『社内お見合い』で大ブレイクしたアン・ヒョソプと、『ヴィンチェンツォ』で安定した演技を見せたチョン・ヨビンのケミストリーも話題の『いつかの君に』や、ロウンが初のツンデレキャラを演じている『この恋は不可抗力』など、新作ロマンス作品が続々登場！ 残暑疲れを吹き飛ばすような（!?）、笑いあり、涙あり、ときめきありの良作を韓ドラマニアが厳選してお届けします。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班／エディターK
母の影響により、第１次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、約20年間あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。永遠の推しは俳優ソン・ジュンギ。若手俳優の発掘が趣味の領域に。
『いつかの君に』／大人気台湾ドラマのリメイク版として大きな話題に
台湾の大人気タイムスリップロマンスの韓国リメイク版です。ドラマの主軸となるのは1998年の３人の高校生なのですが、演じているのは『社内お見合い』アン・ヒョソプ、『ヴィンチェンツォ』チョン・ヨビン、『シスターズ』カン・フン。この３人のシーンから始まるオープニングでは、カン・フンがチョン・ヨビンに片想い中で、カン・フンの親友アン・ヒョソプは、ふたりの仲を取り持とうとしているのだけど、チョン・ヨビンはアン・ヒョソプのほうが好きらしい……という関係性が見えてきます（この時点で３人の役名は不明）。背景に流れるのは19歳の若さで早逝したソ・ジウォンの’90年代ヒット曲「涙をあつめて」。甘く切ないこの調べこそ、実は時空超えのキーアイテムなのですが、ドラマはいきなり現代へ。
チョン・ヨビンはジュニという36歳のITキャリアになっていて、どうやら1年前に最愛の恋人を事故で亡くしたらしい。で、彼女の回想に登場するジュニの亡くなった恋人は、アン・ヒョソプ演じるヨンジュンというアーティスト。なるほど、オープニングのヨビンはカン・フンでなく案の定ヒョソプと結ばれ、ってことはジュニが時を超えてヨンジュンの事故死を阻止するわけね（私の浅すぎる読み）。実はタイムスリップ前までの2話視聴時点では、よくある時空超えメロドラマかぁ的心象なのですが、ところがです。そんなジュニの携帯に’98年のかの３人の写真が送られてくるのですが、ジュニは「私じゃない」と言うのです。え？どう見てもあの女子高校生なんですけど、それって記憶喪失か？ いや待てよ。現在36歳ってことは、’98年のジュニは、え？11歳？？ かくして、のっけから謎に包まれた時空超えロマンスが始まるわけですが、問題は誰がいつの誰にタイムスリップするかという点。
ということで、時空超えするや否や３話からガラリと急展開、俄然今までにない時空超えの面白さに包まれるという寸法。ドラマは、殺人絡みのミステリー要素も入り込んで、時空と事件の謎解きと、そしてロマンスの行方と、メビウスの輪のごとき終わりなき迷宮に迷い込んで、あっちでハラハラ、こっちでキュンキュン、さらにはじわじわと迫り来る切なさ、そして、その連続。チョン・ヨビンの演技はマジで神だし、この人、こんな顔で愛する人を見つめるんだあ、と何度も何度も思わせるアン・ヒョソプだし（ロン毛は一考）。そうそう、8話にはドラマを一瞬忘れるほどのビッグサプライズも。ぜひぜひ、丸ごとご堪能あれ。（さすらいのライター山﨑）
『この恋は不可抗力』／ロウン初のツンデレ役にときめきが止まらない！
『偶然見つけたハル』の登場シーンでロウン落ちした人は多いのではと思います。190cm超えの９頭身に端正なお顔立ち。背後から差し込む木漏れ日の光演出も相まって、もうキラッキラ指数300％以上。真っ直ぐでひたむきで、でもちょっと儚げで……。思えば、この『偶然〜』もそうだけど、『恋慕』も『先輩、その口紅塗らないで』も『明日』も、自然体な優しさに満ちたどこか一歩引いたキャラが多かったよね、ロウン。そんな彼の思えばこれがお初のツンデレキャラ。そりゃあ、彼のキラッキラなお姿がツンデレ仕様のキラッキラのアングルで増幅されるわけですから、最初から最後まで堪能できないはずはありません（10話視聴ですけど）。私なんぞ、それゆえ、物語がなかなか頭に入ってこないという体たらくっぷり。ということで、改めてストーリーのおさらい。
ロウンが演じるのはエリート弁護士のチャン・シンユ。ツンデレキャラお決まりの頭脳明晰＆容姿端麗、かつ、お家はいわゆる財閥系。当然シンユは誰に対しても上から目線＆クールで人を愛したことさえないわけで。そんな完璧ツンなロウン……もといシンユですが、チャン家に受け継がれる呪いにより治療法のない遺伝病を患っていて、彼には市長の娘ナヨン（ユラ）という恋人もいるのですが、その病もあってか結婚には抵抗ありの模様。そんな中、シンユは巫女ウンウォルから朝鮮時代に書かれた呪術書に病を解く鍵があると教えられるのですが、その呪術書が入った木箱は本来の持ち主である市役所の公務員ホンジョ（チョ・ボア）しか開けられないというのです。父を高校時代に亡くし天涯孤独のホンジョは、高校でも職場でも村八分されがちキャラ。クォン補佐官（ハジュン）に淡い恋心を抱き告白するもあっけなく振られ、しかもその模様がSNSで流されるという散々な毎日。シンユから木箱を受け取ったホンジョは、呪術書に愛を獲得できる呪術を見つけ、それで作ったお水をクォン補佐官に飲まそうと企むのですが、なんと飲んだのはシンユ……。
ということで、ふたりの運命の絆が動き出すという寸法。実はふたりには朝鮮時代からの縁があるらしいとか、ホンジョをつけ狙うストーカーがいるとか、物語は今後さらにスケールも幅も広がる予感。ホンジョへの恋心に戸惑うツンなロウンとか、その偽りの愛が本物に変わっていく切ないロウンとか、もう、たまらないわけですが、今後はロウンに見惚れるだけでなく、物語もじっくり味わおうと思い直す今日この頃です。（さすらいのライター山﨑）
『ヒップタッチの女王』／新たなロマコメ×サスペンスドラマが降臨
ハン・ジミン、あっぱれです。実際には１歳違いだったソン・ヘギョの幼少期役を演じた『オールイン 運命の愛』をはじめ、『屋根部屋のプリンス』『まぶしくて-私たちの輝く時間-』、直近では『私たちのブルース』など、数々の名作ドラマに出演する実力派が、本作の主演という安心感。40歳にして高校生役を難なく演じられる超童顔俳優。日本でいうところの安達祐実さんポジションですが、コミカルな演技を違和感なくこなせる彼女でないと、この役は成り立たない……というくらいナチュラルに、あらゆる人々、動物の「お尻」を触っていきます。そう、このドラマは一夜にして「お尻を触ることで記憶が読める能力」を手にした獣医ポン・イェブン（ジミン）が、ソウルから左遷された熱血刑事ムン・ジャンヨル（イ・ミンギ）とともに、ムジン市で巻き起こる“連続殺人事件”の真相を暴いていく物語です。
思いますよね、なんで「尻」？と。ここに視聴者を笑わせる要素がギュッと詰まっているわけです。能力を手にした経緯もギャグでして、記憶を読みたくとも触るのは「お尻」。そう簡単に触れられる場所ではなく、触るまでのウソ作りも一苦労。その一部始終に笑えます。実力派ミンギがジャンヨルを演じることで、より一層ギャグに見えるという上手い仕掛けも。しかも演出は『まぶしくて〜』『私の解放日誌』のキム・ソギュン監督、脚本は『まぶしくて〜』のイ・ナムギュ作家なんですよ。韓ドラペンであれば、どれだけ心躍る作品なのか一発でお分かりになるかと思います。だからこそ良質なヒューマン要素と、最後の最後まで「犯人がわからん！」状態になるサスペンス要素の掛け合わせが絶妙です。ロマコメ好きも、ヒューマン好きも、サスペンス好きも満足させたる！という制作陣の思いを感じます。その通りに面白い作品に仕上がっている。
序盤はとにかくギャグです。『二十五、二十一』『私の解放日誌』ペンは絶対に観てほしい。オマージュが多すぎて吹き出します。個人的には、キム・テリ×ナム・ジュヒョクだからあんなに素敵に見えたけれど、もし自分だったらこう映るのかなあ……と切なくも笑えました（苦笑）。さらにイェブンの親友で姉御的存在のペ・オッキ（チュ・ミンギョン）と、「オンニ」の呼び方が特徴的すぎるキム・ヨンミョン（オッキの子分の兄）との掛け合いが大のお気に入り。コメディアンの彼が演じているだけに笑いが上〜質！ EXO スホ演じるキム・ソヌも最後の最後まで物語を狂わせるキーパーソンなので、ぜひご視聴あれ。（エディターK）
『ラブ・パッセンジャー 〜私たちの恋愛事情〜』／母娘、家族の絆に心突き動かされる
原題は「他人」を意味する『남남（ナムナム）』。邦題の印象で「うーん、メロものか〜」と手を止めていた方は、騙されたと思って観てほしい。母娘それぞれのロマンスも良質ですが、それだけじゃない！ 母娘とは、家族とは、血の繋がりとは……を改めて考えさせられる作品です。ただ決して重苦しくなく、新たな母娘の在り方を表現しているとともに、ギャグ視点の演出も満載。ここにサスペンスも加わってくるのだから、見どころ多岐にわたる！といった感じ。キャスティングも見事でして、俳優として成長を遂げた少女時代 スヨンと、『恋愛ワードを入力してください〜Search WWW〜』のチョン・ヘジンが親子役。これだけで韓ドラペンの心を揺さぶりますが、さらに『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』での悪役が話題になったパク・ソンフンを投入！ これは面白くなるはず！！と期待せざるを得ない。
とにかく母キム・ウンミ（ヘジン）と、娘で警察官のジニ（スヨン）の日々のやり取りが最高なんです。事あるごとに飲みに行こうとジニを誘ったり、喧嘩する度にジニのパンティーを隠したり、母娘を超えたふたりの関係性や距離感も楽しい。ウンミのセルフプレジャーシーンをジニが見てしまう回もあり、それも変に官能的な描写ではなく、あくまで自然に描かれているのが印象的。常に母がトラブルを起こし、娘が怒る絵面にほっこりさせられます。とはいえウンミは高校生時代にジニを妊娠・出産しており、周囲から散々後ろ指をさされて生きてきた苦労人。酒浸りの父から暴力を受けて育ち、元より頼れる存在などいないウンミを救ったのが、唯一の親友キム・ミジョン（キム・ヘウン）とミジョンの母、通称ハルモニ（祖母）。4人の姿は家族そのもので、ジニはミジョンを「이모（イモ＝叔母）」と呼んでいます。ミジョンの母を「周りからどう言われようと、私のオンマだ」とウンミが言い放つシーンも泣けるし、「当時の選択としては間違いだった。けど今では“正解”になることもある」と自分の人生を見つめ直すシーンもグッとくるし、笑いに隠された数々の名言が心を打つヒューマンドラマです。
本作のサスペンススリラー部分は、あくまで物語に強弱をつける要素のひとつではありますが、手抜き感なくしっかりと作り込んでくれているために普通に楽しめます。ヒューマン×ロマンスを加速させる第二エンジンとしてはかなり良く作動している！ かの悪役とはあまりにも違うツンデレ警察官ソンフンの姿も、本気で沼る危険性大ですよ〜！（エディターK）
