あけましておめでとうございます! 2020年最初は、ドカンと派手で痛快な映画を紹介したいと思います。公開はまだ先なんですけどね。それがジェニファー・ロペス主演の『ハスラーズ』。実は、以前からジェイローにもっと見合うプロジェクトはないものか、と考えていました。きっと彼女の出演作で評価されているのは初期の『アウト・オブ・サイト』(1998)や『ザ・セル』(2000)。でも私の意見としては、ジェニファー・ロペスにはもっとベタで華やかな娯楽作が似合うのです。
例えば、2000年に公開された『イナフ』や『メイド・イン・マンハッタン』。前者はストーカーと化した夫と闘うアクション映画。後者はホテルのメイドが宿泊客の大物政治家(レイフ・ファインズ)と恋に落ちる話。窮地に陥っても諦めず頑張る女性、しかもフィジカルな役を彼女が演じると、途端に真実味と魅力が出てくる。その「叩き上げ」スピリットを応援したくなる。つい出演作を見てしまうのは、「ジェイローだと、つまらない映画でもつまらなくない」からなのです。劇場公開されなかった最近の『戦慄の誘惑』(15)や『セカンド・アクト』(18)も、「うひゃー」と言いながら楽しんでしまいました。
でも、ここにきて最高の当たり役となったのが、この『ハスラーズ』のストリッパー役。ストリップ・ダンスも完璧な姉貴分が、コンスタンス・ウーら仲間とともに男たちを騙して稼ぐというインモラルさ。生き抜くために女たちが絆を深める描写も、そこにヒビが入る過程も細やかです。それでいてストーリーにはキレがあって、音楽も衣装もゴージャス。ジェイローだけじゃなく、ちょっとした役で出てくるリゾやカーディ・Bもディーバの輝きです。
「こういうシスターフッドが見たかった!」と思うのと同時に、「やっとジェイローのための映画ができた!」という実感もあって、とても満足。長年彼女のロマコメやサスペンスを見てきた甲斐があったというものです。リアーナやフィオナ・アップルの曲を含む映画のプレイリストもアップされているので、新年はぜひ気持ちをアゲておいてください。
『ハスラーズ』
監督・脚本/ローリーン・スカファリア
出演/コンスタンス・ウー、ジェニファー・ロペス、ジュリア・スタイルズ
2月7日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。