前回、『エクス・マキナ』では今一番旬な俳優が三人そろっている、と書きました。実際、昨年から数ヶ月に一回はアリシア・ヴィキャンデルをスクリーンで見ている気がするし、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に至るオスカー・アイザックのステップアップぶりも見応えがありました。
でも私が密かなファンガールとして一番注目しているのが残りの一人、ドーナル・グリーソンなのです。『ハリー・ポッター』シリーズのビル・ウィーズリー役で覚えている人も、『アバウト・タイム~』の愛すべきタイムトラベラー青年を覚えている人もいるでしょう。でも最近の出演作ではさらに存在感を増していて、しかもまったく違う役柄を演じきっているところに才能を感じるのです。
最初の『ブルックリン』の写真でシアーシャと海岸を歩いている爽やかさと、この『レヴェナント:蘇りし者』での荒々しい表情、比べてみてください。『レヴェナント〜』では、責任感ある狩猟団の隊長。オスカー・アイザック同様抜擢された『フォースの覚醒』では、ファシスト的で冷酷な将軍。『エクス・マキナ』では、女性サイボーグ相手にドギマギしてしまうナード青年。そして私が今のところ2016年公開作で一番好きな『ブルックリン』では、アイルランド上流階級の御曹司役です。ドーナルはアイルランドの名優ブレンダン・グリーソンの息子で、見た目もアイリッシュそのものなのですが、国籍も性格も全然違う役にすんなり入って、その雰囲気をまとってるんですよね。
ともあれ、まずは公開間近の『レヴェナント~』ではレオにばかり気を取られず、ドーナル・グリーソンにも注目してみてください。好きになった人は、今後月イチペースでドーナルの出演作が見られます!
『レヴェナント:蘇りし者』
監督/アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン
4月22日、TOHOシネマズ日劇ほか全国公開
©2016 Twentieth Century Fox
『エクス・マキナ』
監督・脚本/アレックス・ガーランド
出演/ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル、オスカー・アイザック
6月11日、シネクイントほか全国ロードショー
『ブルックリン』
監督/ジョン・クローリー
出演/シアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン
7月、TOHOシネマズ・シャンテほか全国ロードショー
©2016 Twentieth Century Fox
本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。