国立現代美術館ソウル(국립현대미술관서울)
景福宮など、近隣の歴史的な街並みとも調和するミュージアム。延べ床面積52,101平方メートルの広大な敷地。開放的な庭で展示が行われることも
最新のアートを鑑賞できる大型美術館!
4つの施設を持つ国立現代美術館のひとつとして2013年11月に開館した、地上3階、地下3階建ての広大なミュージアム。マルチプロジェクトホールや映画館などを備える複合施設として、韓国の文化芸術に光を当てている。ソウル館は国際交流に注力し、国内のモダンアートの裾野を広げる活動にも尽力。また、近年話題のデジタルアートも積極的に取り上げるなど、トレンドに沿った企画展の開催でも話題だ。
6月からは特別展『バック・トゥ・ザ・フューチャー:韓国現代美術の同時代性探検記』が開催中(会期は2024年の5月まで)。余裕があるなら、同美術館から毎日運行しているシャトルバスで行くことができる徳寿宮館や果川館にも足を運んでみて。果川館では昨年からナムジュン・パイクの名作《多多益善》が再公開されている。
天井が高く、気持ちのいい空間
ミュージアムショップ。著名なアーティストの作品がデザインされたグッズのほか、ポップなカラーリングのオリジナルグッズなど豊富なラインナップが魅力
ビル2、3階建て分の巨大モニターも館内に! 配置されたクッションに寝転びながら、ぜいたくなアート鑑賞がかなう
『ゲーム社会』(すでに展示終了)。MoMAの所蔵するビデオゲーム作品が並ぶほか、VR体験ができるブースもある意欲的な展示
DATA ソウル特別市鍾路区三清路30 02-3701-9500 営業時間:10時~18時、10時~21時(水・土) 定休日:元日・旧正月・秋夕 Instagram: @mmcakorea https://www.mmca.go.kr/
ソウル工芸博物館(서울공예박물관)
全部で7つの建物で構成される博物館。中庭もあり、天気がいい日は市民たちの憩いの場となっている
韓国の歴史あるクラフト文化に触れる
2021年7月、安国洞に完成した韓国初の公立工芸博物館。旧豊文女子高校だった建物を改築した。あえて壁をなくし、市民が自由に出入りできる開放的な空間にしたことで好評を集めている。第1棟には朝鮮王朝時代から近代、第2棟には古朝鮮から高麗時代までの家具や器などと資料が展示されている。第3棟に並ぶのは"ポジャギ(韓国の風呂敷)じいさん"の名前で親しまれた韓国刺しゅう博物館元館長のホ・ドンファさんの寄贈品。約5000点にのぼるコレクションが定期的に内容を変え展示される。
さらに誰でも利用可能な図書館のほか、ロビーにも工芸品を設置。至るところでクラフト文化に触れられるよう設計されている。10月には第3棟の4階にある収蔵庫と保存科学室がリニューアルオープンするため、そちらにも注目していきたい。
高麗時代の螺鈿漆器の中でも最も優れた「螺鈿經函(ナジョンギョンハム)」を無形文化財の職人4人が再現したもの。ため息が出るような美しさ
案内棟と第3棟の外観。古くは李氏朝鮮時代の王族の家が建っていた歴史的にも由緒ある場所
チマチョゴリなど伝統衣装を紹介するコーナーも。華麗な織物の展示は観光客にも人気
PKMギャラリー(PKM 갤러리)
デジタルデータをテーマに据えている画家、Cody Choiのエキシビション『HELLO KITTY』(展示終了)。同時にNFT作品9点も展示された
キュレーションセンスに世界が注目 現代芸術の流れを鋭く描き出し、その時々の「今」にスポットライトを当ててきた。2004年にはアートマガジン『フリーズ』が主宰するアートフェアに韓国のギャラリーで初めて招待され、国内アーティストが世界進出する足がかりに。巨匠から若手まで、多角的な視点を持つ作家の企画展を幅広く行なっている。
直線を活かしたミニマルな空間。余計な情報がそぎ落とされ、より作品に集中することができる
GROUNDseesaw西村(그라운드시소 서촌)
聖水、明洞にもある同施設、写真映えする西村が特に人気。大きな窓から見える、豊かな緑に癒やされる
若者たちが集う気鋭のスポット 展示・制作を専門とする企業「メディア&アート」が手がける複合文化施設。過去にはウェブトゥーンの人気作『ユミの細胞たち』の特別展を行うなど、MZ世代向けの企画を数多く展開している。建築事務所のSoAと造園スタジオLoci Studioがタッグを組んで生まれた円形の中庭があるユニークな建物を眺めるのも楽しい。
現在は、東京を拠点に活動するスペイン生まれのイラストレーター、ルイス・メンドの韓国初個展を開催中。会期は12月3日まで
アラリオギャラリー ソウル(아라리오갤러리 서울)
死者の嘆きや悲しみの浄化をテーマに制作するイ・スンエの《The Wanderer》
さらにパワーアップした老舗 1989年に忠清北道・天安で開館し、現在はソウルと上海を含む3カ所で運営。アジア芸術のアイデンティティ追求と確保を目標に作家の発掘から露出まで尽力してきた。ソウルのギャラリーは今年2月にリニューアルオープン。日本の建築家・長坂常が改築を手がけ、レンガとコンクリートが融合するモダンな建物を完成させた。
若手アーティスト、ドン・ソンピルの《Industrial Bishōjo》(展示終了)
国際ギャラリー(국제갤러리)
所有するリ・ウファンの作品。© Ufan Lee / ADAGP, Paris-SACK, Seoul, 2023
進化を続ける名門ギャラリー 1982年の開館以来、ソウルを代表する画廊として現代美術作家の作品や世界的なアートの潮流に触れる機会を提供。アレクサンダー・カルダーやアニッシュ・カプーアの展示を行うほか、ヤン・ヘギュなど国内作家も積極的に紹介。現在はレストランやウェルネスセンターも運営し、複合的なアート空間へと発展している。
アレキサンダー・カルダーの展示風景(ともに展示終了)© 2023 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS),New York / SACK, Seoul
アートソンジェセンター カフェ(아트선재센터 카페)
木のぬくもりに癒やされる店内。現在は珈琲回廊がブレンドしたコーヒー豆やタンブラーなども販売している
ポップアップショップを展開する韓屋カフェ
光州ビエンナーレの統括キュレーターを務めたこともあるキム・ソンジョンさんが館長を務める私立美術館、アートソンジェセンター。その奥には伝統建築の韓屋をリノベーションしたカフェがある。ここは"ポップアップショップ"の形式をとっていて、国内外の人気店とコラボレーションをしながら運営を行なっている。
10月8日までは日本の熊本に店を構える「珈琲回廊」が出店。生豆から焙煎して入れるコーヒーや個性豊かなデザートを味わうことができる。カフェの前には風情豊かな庭が広がり、気持ちのいい空間を求めて訪れるローカルのファンも多数。背の高い木々に覆われているので夏場でも比較的涼しく、アート散策で疲れた体を休めるには最高の場所!
チャコールラテ(₩7,000)と韓国の伝統菓子"薬菓"の形をしたひと口サイズの羊羹のセット(₩3,000)。抹茶、ゆず、小豆の3つのフレーバーが揃い、こちらは日本の店舗での展開がないポップアップショップ限定のメニュー
庭の椅子から韓屋を眺めながらお茶をするのも楽しい
DELPHIC(델픽)
1階にもギャラリーを擁するモダンな建築
アート鑑賞もできるティーハウス 人気のティーブランドDELPHICが運営するカフェはゆったりとしたスペースの中に常時10点以上の作品が展示され、お茶を楽しみながらアート鑑賞もできる場所。作品は韓国国内の作家の器やオブジェといったクラフト品が中心で、気に入ったものがあれば購入することも可能だ。
お茶はヨーロッパのティーマイスターと共同開発した6種類のシグネチャーティーのほか中国やインドから仕入れたプレミアムティーを提供し、黒ゴマのタルトなど韓国の伝統菓子の要素を取り入れたスイーツも評判。一杯のお茶を通じて日々の調和を見つめ直す"Ways to find balance in life"というブランドコンセプトの通り、深呼吸がしたくなるモダンな空間でほっと一息の時間を過ごして。
スタッフが説明をしながら丁寧にお茶を入れてくれる
店舗のある2階から階段を上がると小さな展示スペースもある屋上が。古きよき時代のムードが残る北村の街並みを眺めることができる。春や秋にはルーフトップテラスとして運営をし、多くのローカルたちが集う
The Reference(더레퍼런스)
書店は建物の2階に
モダンなアートブックをお土産に 芸術と写真の雑誌『IANN』が2018年にオープンした独立書店。"アートに触れられるブックショップ"というコンセプトのもと同ビルの地下にはギャラリーを持ち、アジアのアーティストたちの作品を展示している。それにまつわる書籍や高い専門知識をもとにセレクトされた写真集など、ここでしか買うことのできない一冊を旅の思い出に。
ミッドセンチュリーなスタイルの店内。言葉がわからずとも楽しむことのできる写真集を多く取り扱う
Rp.(알피)
店舗は2階にあり、1階にはベースレンジのショップが入っている
個性あふれるグッズに出合いたいなら 2021年5月にオープンのアートマーケットをコンセプトにした雑貨店。KIMLEEのネックレス、MIHOMIDUのミラー、PEARSHRIMPのセラミックオブジェなど若手アーティストと開発したオリジナルグッズはギフト需要も高く、韓国のMZ世代が多く集う。近隣には同じく高感度なセレクトショップが並んでいるのでハシゴするのも楽しい。
アーティスティックな展示棚で、訪れるだけでも楽しい空間。器、ファブリック、インセンス、文具など幅広い雑貨が揃う
若者にファンの多いセラミックブランドのPEARSHRIMPのオブジェ(各₩70,000)
DATA ソウル特別市鍾路区紫霞門路10ギル6 2F 02-735-0509 営業時間:13時~19時 定休日:月曜、旧正月・秋夕 Instagram: @rp.zip https://rpmarket.kr/
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