運命的な縁に導かれ里親になり、かけがえのない絆を結ぶ。そんなふたつの物語を紹介。
中田クルミさん(女優、モデル)&おはぎ
「人間の意識を変えること」が幸せの始まり
店頭に動物を並べて売買することに、ずっと疑問を感じていたという中田さん。ペットとともに暮らしたいと考えたとき、自然と里親を募る譲渡会などに足を運ぶように。「そんなある日、急に妹から『子犬の里親を探しているところがある』と誘われて。思いがけずその日のうちに連れて帰ることになったのが、農家の鶏小屋で生まれたおはぎ。縁って不思議ですね」。まだ小さかったおはぎをつきっきりで育て、ある程度成長してからは厳しくしつけもしたという。そして今や、「心が不安定になっているときも、そんなのちっぽけなことだよ、と気づかせてくれる」なくてはならない存在に。
「まるでバッグみたいに、気軽にペットを買える日本。一方たとえばドイツでは、迎える前にまず人間が飼い主としての訓練を受けなくちゃいけないんです。だからこそ、どこへ連れていっても迷惑をかけない子に育てられる。犬って、ちゃんと向き合ってもらえないと、結果的にともに生活するのが難しい性格になってしまう。殺処分ゼロだけを追求する前に、人間の意識を変えることが第一歩なのかな、と思います」
佐藤葉子さん(PIPPICHICデザイナー)&ハッチ・あーちゃん・シンバ
注いだ愛情以上にこたえてくれたハッチは本物のバディ
子どもの頃から動物が大好きで、捨て猫の面倒もみていたという佐藤さん。犬を飼おうと決めた13年前に検討したのは、当時は一般的でなかった保護犬という選択。「保健所やウェブなどで探して、写真を見た瞬間、ピンときたのがハッチでした。会いに行ったら大勢の子犬がわっと寄ってきたなか、一匹だけ背中を向けていた彼女が、振り向いて私を見た瞬間に一生懸命最前列までやってきて。それがきっかけでした」。運命的な出会いを果たしたハッチと佐藤さんは、仕事のときもいつも一緒。佐藤さんが煮詰まっていたりすると、足に触れて心配そうに見上げたり。
「私が元気だと彼女もうれしそうでした」。ところが今年3月、彼女は急逝。「悲しみは尽きないけれど、いつも心の中にいますから」と語る。
「動物は言葉を話せませんが、想像してみてほしい。うれしい、怖い、暑い、心配。彼らは人間が考える以上に感じています。お互いを思いやる気持ちの交換が、素晴らしいバディの関係性を築くのではないでしょうか」