2019.08.31

3人にとっての"凪"って?

クランクイン直前! 主要キャラクターを演じる3人は作品や登場人物についてどう思っている?

ひとりの人をいろんな角度から見せてくれる作品です。
ーーHaru Kuroki

目が離せない、放っておけない?『凪のお暇』の人間くさい魅力

黒木 原作漫画『凪のお暇』、私の愛読書です。主人公の凪だけでなく、どのキャラクターも人間くさくて魅力的なんですよね。

中村 アパートの住人もみんなユニークですよね。それぞれ悩みもあればうじうじもする。でも、夕方になって窓を開けたら、ふぁ〜っと風が吹いてきたみたいな気持ちよさがある。原作はそんな読後感でした。

高橋 主人公の凪は、自分の人生の問題を真正面から受け止めて、それはもう真っ向からぶつかっていく。登場人物の中でも、もしかしたら一番タフなんじゃないかと思います。

中村 頑張り屋さんですよね。こんなふうにストレスに耐えてる子が近くにいたら「大丈夫?」って2回は手を差し伸べちゃうと思うな。放っておけない。

黒木 2回って決めてるんですか?

中村 困ってるなら手を差し伸べたい。でもそれが助け舟になるかどうかはわからないし、実のところ、本人にとってはそこが居心地がいいっていうこともあるよな、と思って。だから2回。

黒木 なるほど。高橋さんの慎二さんと、中村さんのゴンさん。おふたりがあのキャラクターをどんなふうに演じられるのかすごく楽しみです。

高橋 僕は性格が悪いといわれるキャラクターを演じるのが大好きなので(笑)、慎二を演れるのはうれしいです。漫画原作ということでビジュアルのキーはひとつ示されているので、そこに自分を寄せていきたいと思っています。

中村 ゴンは、凪がぶつかってきた障害のようなものから持ち前のペースで逃れてきた人、なのかな。目の前にいる人を笑顔にしたいっていう気持ちはよくわかるし、きっといろんな人の中にあるものだと思う。まずはその辺りを手がかりに演じることになりそうです。

黒木 どの登場人物も、この人はこうって決められないというか、ひとりの人間をいろんな角度から見せてくれている。私は、凪ってどういう子だろう?と生身の人間に興味を持つような感じで、いろいろ想像を巡らせているところです。

高橋 誰しも迷うことはあるし、苦しみも悲しみも眠れない夜もある。表層的な部分に違いはあっても、人が抱えているものは共通していて、それが周りの環境によってどんどん変わっていく。「個」って実はそれぐらい曖昧なものだという思いも僕は持っていて。お芝居も、一緒に演じる相手によってどんどん変わっていくものだと思うので、現場の空気感や、台詞を使って相手と会話をしていることも感じながら構築していけたらいいなと思います。

中村 撮影を重ねるうちに、お互いの人となりがわかってコミュニケーションが深められれば、そこでまた変わっていくものもありそう! あとね、僕、ゴンと慎二がふたりでプレステで対決するシーン(1)をものすごーく楽しみにしてるんですよ!

高橋 僕もです! あそこはとても楽しみ。

中村 凪を介してつながったふたりが、凪を抜きにしてガーッと近づく。共通言語がゲームっていうのがいいですよね。

高橋 慎二が、あ、こいつ、垣根ねえやつだ……と怯んだりして。知人の知人に単独で会うという、なんとも言えないあの感じがたまりません。

黒木 凪の部屋に集まってババ抜きするシーン(2)もいいですよね。あのエピソードって台本に入ってたかな?

高橋 慎二も含めてみんなが一堂に会するところですよね。確か入っていたんじゃないでしょうか。

黒木 凪の気持ちになると、今からものすごくドキドキします。でも実は、隣に住む小学生のうららちゃんに頭をモフモフ触られるのが一番楽しみです(笑)。

1 凪の帰りを待つ慎二を部屋に招き入れ、プレイステーションに誘うゴン(3巻p.134)
2 アパートの住人たちとのトランプの会に、慎二が強引に参加する(2巻p.107)

Tomoya Nakamura
俳優。1986年、東京都生まれ。2005年に『七人の弔』にて映画デビュー。’14年、『ヒストリーボーイズ』で初主演の舞台を踏み、読売演劇大賞優秀男優賞を受賞する。映画、ドラマに数多く出演するほか舞台でも活躍中。大ヒットミステリー小説が原作となった出演映画『屍人荘の殺人』が今年公開予定。

Haru Kuroki
女優。1990年、大阪府生まれ。2010年NODA・MAP公演で舞台デビュー。その後『東京オアシス』(’11)で映画初出演を果たす。ベルリン国際映画祭最優秀女優賞をはじめ受賞多数。今回が「重版出来!」(’16)、「みをつくし料理帖」(’17)に続き3度目のテレビドラマ主演。出演映画『甘いお酒でうがい』が来年公開予定。

Issey Takahashi
俳優。1980年、東京都生まれ。近作にドラマ「僕らは奇跡でできている」(’18)、「みかづき」(’19)、「東京独身男子」(’19)、映画『億男』(’18)、『九月の恋と出会うまで』(’19)などがある。宮本浩次プロデュースのシングル「きみに会いたい-Dance with you-」が発売中。出演映画『引っ越し大名!』が8月30日に公開予定。

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