2021.09.24

「デブ」「ブス」……ひどいワードへの対処法。言葉の"護心術"

シュプールの読者アンケートに実際に寄せられた「過去に言われた容姿に関するひどい言葉」を分類して、考察。打ち返し、受け流し、時には向き合わず逃げる技を言葉のプロが伝授!

 

無理なときは、向き合わずに逃げてよし
いちいち向き合って言い返さなくても大丈夫。私はコミュニケーションが取れない人とは無理して関わらず、連絡を断ったり何も言わずに消えたりして身を守ってきました。心の傷を癒やすのって、時間もコストもかかりますから。

田島ハルコさん
シンガーソング・トラックメイカー。グッズやLINEスタンプ、フライヤー等のアートワーク、MVの撮影や編集も手がけるマルチクリエイター。Twitter: @dokusya_model Instagram: @dokusya_model

 

笑顔は無用。ハシビロコウのような真顔で応じる
とっさに自虐や笑顔で返すと、「何を言っても大丈夫」と誤解されてさらにひどい状況になりがち。真顔&無言で相手を見つめる「ハシビロコウ(鳥の一種)顔」や「プーチンばりの真顔」で応じると、相手もまずいと気がついて黙るはずです。

アルテイシアさん
作家。ユーモアあふれる言葉で、女性の悩みをバサバサと斬る名人。近著に『モヤる言葉、ヤバイ人』(大和書房)、『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』(幻冬舎文庫)。Twitter: @artesia59

 

Q セクハラ系審査員
上から目線の「選ぶ立場」から、一方的に品評される不条理

「お前の水着姿なんて誰も見たくない」「ストライクゾーン外」「女捨ててる」「酔ってたらワンナイトいける」

A 「典型的なセクハラなので、"セクハラですよ"とシンプルに。言いづらい場合は、"不適切じゃないですか"とビジネスライクに伝えて。愛想よく"も〜!"とか言っちゃうと図に乗るので、真顔で冷静にが鉄則です」(アルテイシアさん)。
「"あなたの好みはどうでもいいです"と言いたいところですが、無言で立ち去るのもありですね」(田島さん)。

 

Q 「〜だったら」褒め
勝手に条件を提示し、褒めているようで落としてくる話法

「もう少し痩せればモテるのに」「目が残念。二重だったら美人なのに」「ダイエットしたら女子アナ系だよね」

A 「クソバイス系善意ハラスメントには、"私モテたいって言いましたっけ?"という質問返しや、"◯◯さんはそういう考えなんですね"とbotのように機械的に返すのが有効」(アルテイシアさん)。
「みんながモテたり、女子アナ系になりたいと思い込んでいる、認知の歪みに戸惑います。"結構です""なりたいと思ったことないです"と断りたい」(田島さん)。

 

Q 微妙な「似てる」いじり
うれしくない「似てる」やあだ名で、いじりの生贄に

豚、ゴリラ、河童、狐などの動物系がダントツで、お笑い芸人のたとえも頻出。「劣化した〇〇」という変化球も

A「"傷つくからやめて"とシンプルに返すのがいちばん。上下関係がある場合は、"ハラスメントになりますよ""あなたの常識が疑われて評価が下がりますよ"と教える系で対応すると、人格否定にならず無難。周りが注意するのも大事」(アルテイシアさん)。
「いじめやハラスメントにも通じるので、不本意な環境を抜け出すことも視野に入れて」(田島さん)。

 

Q 勝手な〇〇顔診断
雑な顔診断で、第一印象をジャッジ。反応に困る……

「昭和顔だよね」「生まれる時代を間違えた平安美女顔」「地味顔で印象が薄い」「古くさい顔」「ハーフ顔」「顔が濃すぎる」

A 「見た目について口に出すのはマナー違反というのは、欧米では子どもでも知っている基本的なモラル。容姿についてあれこれ言うのは失礼というのがわかっていないんでしょうね。"ルッキズムって知ってます? 気をつけたほうがいいですよ"と教えてあげる系で」(アルテイシアさん)。
「"時代や価値観で美の基準が変わるのって変ですね"とマジレス」(田島さん)。

 

Q モラハラパートナーの口撃
大切な人の言葉だからこそ傷つく! デートDVの危険信号

「デブと一緒に歩きたくない」「そんな顔よく社会に晒せるね」「メイクしたほうが可愛いよ」

A「モラハラセンサーが作動する、対等に尊重し合うのが難しい関係。"なんでそんなこと言うの。私は傷つくよ"と自分を主語に正直な気持ちを伝えてみて、変わらなければ離れたほうが得策です」(アルテイシアさん)。
「容姿へのジャッジ云々を超えて、関係性としてヤバイ。第三者が立ち入る領域ではないけど、別れる方向で頑張ってほしい」(田島さん)。

 

Q ボディシェイミング
太っても痩せても何かしらは言われる、ルッキズムの常套句

「デブ」「ガリガリ」「デカ女」「チビ」「デカ顔」「まな板」「ペチャパイ」「乳牛」「大根足」「ガタイがいいね。水泳やってた?」

A 「"ルッキズムって知ってます?"の教えてあげる系か、"ほんっとそういうこと言う人多いんです"と、心の底からうんざりしていて、こっちは飽き飽きしているんだよと伝えるのもおすすめ」(アルテイシアさん)。
「"気に入ってます!"と返すのもありだけど、もう何も言わずにシャットアウトしてその人の前から消えるのも身を守る方法」(田島さん)。

Q 身近な人と比べられ地獄
親戚と比較され続けたトラウマを持つ人多数。身近なだけに逃れづらい無間地獄

「お姉ちゃんは美人なのに」「お父さんに似ちゃって可哀想」「お母さんに似ればよかった」

A 「遺伝というデリケートな領域に土足で踏み込まれるのが気持ち悪い。"自分は自分だし、似てる(似てない)ほうが幸せとか考えたことないですね"と自信満々で返したい」(田島さん)。
「ハシビロコウ顔などの真顔が有効。か細い声で、えー……と俯きがちにするだけでも、地雷を踏んだことが伝わるかも」(アルテイシアさん)。

 

Q 押し売りスキンカウンセラー
事情も知らず、アドバイスを押し売り

「ソバカスがすごいね」「ニキビは生活習慣病だよ」「ほくろ取ったら?」「肌荒れてるけど大丈夫?」

A 「人の話をちゃんと聞く親切な人は、善意ハラスメントを受けやすいんです。よそ見をしたり興味ゼロという空気を出して、ノーリアクション侍になりましょう。全然関係ないペットの話とかして、話題を変えるのも手」(アルテイシアさん)。
「こちらの事情を無視したアドバイスは、余計なお世話。逃げて」(田島さん)。

 

Q 恐怖!言葉の通り魔
出会い頭やすれ違いざまに容姿を攻撃され、泣き寝入りする人は意外に多い!

「気持ち悪い」「ブス」「ババア!」

A 「無差別かと思いきや自分より弱い女性を狙っている、痴漢にも通じるパターンじゃないですかね。危害を加えられる可能性があるから、迎え撃つのはやめたほうがいいケース。すぐ逃げるか、助けを呼ぶ、あるいは交番に駆け込みましょう」(アルテイシアさん)。
「事故と同じ。怖い人に当たってしまったんだと避難して、SNSなら即通報!」(田島さん)。

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