いま一番ハマっているドラマがあります。『The OA』のシーズン2、クリエイターはブリット・マーリングとザル・バトマングリ。この二人は脚本をともに書き、ザル・バトマングリが監督し、ブリット・マーリングが主演するという形で映画『サウンド・オブ・マイ・ボイス』(2011)や『ザ・イースト』(2013)を発表。そしてこのドラマシリーズで、他のどこにもない独自の世界をさらに広げ、深めているのです。
二人が描く物語はずっと、人が「向こう側」を垣間見てしまうような、SFともスピリチュアルとも、スーパーナチュラルとも呼べるトーンが基本。もちろん謎めいてもいるのですが、難解で頭がごちゃごちゃになるというより、見ると何かキンと感覚が研ぎ澄まされていくようなところがあります。それはブリット・マーリングが放つ透明な存在感とも共通している。2016年に始まった『The OA』で彼女は、7年間失踪したのち、盲目だったのに目が見えるようになって帰ってきた女性を演じています。
シーズン1で私が好きなのは、不思議なことを起こす「5つの動き」という要素。登場人物がハカのような動きを見つけ、学ぶことである「扉」が開くのです。物語に身体的アクセントをつけるこの動きは人気振付家、ライアン・へフィントンが作り出したもの。それを見て、最終回では泣いてしまいました。そこからぐんと跳躍したシーズン2は、さらにびっくりする展開に! ブリット・マーリングが華麗でゴージャスなロシア美女となる姿も見られます。
大学時代は経済を学び、大企業で投資アナリストをしていたこともある彼女。かと思えば資源を使わないよう、廃棄された食物を食べテントで寝る、という環境グループに加わったこともあるそうです。知的に、過激に、「世界」を見つめるその視線はいまも作品のなかに生きていて、とても刺激的。昨日はシーズン2に出てくる驚異のモンスターを目撃してしまいました。なんだか終わるのがもったいなくて、ゆっくり一話一話、視聴しています。
『The OA』シーズン1〜2独占配信中
クリエイター/ブリット・マーリング、ザル・バトマングリ
出演/ブリット・マーリング、エモリー・コーエン、ジェイソン・アイザック
本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。