フローリストの「花のある生活」

暮らしに合わせて一輪から飾る

whole
綱川禎子さん

在宅期間、自宅用のデリバリーも行いながら花の需要を改めて感じているという綱川禎子さん。「大切な人へのプレゼントも選びに行けない状況で、できることは何か日々試行錯誤していますね。そんなとき一輪でも部屋に生花があれば、心が潤います。ライフスタイルに合わせて、空間とのバランスを考えつつ飾るボリュームを調整するのがおすすめです。私も欲張ることで雑になってしまう性格なので、目の前のことからひとつずつ大切にしたい」

つなかわ よしこ●アパレルの販売とVMDを経て、ヘアサロンに併設したフラワーショップ「whole」をスタート。やわらかくシックな色合わせが人気。

リビングテーブルにはパープルの色合わせがきれいなクリスマスローズとバンダ(蘭)をkansainoguchiさんの素焼きの花器に生けて

「いつも物が多い本棚の上には小さめの花器にアリウムやスカビオサなど個性的な花を数輪選びます」。リズムが生まれるようランダムにカット
 傷つき売れなくなった花は持ち帰ることも。「寝室の窓際に飾ったアンスリウムとガーベラもそう。日持ちがよくお世話が楽です(笑)」

“主役”の花をそれぞれ生ける

duft
若井ちえみさん

「この間、不安な気持ちに陥ったときに自分の店でふと花を見て。いつもと変わらない光景なのに、改めてすごくやさしい、やわらかな気持ちになれました」と、ステイホーム期間を通じてシンプルな花の力を感じた若井ちえみさん。心地よく暮らすコツは?「早寝早起きをしたり、大切な人とごはんを食べること。気持ちのゆとりを持って花を飾ることも大切です。植物の日々の変化に気づき、水替えを毎日してあげたりして健やかでいたいですね」

わかい ちえみ●松陰神社前駅近くでフラワーショップ「duft」を営む。個性ある花花を組み合わせる独自のセンスに定評がある。

自宅リビングの窓際にあるお気に入りの棚に。「どれも自分が気に入っている“主役”です。器も花も色、ディテール、質感など、お互いを引き立て合う並びを意識」

 シックなグレーの花器にグラジオラスを。「花はその日の気分で選ぶことが多いです」
 自宅リビングの窓際写真のクローズアップ。花器はヴィンテージやスペインのデザイナー、Valeria Vasiのもの。アンスリウムやオンシジューム、ポピーなどをバランスよく配置

自分を見つめるように、花を選ぶ

Forager
上野智枝子さん

「家に飾る花は、季節を少しだけ先取りして選びます。自分のテンションが上がるかが大事なので、どんな気持ちになりたいかを掘り下げますね」と教えてくれた上野智枝子さん。「今は、顕著に色やみずみずしさを求めている自分がいます。音楽が流れているのと同じように、部屋に花があると空間にリズムが生まれます。さみしい気持ちも薄れ心が落ち着く。今の自分に素直にフィットするものを選ぶと、心地いい生活が送れると思います」

うえの ちえこ●渋谷区西原のショップ「Forager」のオーナー。「普通なら脇役になる花」に光を当てた、ささやかながら主張のある花のセレクトは、家で楽しむにもぴったり。

 本棚に飾るときは安定感があり、大きすぎない花器を。「花の顔が重ならないような長さと配置にして、4本のピエロホワイトを生けました」
「壁掛けの花器は水があまり入らないので、イエローサルタンやミスカンサスのようなタフなものを。平面なので横顔が楽しめる花がおすすめ」

作業台の上に。花の長さは花器の倍〜1.5倍くらいが目安。「最近は軽めの赤い花が気持ちにフィットします」

花からエネルギーをもらう

VEIN
山口香織さん

山口香織さんは気軽に家で花を楽しむことを提案。「自宅では意気込みすぎず、たとえば1、2輪を目に入りやすいところに置いてあげるとか、気分が上がるような配置にするのがおすすめです。少し下向きだった花が翌朝ぴんっと上を向いて咲いていたりすると、こちらも元気な気持ちに。飾ること自体にとてもいい効果があると改めて感じています。日の光がちゃんと入って、風が通る部屋は植物にとっても人間にとっても最高だと思います」

やまぐち かおり●千駄ヶ谷でセレクトショップと共同でスタートした「VEIN」を営む。ユニークなバランス感覚で組み上げるアレンジメントやスワッグが厚い支持を得ている。

 壁に掛けられる花器には少し垂れ下がる花をチョイス。「ビバーナム・ビブルナムを挿し、モッコウバラの蔓の部分を足し動きを出しました」
「花瓶と花を同系色で揃えるとしっくりなじみます」床に置くことで花の表情もよく見えるように

陽の当たる場所はなるべく保ちのよい花を。「アリウムシラクムなど形の変わったものならワイン瓶に一挿しするだけで観葉植物にはない面白さが出せます」

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