体温で変わる体の7つのコト

60年前と比べ、約1℃下がったといわれる成人女性の平均体温。その1℃を取り戻せば、健康スパイラルが取り戻せる!? 「温活」に関する著書を多数出版している川嶋朗先生に話を聞いた。

お話を伺ったのは……

東洋医学研究所附属クリニック
川嶋 朗 先生

体温と免疫力の関係にいち早く注目し、冷え取り生活を提唱。気功やホメオパシーにも精通し、代替医療を取り入れた統合医療を行なっている。『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社新書)、『川嶋朗式 すぐ効く ずっと効く冷え克服法』(エクスナレッジ)など、多数の著書を手がける。

1 免疫力

体が冷えると血流が滞りエネルギー産生もガス欠状態に

「健康な成人であれば、体温は36.5~37℃あるのが普通。しかしながら、最近は平熱が36℃前後という人が多い。体温が低いと血流が悪くなり、体のすみずみまで栄養が届けられなくなります。その結果、体に必要なエネルギーが作られなくなり、免疫力が下がってしまうのです。風邪を引きやすい人は、手足が冷えている可能性が大」

2 ホルモンバランス

生理不順や不眠は、冷えによるホルモンバランスの乱れが原因!?

「女性ホルモンに影響を与えるといわれている"セロトニン" も、血流にのって栄養素がうまく行きわたらないと、作りだせなくなります。女性ホルモンのバランスが崩れると自律神経もうまく機能しなくなり、骨盤内の血流が不足する事態に。卵巣や子宮が正常に働かず、PMSをはじめとする婦人科系の疾患にかかりやすくなる傾向に。不眠がちにもなってしまいます」

3 代謝

体温が1℃上がるだけで基礎代謝が10〜20%も上昇!

「代謝と酵素は切っても切れない関係。酵素の働きが弱まると代謝は落ちます。体が冷えると血管が収縮し、酸素や栄養が十分に運ばれず、結果熱が作れなくなります。そうなると体内酵素の働きが低下し、細胞の代謝がスムースにできなくなり、基礎代謝がダウン。痩せにくい体に」

4 腸

便秘がち、下痢気味の人は血液が停滞している可能性が

「全身の血液の循環が悪いと体のあちこちが貧血状態になり、冷えきった状態に。特に皮下脂肪が多い腹部は冷えやすく、腸の働きも低下してしまいます。腸は排泄を一手に引き受ける臓器なだけに、たくさんの血液と熱量が必要。便秘や下痢が続く人は、低体温により腸に栄養が届いていないのかも。体温を上げて血液循環を高めましょう」

5 肌

肌だって血液が行き届かないと保水力やコンディションが悪化

「体が冷え血行が悪くなると、脳は心臓や肝臓など、まず大切な臓器へ血液を送り込もうとします。そのため、肌表面の末梢の血管は後回しになり、血液が不足する状態に。血液の巡りが悪くなると、肌の健康を維持するコラーゲンなどがうまく作られなくなり、肌は乾燥する一方。冬は特に乾燥が進むので、温めて健康な状態を保つことが大切」

6 脳

脳を巡る血液が不足するとイライラが募り、思考回路も鈍化

「人間の体温をコントロールするのは、脳の中の視床下部という部分。汗をかいたり体を震えさせるような指令を体に送り、体温を適正に保っています。体温が下がると体に正しいサインを送ることができず、さらに低体温状態に陥ってしまうことがあります。記憶力、集中力や思考などの脳の働きも、体温が低いと鈍くなる傾向が」

7 メンタル

温めることで幸せホルモンにも影響が。ポジティブになれる

「2でも出てきたセロトニンは、幸せホルモンと呼ばれる三大神経伝達物質のひとつ。セロトニンが不足すると、落ち込み、イライラなどのマイナスの感情が出やすくなるのです。逆に体温を上げてセロトニンの産生を促せば、多少のことでは左右されない安定した精神状態が保てます。体温を上げてうつを克服した方も多いんですよ」

【冷え体質チェックリスト】

あてはまる項目があれば冷え体質の可能性大!

  • 手足が常に冷えている
  • 肩こり、腰痛がひどい
  • 顔色が悪い
  • イライラしやすい
  • 目の下にクマがある
  • 便秘、下痢気味
  • 生理痛がひどい
  • 汗をかきにくい
  • たっぷり寝ても疲れが取れない
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