シャーリーズ・セロンの新作アクション、『オールド・ガード』がとにかくエモい!

Netflix映画『オールド・ガード』独占配信中
Netflix映画『オールド・ガード』独占配信中

実は、前情報を入れずになんとなく見はじめたのです。でもこれがめちゃくちゃ面白くて、思わずすぐに二周目。Netflixでリリースされたシャーリーズ・セロンの新作アクション・ムービー『オールド・ガード』、「こういう話だったのか!」とびっくりしました。普通のアクションかと思ったら、凝った設定、さらにはこの夏いちばん熱いロマンスが待っている。原作は人気グラフィック・ノヴェルなんですね。

ちょっとだけ明かすと、出てくるのは人類のために戦う男女4人と、そこに加わる新人。彼らにはある共通点があります。そこで話がぐっとファンタジックになるのですが、その設定のもと、キャラ同士の濃密な関係性がこれでもかと語られる。特に同性の深い絆――男と男、女と女による場面の情熱的なこと! アクションものやスーパーヒーローものではLGBTの人物描写が「ほのめかし」だったりするのですが、本作はがっつりくるところがいい。そのエモさに、リアルで乾いたアクション。さすがシャーリーズ・セロン、企画の新しさが止まりません。

最近彼女がプロデュースした主演作を挙げるだけでも、『アトミック・ブロンド』(2017)、『タリーと私の秘密の時間』(2018)、『スキャンダル』(2019)と、挑戦的なプロジェクト続き。これまで見たことのないシャーリーズの映画でありながら、チームプレイヤーとして、周りもぐっと活きる作りになってるんですよね。それは真のスターの証。本作でもキャスティングが意外で、マティアス・スーナールツ、キキ・レインをはじめ、全員が忘れられないキャラになっている。監督も黒人女性のジーナ・プリンス=バイスウッドを起用しています。ブラッド・ピットが名プロデューサーなのは有名ですが、これからはシャーリーズの時代なのでは?

いま進行中の『アトミック・ブロンド』の続編も楽しみですが、『オールド・ガード』も早く続編を! という終わり方になっています。すっかりハマったら、アンディとクインはどうなる? ニッキーとジョーの二人の過去をもっと見せて! と言いたくなるはず。ちなみにニッキー役のルカ・マリネッリは、もう一作、やはり毛色の変わったイタリアのスーパーヒーロー映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2016)にも出ています。こちらでは悪役。今後、このタイプの映画は世界的に多様に、加速的にインクルーシヴになりそうです。




『オールド・ガード』監督/ジーナ・プリンス=バイスウッド
出演/シャーリーズ・セロン、キキ・レイン、マティアス・スーナールツ、マルワン・ケンザリ、ルカ・マリネッリ
Netflixにて独占配信中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

FEATURE