超セクシー版ジェーン・オースティンみたいな時代劇、『ブリジャートン家』

LIAM DANIEL/NETFLIX
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あけましておめでとうございます。年末年始に逃避的にハマっていたのが、ジェーン・オースティンの小説をモダンに、超セクシーに翻案したようなドラマ『ブリジャートン家』。ロマンス作家、ジュリア・クインが19世紀初めのイギリス上流社会を描いたシリーズものが原作です。ただ『スキャンダル』(2012~)などのショウランナー、ションダ・ライムズが製作しているだけに、白人だけでなく黒人の貴族や権力者もいるという設定。社交界では格付けと醜聞が渦巻き、恋の駆け引きには性的ニュアンスもあって、謎の人物がそれをかき回すところはまるで『ゴシップガール』みたい! さらに目玉の一つはセックス・シーンがごくリアルで、親密なこと。ロマンティックな時代劇の新しい楽しみ方だと思いました。

ブリジャートン家の長女ダフネ(フィービー・ディネヴァー)は、社交界にデビューしたときからその美しさがダイヤモンドに例えられるほど。バセット公爵家を継いだサイモン(レジー・ジャン・ペイジ)とは最初ソリが合いませんが、やがて二人は強く惹かれあうように。このへん、まさに『高慢と偏見』ですが、思いが通じたところでハッピーエンドになるオースティンの小説とは違い、ここでは男女の性的なつながりや、「セックスと結婚をどう両立させるか」までも描かれます。19世紀の設定ながら、職を持って自活する女性やゲイのカップルも登場する。

ただ物語の主軸はどうしても美男美女カップルの結婚や出産にあるので、かなりコンサバなのが惜しいところ。それがロマンスものの醍醐味でもあるんですけどね。一方、様々なドレスや宝石に趣向が凝らされているのはもちろん、寝巻きやシュミーズ、繊細な下着のディテールまで登場。舞踏会の音楽に耳を傾けると、なんとアリアナ・グランデやテイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュの曲が室内楽バージョンになって流れています。これは摂政時代のイギリスをモデルにしたもう一つの世界、強烈に甘くてパンチの効いたファンタジー。たっぷり浸ってみてください。


『ブリジャートン家』
製作総指揮/ションダ・ライムズ
出演/フィービー・ディネヴァー、レジー・ジャン・ペイジ
Netflixにて独占配信中

映画ライター 萩原麻理プロフィール画像
映画ライター 萩原麻理

本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。

 

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