煥基美術館(환기미술관)
本館の2階から見える開放感のある展示風景。3つの建物で成り立つ美術館は著名な建築賞も受賞し、モダンな空間のファンも多い
RECOMMENDER キム・デギュンさん(建築家)
ソウルの建築事務所CHAK CHAK STUDIOの代表兼、責任建築家。住宅のほかミュージアムなど公共施設も手がけている
静かな時間の中で名作と対峙する
抽象芸術のパイオニアとして有名な画家、キム・ファンギの作品を保存、研究、展示する目的で1992年に開館。建築家のウ・ギュスンによる建造物もソウルの自然環境と見事に調和した傑作として知られる。「韓国が誇る美術と建築の融合に、何度訪れても高揚します。散策路を歩きながら四季を楽しむことができる最高の思索の場所」(デギュンさん)
チケットカウンター、アートショップ、企画展示室が入る別館
MUSEUM HANMI(뮤지엄 한미)
地下1階のマルチホール。2023年8月現在はウィリアム・クラインの「都市の写真集」が展示されている
RECOMMENDER イ・サンホンさん(フォトグラファー)
日本で生まれ育ち、現在はソウルと東京を行き来しながら活動。ファッション誌や広告など幅広い分野で活躍している
歴史ある美術館がさらにパワーアップ
2003年に国内初の写真専門美術館として開館。「2万点以上の作品を所蔵しています。今年、絵画や彫刻なども幅広く扱うミュージアムとしてリニューアル。3つの棟で構成され、さらに見どころ満載のスポットに。
3つの棟の中心にあるのは「水の庭園」。ユ・ヨンホの作品《Bridge of Song》が迎えてくれる
PDF SEOUL(피디에프 서울)
オーナーは、グラフィックデザイナーやフォトグラファーなどさまざまな経歴を持つイ・スンヒョンさん。PDFの店舗デザインもすべて手がけた
RECOMMENDER イ・ジヨンさん(『Chalkak Magazine』チーフエディター)
ソウルで話題のフォトマガジン『Chalkak』の編集長兼企画者。アジアのムーブメントを発信する写真家を取り上げている
路地裏にあるオルタナティブスペース
フォト、デザイン、ファッションの頭文字をとったPDF。アートブックが揃う書店、デザインスタジオ、ポップアップストアなど複合的な文化空間として運営している。「高感度な人々が集い、この場所を中心にコミュニティが形成されています。店内はいつもおしゃれな人たちでにぎわっていて、本はもちろん彼らを見るのも楽しいです」(ジヨンさん)
オーナーのコレクション(非売品)が並ぶスライド収納ラック
天井の高いガラス張りの外観。開放的な空間は気持ちがいい。今後、写真展やオリジナルグッズの販売も予定している
DATA
ソウル特別市龍山区緑莎坪大路32ギル16
0507-1406-7531
営業時間:13時~20時、13時~19時(日)
定休日:月曜
Instagram: @pdf_seoul
WWNN(더블유더블유엔엔)
自然光が差し込む館内は、クリーンな空間。オープニングを飾ったグループ展『Humanism Reimagined』(展示終了)の様子
RECOMMENDER チュ・ミリムさん(アーティスト)
檀國大學校視覚デザイン学科卒業。デザインとファインアートの境界線上で、WEBやデータ技術全般をテーマに作品を制作
今のムードを捉える気鋭のニューギャラリー
「7月7日に三清洞にオープンしたコンテンポラリーアートスペース。ソウルの"今のムード"と若手作家の作品を楽しみたい人におすすめ!」(ミリムさん)。今後は企画展を通して、さまざまな分野のエキスパートやアーティストの交流の場になることを目指している。「疲れたら近くのYN CAFÉで冷たいブルーベリーティーとケーキを楽しんで」
二人のアートディレクターがタッグを組み運営。建物は2階建ての住宅を改築した
音を使ったインスタレーション風景。今後もジャンルレスにバラエティに富んだアートを取り扱う予定
DATA
ソウル特別市鍾路区三清路5ギル20
02-720-5252
営業時間:11時~18時
定休日:月曜
Instagram: @wwnn.kr
https://wwnn.kr/
石坡亭(ソッパジョン) ソウル美術館(석파정 서울미술관)
入り口に展示された草間彌生の《南瓜》。これまでイタリアの現代彫刻家、ノヴェッロ・フィノッティなど有名アーティストの作品も多数紹介してきた
RECOMMENDER キム・ジヒョンさん(フードスタイリスト)
雑誌や映像作品で活躍するほか、一般の方に向けてフードスタイリングのクラスも運営。アートにも精通している
文化財とモダンアートを同時に楽しむ
有名アーティストの作品も多く所蔵し、現代美術の展示を積極的に企画している私設美術館。同敷地内にある李氏朝鮮時代の王族である興宣大院君の別荘、石坡亭も管理している。「歴史ある庭園と最新のアートを同時に楽しむことができる貴重な場所。現在開催中の日本人アートディレクター、吉田ユニさんの展示も話題となっています」(ジヒョンさん)
アートディレクター吉田ユニの海外初展覧会『YOSHIDA YUNI; Alchemy』のパネルが張られた外観。会期は9月24日まで
ソウル市立美術館西小門本館(서울시립미술관 서소문본관)
吹き抜けの空間にたっぷりと自然光が差し込む明るい館内
RECOMMENDER 編集H
2カ月に一度のペースで渡韓し、そのたびにギャラリーや美術館を巡っている。ソウルのシティガイド特集も多く担当
都心に佇む歴史的建造物で芸術体験を
「マティスやホックニーなど、世界的な巨匠の展覧会が定期的に開催されているのでこまめに情報をチェックしています。MOSOONというギャラリーなど周辺にもアートスポットが多いので併せて出かけます」(編集H)。カフェや野外彫刻公園など、多角的にアートに触れられる。9月21日からは第12回ソウルメディアシティビエンナーレが開催予定。
1920年代にルネサンス建築様式で建てられた旧最高裁判所が美術館に。美しいファサードが圧巻。2006年には登録文化財に指定された
3階にあるアート専門書店「SeMA×The Reference」。展示と連携したブックキュレーションを行う
DATA
ソウル特別市中区徳寿宮ギル61
02−2124−8800
営業時間:10時~20時、10時~19時(土・日・祝) ※19時(土・日・祝は18時)入場締め切り。毎月最後の水曜は22時まで開館
定休日:月曜 ※月曜が祝日の場合は開館
https://sema.seoul.go.kr/
Whistle(휘슬)
企画展『Dimensional Veil』(展示終了)の展示風景。異なる分野の作家が、それぞれ紙をどう扱うかに焦点を当てた。画家のパク・ジョンへや彫刻家のピョン・サンファンなどが参加
RECOMMENDER ウトゥギさん(会社員)
展示情報とともに近くの飲食店も紹介するインスタグラムアカウント(@oottoogi)はアート業界関係者にも注目されている
新世代のアーティストに触れたいなら
梨泰院にほど近い、経理団ギル沿いにあるギャラリー。「注目の若手作家をいち早く紹介し、ハイレベルな展示を行なっています」(ウトゥギさん)。2カ月に一度のペースで展示替えを行うほど精力的に活動し、9月にはフリーズ・ソウルにも参加予定。「ERDやP21など、素敵なギャラリーが徒歩圏内にあるので、一緒に回るのもおすすめです」
雑貨店横の水色の入り口が目印
THE PHRASE(더프레이즈)
デザイン、建築、写真などの雑誌とアートブックのセレクトが抜群
RECOMMENDER ソン・シネさん(コーディネーター)
15年のキャリアを持つコーディネーター。大学で美術を学び日韓のアートやクリエイティブ関連の仕事に従事した経歴も
選りすぐりの書籍で作り上げた夢の箱庭
芸術関連のスポットが多い西村エリアにあるアートブックショップ。ファッションデザイナーのチェ・テスンさんとクリエイティブディレクターのキム・ヌリさん夫妻のセンスが詰まっている。「小さなお店だけど、手に取りたいものがたくさん。洋服や写真が趣味の人にはたまりません。オーナーセレクトの雑貨を見るのも楽しい!」(シネさん)
お店はソウル市建築賞最優秀賞を受賞した「無目的ビル」にある。1階は書店、2階と3階は講演や展示などを行うプロジェクトスペース