5人5様の「私とバディ」。“バディ”とともに暮らす人

運命的な縁に導かれ里親になり、かけがえのない絆を結ぶ。そんなふたつの物語を紹介。

中田クルミさん(女優、モデル)&おはぎ

「人間の意識を変えること」が幸せの始まり

店頭に動物を並べて売買することに、ずっと疑問を感じていたという中田さん。ペットとともに暮らしたいと考えたとき、自然と里親を募る譲渡会などに足を運ぶように。「そんなある日、急に妹から『子犬の里親を探しているところがある』と誘われて。思いがけずその日のうちに連れて帰ることになったのが、農家の鶏小屋で生まれたおはぎ。縁って不思議ですね」。まだ小さかったおはぎをつきっきりで育て、ある程度成長してからは厳しくしつけもしたという。そして今や、「心が不安定になっているときも、そんなのちっぽけなことだよ、と気づかせてくれる」なくてはならない存在に。
「まるでバッグみたいに、気軽にペットを買える日本。一方たとえばドイツでは、迎える前にまず人間が飼い主としての訓練を受けなくちゃいけないんです。だからこそ、どこへ連れていっても迷惑をかけない子に育てられる。犬って、ちゃんと向き合ってもらえないと、結果的にともに生活するのが難しい性格になってしまう。殺処分ゼロだけを追求する前に、人間の意識を変えることが第一歩なのかな、と思います」

5人5様の「私とバディ」。“バディ”ととの画像_1

【A】5歳を迎えるおはぎはプードルやビーグルなどのミックス

【B】

5人5様の「私とバディ」。“バディ”ととの画像_2

【C】とにかく誰からも愛されるおはぎ。「どんな犬に育つかの責任は、すべて飼い主の自分にあるんですよね。最初から親や家族をあてにしていたり、都合のいいときだけ可愛がるのは、やはりちょっと違うと思うんです」


PROFILE

なかた くるみ●女優、モデル。8月28日公開の映画『事故物件 恐い間取り』に出演。雑誌を中心に、抜群のセンスでファッションアイコンとしても支持を集める。「犬を飼う入り口は『可愛い』でもいいけど、命を預かる責任の重さはわかって」

佐藤葉子さん(PIPPICHICデザイナー)&ハッチ・あーちゃん・シンバ

注いだ愛情以上にこたえてくれたハッチは本物のバディ

子どもの頃から動物が大好きで、捨て猫の面倒もみていたという佐藤さん。犬を飼おうと決めた13年前に検討したのは、当時は一般的でなかった保護犬という選択。「保健所やウェブなどで探して、写真を見た瞬間、ピンときたのがハッチでした。会いに行ったら大勢の子犬がわっと寄ってきたなか、一匹だけ背中を向けていた彼女が、振り向いて私を見た瞬間に一生懸命最前列までやってきて。それがきっかけでした」。運命的な出会いを果たしたハッチと佐藤さんは、仕事のときもいつも一緒。佐藤さんが煮詰まっていたりすると、足に触れて心配そうに見上げたり。
「私が元気だと彼女もうれしそうでした」。ところが今年3月、彼女は急逝。「悲しみは尽きないけれど、いつも心の中にいますから」と語る。
「動物は言葉を話せませんが、想像してみてほしい。うれしい、怖い、暑い、心配。彼らは人間が考える以上に感じています。お互いを思いやる気持ちの交換が、素晴らしいバディの関係性を築くのではないでしょうか」

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【D】猫やフェレットとともに暮らす大家族。山口の保健所から佐藤家に来たシンバ
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ハッチは保護団体の草分け「ライフボート」から。千葉の保健所から救出された8匹目の犬であることを示す、CD8の番号がつけられていた。今や「ライフボート」の犬猫の保護数は約2万に
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【E】左は「訪れた譲渡会で元気のない姿を見て予定外に引き取ったあーちゃん。ハッチとも仲よしでした」。右は亡くなったお父さまのもとにいた、豆柴のまる


PROFILE

さとう ようこ●エレガントかつ機能的なシューズで知られるブランド、PIPPICHICのデザインを手がけている。「“国の偉大さと道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかる”というガンジーの名言が心に響きます」

 

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