【マリウス葉の一歩ずつ進もう】環境との付き合い方

マリウス葉 One step at a time

今マリウスさんが気になっている問題にフォーカスして掘り下げる本連載。今月テーマに選んだ「環境問題」には、若い世代の未来がかかっている。スペインでは温暖化による砂漠化が深刻な問題になっているが、地球温暖化は止められるのか。

マリウス葉さんからのメッセージ

マリウス葉さんからのメッセージ

[ 翻訳 ]

地球温暖化はすべての人に関わる問題だ。

したがって、私たちには責任があり、

みんなが行動すれば大きな影響を与えることができる。

あなたが今できることは何ですか?

投票すること? 調べること? リサイクルすること?

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SPUR(以下S) 4月になり日本は新年度を迎えていますがマリウスさんの春休みはどうでしたか?

MARIUS(以下M) 日本に帰って友達と会ったり、あとオーストリアでスキーをしてきました! というのも、ここ数年、ヨーロッパは雪が少なくて、スキーの季節がどんどん短くなっているんです。あと何年かしたらスキーができなくなるかもしれないから、今のうちにたくさん滑っておこうと思って。

S 温暖化、かなり深刻ですよね。

M そうですね。スイスのアルプスの麓に、僕のおばあちゃんが持っている小さな山小屋があるんです。スキーのリゾート地として有名なところで、昔は雪がたくさんあったんですけれど、ここ数年、雪が積もっているのが1カ月間くらいしかなくて。アルプスのかなり上まで行かないと、スキーができなくなってしまっています。

S それは観光地としても痛手ですね。今住んでいるスペインはどうですか?

M 乾燥による砂漠化が問題になっています。昨夏は地中海沿岸が熱波に見舞われて深刻な水不足になり、バルセロナでは公共のプールやビーチのシャワーが禁止されて家庭やホテルで使う水も制限されていました。

S その熱波によって、地中海沿岸部のオリーブの収穫が激減したそうですね。日本でも今オリーブオイルの値段が高騰していますが、温暖化の脅威をより身近に感じているスペインの方々は、やはり環境に対する意識は高いですか。

M 上の世代はそうでもないけれど、若い世代はやっぱり敏感ですね。たとえばうちの大学は、入学すると大学のマイボトルをもらえるんですよ。キャンパスには至るところに給水所があって、無料でマイボトルに水を入れられるようになっていて。それも炭酸水があったり、ジュースがあったり。

S 素晴らしいですね!

M そもそも日本は大学でもどこでも自動販売機がたくさんありますよね。おかげでどこでも飲み物が買えて便利だけれど、スペインは自販機がほとんどないから、ペットボトルや空き缶のゴミが少ないんですよ。

S うーむ。それは考えさせられます。

M それから何か商品などを選ぶときに、環境に配慮したものかどうかを考えるという行動スタイルは、若い人たちには定着していると思います。たとえば銀行で口座をつくるなら、石油に投資している銀行より、持続可能エネルギーに投資している銀行にしようとか、インターネットで検索するときは、「Google」より「ECOSIA」にしようとか。

S エコシア? それはなんですか?

M ECOSIAはドイツ発の検索エンジンで、広告収入で得た利益の80パーセント以上を植林や森林再生活動を行なっている非営利団体に寄付しているんですね。

S ……早速スマホにダウンロードしました! リアルタイムで植樹された木の本数が表示されるのがいいですね。

M あとは旅行にもエコが浸透していますね。その土地の自然環境や歴史文化を学びながら旅するエコツーリズムとか、農業体験したり、自然体験をしながら旅を楽しむアグリツーリズモも注目されています。僕も去年、イタリアのサルデーニャ島という地中海の小さな島に友達5人と行って、アグリツーリズモを体験しました。

S さすがマリウスさん、行動が早い! 

M そこはブルーゾーンといって、世界でも有数の長寿の地域のひとつなんです。食べものがおいしいことでも知られていて、野菜も肉も地産地消なので、何を食べても新鮮でおいしくて。サラミがあんなにフレッシュだと感じたのは初めてでした(笑)。海も本当に美しくて、そういう豊かな自然や文化に触れると、「この島の環境を守らなければ!」という気持ちになりますね。

S お話を聞いていると、ヨーロッパの若い世代には、環境保護の意識が生活に根づいているなと思いました。

M ヨーロッパでは、自然環境を優先的に考える"グリーン党"がどの国にも普通にあって、「若者の党」ともいわれています。グリーン党では、「新しい空港をつくるより、もっと電車の本数を増やしましょう」とか、環境をもとにすべてが判断されるんですね。

「環境を優先したら経済がダメになる」という意見があるけれど、グリーン党は、「地球の資源がなくなったら、それこそ経済は回らなくなる。長い目で見たら環境を優先することで経済は活性化するんだ」と。

S 一理あります。長期的に物事を考える視点、大事にしたいです。

M その一方で、「エコファシズム」というのもあります。これは「地球のためには、人間なんかいないほうがいいんだ」などのような極論で、彼らの一部は、ときに過激な抗議活動を展開します。一昨年もパリのルーヴル美術館で、ある環境活動家が《モナ・リザ》にケーキを投げてニュースになりました。暴力に訴えるのは許されないことだけど、「絵画はこんなに厳重に守られているのに、地球のことはなぜ守らないのか」というのが彼らの主張なんですね。

S なるほど。その主張には考えさせられる点もあるのかもと思ったりして。

M だから本当にバランスですよね。極論をいう人もいれば、経済的に余裕がない国や人は「環境のことなんて考えていられるか!」と思うだろうし。立場の違う人たちがいる中で、バランスをとりながら推進していくことが環境問題には大事だなと。ただ心配なのは、ヨーロッパでは今、近くで大きな戦争が起きていて、環境問題が後回しになっている……。地球環境のためにも早く平和を取り戻してほしいです。

S 本当ですね。最後に今、日本にいる私たちができる環境によいことがあったら、何かひとつ教えてください!

M さっきのペットボトルのことでいうと、「mymizu」というアプリがあって、ダウンロードすると、日本全国の給水スポットが地図上に示されるんです。そこにマイボトルを持っていけば、無料で給水できるんですね。公共施設もあれば、お店もあって、レストランでもmymizuのアプリを見せると水を入れてくれるんです。便利なのでおすすめですよ。

S プラスチックゴミが削減できますね。マリウスさん、今回も勉強になりました!

今月のsnaps

マリウス葉が撮った写真
近所のビオショップでは、グラスや容器を持っていくと好きな材料を入れてくれるので、パッケージを無駄にしないで済みます。
マリウス葉 スキー
地球温暖化のせいで、スキーがあまりできなくなるかもしれない。だから今のうちにスキーを楽しむようにしている。
サルデーニャ島(イタリア) マリウス葉
去年の夏、サルデーニャ島(イタリア)に行って、そこの環境をとても楽しみました。 世界中で多くの美しい自然を見ることができるのは本当にありがたいことです。
マリウス葉プロフィール画像
マリウス葉

2000年、ドイツ生まれ。幼少期を父の出身地のハイデルベルクで過ごす。元タカラジェンヌの母の影響で歌や踊りのレッスンをはじめ、11歳のとき、Sexy Zoneのメンバーとしてデビュー。2022年12月、芸能活動を引退。2021年9月、スペインの大学に編入した。

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