2018.08.01

実はとってもお洒落!な『インクレディブル・ファミリー』

©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
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『パディントン』を観ていない人に『パディントン2』を強く推したように、『Mr. インクレディブル』(2004)を観ていない人にも『インクレディブル・ファミリー』はオススメ。スーパーパワーを持った家族が社会に認められようとしている、という設定を知っていればOKです。とはいえ『インクレディブル・ファミリー』の冒頭シーンは、14年前に公開された『Mr. インクレディブル』のラスト直後からの展開。「え?」と思う間もなく話に引き込まれます。『トゥモローランド』(2015)などここ二作実写映画を手がけ、アニメに戻ってきたブラッド・バード監督、さすがアニメにしかできないことをやってくれる!

推しポイントはたくさんありますが、際立つのはやはり「アニメだからできること」。一つは全体的なミッドセンチュリーのデザイン、もう一つは一家の末っ子、ジャック・ジャックのキャラクターです。まずはミッドセンチュリー。前作も音楽が007風だったり、レトロなかっこよさがありましたが、今回は登場する建築やインテリア、ファッションが60年代を中心としたデザインになっていて、とてもスタイリッシュ。一家が仮の住まいとする家はフランク・ロイド・ライトの建築を参考にした豪邸で、「ヴァーチャルに訪れてみたい!」と思ったほど。朝食シーンもキッチンや冷蔵庫、シリアルの箱がまんま50年代テレビ番組の雰囲気です。

そしてジャック・ジャックは、驚異のパワーを持つ赤ちゃんスーパーヒーロー。その設定もさながら、彼はバッグス・バニーのように画面狭しと動き回り、ミニオンズのように黙ることのない、超キネティックでアニメ的なキャラクターなのです。ジャック・ジャックが出てくるだけで何が起きるかわからず、目が離せない。父親のボブが育児に疲れ、天才デザイナーのエドナに彼を預ける場面があるのですが、「私は子どもなんて無理!」と言っていたエドナがこの赤ちゃんには惚れ込んでしまうほど。

ちなみにこのエドナの人物像には、なんと川久保玲や石岡瑛子、阿部千登勢といった日本人デザイナーのイメージを反映させているそう。監督が声優も務める人気キャラにそんなインスピレーションがあったとは! 最後のエンドロールもソール・バス風のお洒落デザイン。同時上映の短編『Bao』も素晴らしく、満足感たっぷりです。



『インクレディブル・ファミリー』
監督/ブラッド・バード
声の出演/クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サラ・ヴォーウェル
全国公開中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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