2017.10.04

バレエダンサーの成長物語にうっとり! 『ポリーナ、私を踊る』

©2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels  - UCG Images - France 2 Cinema
©2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の取材で、元ダンサーのゾーイ・サルダナが「最近PCに入れて何度も観てるのが、ポルーニンのドキュメンタリー」と言っていました。日本でも『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』はロングラン。世界中でブームになっていますが、私は今月末に公開されるバレエ映画『ポリーナ、私を踊る』にも感動しました。

原作はフランスのバンド・デシネ『ポリーナ』。『アラベスク』から『舞姫 テレプシコーラ』にいたる山岸凉子作品をはじめ、日本のバレエ漫画で育った私には物語とテーマがばっちり心に響いてしまったのです。ロシアの少女が厳しいクラシック・バレエの世界で育ち、フランスでコンテンポラリー・ダンスの洗礼を受け、一度は挫折して情熱を失ってしまう。ただその経験を通じて、彼女がただの「踊り手」から「作り手」になっていく――というプロットが素晴らしい。ダンサーとしての芸術的成長と、女性としての自立が重なった「自分の踊りを見つける」というテーマは、バレエ漫画の核にあるものです。

共同監督のひとりはなんと、振付家のアンジュラン・プレルジョカージュ。当然、ダンス・シーンはそれだけで見ていられるほど美しく独創的で、ダンスカンパニーの練習シーンでは彼のカンパニーをのぞき見るような気持ちになりました。舞台やレッスンの撮り方にも踊る人の視点がある。原作の『ポリーナ』もぜひ読んでみよう、と思っています。



『ポリーナ、私を踊る』
監督/ヴァレリー・ミュラー、アンジュラン・プレルジョカージュ
出演/アナスタシア・シェフツォワ、ニールス・シュナイダー、ジェレミー・ベランガール、ジュリエット・ビノシュ
10月28日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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