ロマコメ好きに見てほしい! おしゃれで華やかな『ネクスト・ドリーム』

©2020 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.
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私はロマンチック・コメディが好きで、毎日でも見たいよね、と思っているのですが、最近は映画館でかかるようなメインストリームのロマコメが少なくなっています。まあ、そのぶん配信があるからいいんだけど……と思いつつ、ちょっと寂しい。そんななか、「あれ? これって王道ロマコメじゃん!」と思った映画が一つ。音楽業界で働く二人の女性が主人公の『ネクスト・ドリーム』です。

一人は大ヒットを飛ばしてきたディーバのグレース(トレイシー・エリス・ロス)。もう一人は彼女のアシスタントで、音楽プロデューサーを目指すマギー(ダコタ・ジョンソン)。彼女たちの間にいわゆるロマンスはないけれど、設定やプロットがロマコメそのものなのです。立場にギャップがあって、一人がもう一人に憧れていて、衝突したりすれ違いがあったりした挙句、片方が迎えにいく……なんて、『ノッティングヒルの恋人』(1999)みたいじゃない? と。でもそれが夢を追いながら現実と闘う女性たちの間で起きるのが新鮮です。『プラダを着た悪魔』(2006)よりグレースとマギーの間に愛があって、それが音楽のマジックに繋がるのもいい。

マギーが音楽オタクという設定も気に入りました。男の子たちがバンドを結成したり、レコード店で蘊蓄を語る映画はあっても、その女性版は圧倒的に少ない。マギーがスタジオで指示を出しながら曲をプロデュースする冒頭から、この映画はちょっと違うぞ、と感じさせてくれます。本編で流れるオリジナル曲はコリーヌ・ベイリー・レイらが作曲したもの。本気のオタクぶりがわかります。それでいて、グレースとマギーの生活の華やかな側面も自然に描かれている。有名人を親にもつ二人が(トレイシー・エリス・ロスはダイアナ・ロスの娘!)、育ってきたセレブの世界の空気を醸しながら、リアルな感情を紡いでいます。

と、ロマコメ気分を満喫しながらも、実はあと一本、いま見たい本当の女性二人のロマコメがあります。クリステン・スチュワートとマッケンジー・デイヴィス主演の『Happiest Season』。彼女たちが恋人であることを隠して実家に帰省したせいで、大騒ぎ……というお話。あの二人がカップルで、ロマコメで、しかもクリスマスムービーなんですよ! 海外で配信中なので、近々日本でも見られるといいな、と期待しています。


『ネクスト・ドリーム』
監督/ニーシャ・ガナトラ
出演/ダコタ・ジョンソン、トレイシー・エリス・ロス、ケルヴィン・ハリソンJr.
12月11日、全国ロードショー

『Happiest Season』
監督/クレア・デュヴァル
出演/クリステン・スチュワート、マッケンジー・デイヴィス

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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