つねに時代の先を行くVERBALさん。NFTの楽しみ方やCEOを務めるAMBUSH®のプロジェクトについて聞いてみた
VERBALさん
ラッパー、プロデューサー、DJ、デザイナー。「m-flo」や「PKCZR」のメンバーとしての音楽活動のほか、2008年にはファッションブランドAMBUSH®を設立し、CEOを務めている。
時とともに変わるラグジュアリーの価値観
――VERBALさんが初めてNFT ARTを購入したのはいつでしょうか?
VERBAL(以下V) アメリカにいる友人から話は聞いていて、ずっと気になっていました。初めてトライしたのは2020年の半ばぐらい。友人らと話していると、「この作品をゲットしたほうがいい」と頻繁に話題が上がりましたが、当時はまだちんぷんかんぷんで。自分で調べていくうちにいろいろなマーケットプレイスを訪問するようになりました。
――作品を買う手続きは簡単でしたか?
V なかなか大変でした。当時は日本ではまわりでやっている人があまりいなかったので。基本は独学で、たまにアメリカにいる友人に聞きながら学んでいった感じです。口座開設の登録審査に何日も必要だったり、ウォレットに紐づけるのに何段階もプロセスがあったり……。クレジットカード決済やWeb2.0のやり方に慣れていたので最初は複雑に感じました。でもよく考えたら、クレジットカードを入手するのに時間がかかった時代もあったし、こんなものなのかと。
――NFT ARTのコレクションは、現在どれくらいお持ちですか?
V 今(2月末時点)、80点ぐらいです。最初に購入したのが、ダニエル・アーシャムの作品。Nifty Gatewayというマーケットプレイスで買いました。もともとフィジカルでダニエルの作品を所有していたので、彼のNFT ARTを買うのは最初にふさわしいと思いました。最近購入したのはエドガー・プランズ、エディソン・チェンのプロジェクトでジェームス・フォントルロイの音楽が流れるNFT ARTだったり、日本でいうと花井祐介さんやバーチャルモデルのimmaちゃんの作品などですね。それからRTFKTというNIKEの傘下になったNFTプロジェクトはかなり気になっていて、今後これがどう展開していくか楽しみです。
――購入したNFT作品をセカンダリマーケットで売った経験はありますか?
V オファーはたくさん来ますが、まだ売ったことはないですね。僕の所有品の中には持っていると、自動的に新たなNFT ARTがエアドロップ(暗号資産の世界で使用される用語で、無償配布・ギフティングの意味)されるようなものもあって。今では100万円以上の値がつくものもあります。でも、僕は所有したまま次の展開を体験できるほうが楽しいと思うので売る予定はありません。
――先日VERBALさんが手がけるAMBUSH®からも「POW!®“Reboot”」のNFTがリリースされました。販売しようと思ったきっかけは何だったのでしょう?
V Web3.0の文脈がすごく面白いなと思い始めたのと同時に、このプロジェクトを考え始めました。NFTは一般の金融機関を通して買い物するわけではない。NFT ARTも、従来価値があると思われていたアートとは別の文脈のものに価値が見出されている。新たなテクノロジーを使って今までとは違う売買とトレーディングが行われているのが興味深いです。これはラグジュアリーの新しい定義づけになるのではないかと思いました。僕にとってのラグジュアリーは、これまでは高級な素材やハイメゾンのアイテムでした。でもWeb3.0の文脈に理解の深い若い世代は、NFTをトレーディングするコミュニティの一員になることや、そこで稀少性の高いアイテムを持っていることに価値を感じている。こういったところからきっと価値観が変わっていく。自分たちは新たなラグジュアリーの定義が生まれる、歴史的な瞬間に立ち会っている気がします。そんなタイミングでAMBUSH®の立ち上げのきっかけにもなった「POW!®」をNFTとしてWeb3.0の新たな出発点として発表できたら面白いと思ったんです。
――販売に続いて今後のNFT展開に関するロードマップも公開されましたね。
V 先日、リング2022個のエディションがミント(スマートコントラクトを使ってNFTを新規発行すること)され、そのうち42個がレアな背景のアイテムです。それを持っている人は、今後AMBUSH®のリリースがある際に先行して購入できる優先権が付与されます。ほかには間もなくローンチする自社のメタバースの中でも面白い企画を発表していく予定です。メタバース内にゲーム部屋などを作って、来場者が自分で見つけないとゲットできないNFTアイテムを隠そうかなとか、いろいろと思案しています。
――最後に、初心者はNFT ARTやメタバースをどのように楽しめばいいのか、アドバイスをお願いします。
V 最初はマーケットプレイスで何が流行っているか見てみるのがいいと思います。僕がチェックしているのはcryptoslam.ioというサイト。週ごとに、どのアーティストがどれくらいNFT ARTを販売しているのか一望できるので面白いです。メタバースのDecentralandというプラットフォームは操作性がわかりやすいので、そこで情報収集をするのもおすすめです。まずはメタバースでイベントに参加したり、展示されているNFT ARTを見てみると楽しいと思います。
OpenSeaで公開中のVERBALさんが所有しているNFT ART一覧
(右)VERBALさんが初めて購入したというダニエル・アーシャムのNFT ART
(左)AMBUSH®が先日発表した初のNFT「POW!®“Reboot”」。今後の展開も目が離せない