
シーズンものなのであらすじを超ざっくりと申しますと、舞台はトルダム病院。キム・サブ（ハン・ソッキュ）と呼ばれる一人の名医がいるんですが、これまた風変わりで、曲がったことが大嫌い。とにかく「目の前の命を救うこと」だけに全力を注ぐ熱血医師です。どんな政治的圧力も彼の前では無意味であり、もちろんそんな彼と衝突する人は数知れず。しかしどんな問題児も結局は彼の言動に感化され、チーム一丸となって患者を救うことに命をかけているわけです。今回はシーズン２からの続投メンバーが多く、そのなかでもラブラインを担うウンジェ（イ・ソンギョン）×ウジン（アン・ヒョソプ）のいちゃつきっぷりが最初からトップギアものでして、ニヤけが止まりません……アルム（ソ・ジュヨン）×ウンタク（キム・ミンジェ）のほのぼのカップルは癒しそのものですし、なんといってもオ看護師（チン・ギョン）×ナム先生（ピョン・ウミン）×チャン室長（イム・ウォニ）の安定ベテランチームのやり取りにほっこり！ 毎話向き合う「生と死」の現実に心が苦しくなったり、はたまた希望を抱いたり、とても感情を揺さぶられる分、１話１話噛み締めて観たい気持ちになるんですよ。
そしてシーズン１から試聴している皆さん、覚えていらっしゃるでしょうか。今回はプ・ヨンジュを「キム・サブ」と命名した少女ヒョンジュと関係の深い人物が登場しているんですね。キム・サブが心の奥底に抱える闇にグイッと食い込むシーズンとあり、ますます見逃せません。未視聴の方は騙されたと思って観てほしい。不朽の名作になるであろうインセンドラマです！（エディターK）
『良くも、悪くも、だって母親』／切なくもどかしい、母子の物語
個人的には、原題『나쁜엄마（悪い母親）』のほうが好きです。韓国ドラマやK-POP好きであれば、耳馴染みのある「나쁜＝ナップン」という言葉。ですが単純に「悪い」という一言では表せないニュアンスが含まれていますよね。本当の悪党には「케세키＝ケセッキ」とか、いわゆる「クズヤロー」という言葉を使うことが多いですが、「나쁜＝ナップン」はさまざまな背景ありきで使われることが多いんですよ。本作だと、息子のことを思うあまりに「悪い母親」にならざるを得なかったヨンスン（ラ・ミラン）を指しています。
養豚場で働くヘシク（チョ・ジヌン）と結婚し、産まれてくる我が子に会える日を待ち侘びながら幸せに暮らしていたヨンスン。しかしその幸せはほんの一瞬で過ぎ去り、養豚場を狙う悪党たちによって愛する人を失い、人生を狂わされてしまいます。すべては「貧しさと無知からくる不幸のせいだ」と悟ったヨンスンは、愛息ガンホ（イ・ドヒョン）には決して同じ想いをさせまいと、行き過ぎた教育でガンホを苦しめていくんですよ。序盤でがっつりとヨンスンの苦悩にフォーカスされているだけに、憎めないし、感情移入もしてしまう。けれど、お腹いっぱいになると眠くなる＝勉強が捗らないと好きなものを思うように食べさせてもらえなかったり、遠足にも行けずにひたすら勉強させられていたり、制限しかない人生で自由な時間が一瞬もないガンホを見ていると、胸が苦しくなる。産まれた日から人生が決められているというのは、どんな気持ちなのか。双方の感情が痛いほど伝わってくるからこそ、もどかしい……。現代社会に通ずる闇にも踏み込んでいるなと感じる作品です。
そして母ヨンスンの望み通りにソウル中央地検検事になったガンホですが、心に抱えた闇は払拭することができず。母の思惑とは別に、寂しさと虚しさと孤独を抱えてしまったんですね。切なさが終始降り注ぎます。さらに悪党の犯行によって事故に遭ったガンホは記憶を失い、なんと７歳の心になってしまうという残酷すぎる展開。母子の絆修復は叶うのか？ 制裁を加えることはできるのか？も気になるポイント。ガンホに人間らしい感情を芽生えさせてくれた幼馴染のミジュ（ここでアン・ウンジンというナイスキャスティング！）との結末も気になりますし、後半はますます涙なしには観られない展開が続くことが予想されるので、フェイスタオルを用意して臨みたいと思います！！（エディターK）
『ボラ！デボラ～恋にはいつでも本気～』／大人がハマる王道ラブコメの最新作
私ごとで恐縮ですが、人気ボーイズグループによるサバイバル番組「KINGDOM」（2021年。ABEMAで配信中）で、まさかのiKON落ちして以来、遅咲きではありますが只今コニギ（iKONのファンダム名）活の真っ最中。その推しメンバーの一人ジュネの初ドラマ作となれば、私にとって観ないという選択肢はもはやないわけです。とはいえドラマはというと、「恋愛は戦略と考えるインフルエンサーのデボラ（ユ・インナ）と、恋愛は心という編集者スヒョク（ユン・ヒョンミン＝元プロ野球選手という異色の経歴）が繰り広げるラブコメ」で、これだけ聞くと“韓国ラブコメあるあるね”なあんて、さほど期待してはいなかったというのが正直なところ。なのに、なのにです。まだ８話までの視聴ではありますが、これがかなりな私好みの佳作というか。
というのも主演のユ・インナです。彼女が演じるデボラは、恋愛コーチとして引っ張りだこのインフルエンサー兼コラムニスト。戦略なくしては恋の勝利者にはなれないと、そのノウハウを自信満々に発信しているという役どころ。プライベートでもチキンフランチャイズの２代目ジュワン（２PMのチャンソン）とセレブ恋愛続行中で、恋の勝利者へ着々というところなのですが、勝利の証、ダイヤの指輪目前か……というところで、見ちゃうんですよね、彼の浮気キス現場。そして、彼からのまさかの破局宣言！ そう、恋愛コーチの完璧なる敗北です。その挙句、泥酔するわ、醜態を曝け出すわで、この天国→地獄デボラのユ・インナの振り切りっぷりが見事というか。ジュワン役のチャンソンとのセレブ恋愛の末路に見せる泥試合っぷりも最高に可笑しく、でも、単なる他人の失恋話として手放しで笑えないリアル感も満々。しかも、いけ好かないデボラも醜態デボラもどこか品があってめちゃくちゃキュートなんですね、これが。実年齢40歳。恐るべし手練れです。
脚本も演出もセンス良く、恋愛へのヒントもたっぷり散りばめられていて、単なるキュンキュンだけに留まらない奥行きも程よく。スヒョクとの新たな恋が展開されるであろう後半も一筋縄では終わらなそうな気配満々で、もう楽しみしかありません。そして、ウリ・ジュネ。アカ抜けない可愛い太眉を上げ下げしながら臨む彼のピュアなサイドロマンスにも無条件に胸きゅんしてしまうのは、きっと私が推しだからという理由だけではないと確信しているのですが……。（さすらいのライター山崎）
