豪邸と、奇妙なトイレが見どころ! 破格に面白い韓国映画『パラサイト』

©︎2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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時代が2020年代に突入するこの年末年始。お正月映画を見ると、かなりマニアックで切れ味鋭いものが揃っている気がします。で、面白い! 『フォード vs フェラーリ』や『ダウントン・アビー』はそれぞれアメリカ映画、イギリス映画の良質な大作感があってオススメ。そして韓国映画『パラサイト』やニュージーランドのタイカ・ワイティティ監督が撮った『ジョジョ・ラビット』は、ものすごく社会派なのにハチャメチャな娯楽作でもあり、必見です。

なかでもポン・ジュノ監督の『パラサイト』はカンヌ映画祭でパルムドールを取っただけでなく、アメリカでも今年最高の興行成績を上げた外国映画となりました。「これで初めて字幕映画を体験したアメリカ人も多いんじゃないか」と言われたくらい。格差社会や気候変動がモチーフになっているのに、最高に怖くてブラックなサスペンス/ホラー/コメディで、しかもストーリーは予測もできない方向に急展開。そこがジョーダン・ピール監督作『アス』のような作品がヒットする、いまのアメリカの時代感にフィットするのかもしれません。

見どころはたくさんあれど、私が驚いたのは、登場する二つの家族の「家」がどちらも綿密に作られたセットだということ。ここまでのものができるのは、この映画単体だけでなく、韓国映画界の実力のような気がしました。とはいえ、天才ポン・ジュノのリクエストに応え、プロダクション・デザイナーのイ・ハジュンが作り出した「庭が絵のように見える窓」のある豪邸や、韓国の低所得層の人々が住む半地下の家はもう完璧。リアルでありながら、それだけで物語を感じさせるところがあります。

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有名建築家が建てたという設定の豪邸は、モダンでスタイリッシュ、そして複雑な階段が秘密を持っている。そして、半地下の家のトイレは意表を突くものすごさ! これこそ映画的発明だと思ったのですが、なんでもイ・ハジュンは学生時代に同じような家に住んでいて、そのときのトイレを参考にしたとか。笑いと驚きの連続、なのに最後にはなんとも言えないしんみりとした気持ちになる本作を、ぜひ年明けのTO DO LISTに付け加えてください。


『パラサイト 半地下の家族』
監督/ポン・ジュノ
出演/ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク
2020 年1月10日、TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー!  

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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