四つ打ち的なグルーヴにのせた歌声に惚れぼれ
今回はパエリアズの新譜『D.R.E.A.M.』がとてもよかったので、四つ打ちビートでかつ、歌声に惚れぼれする2曲を選んでみました。パエリアズは私が編集長をしているウェブメディア「シグマファット」で1年前くらいにインタビューしていて、共演することも多いんです。まずはそのミニアルバム収録の「Shooting Star」。ボーカルのマットンくんのハイトーンボイスは、マイケル・ジャクソンを彷彿とさせます。一般的に"歌もの"って、きれいに曲にハマっていると気持ちよく聴こえるもの。ですがこの曲を聴いていると、息遣いや歌い方に変化を入れていくことで、ボーカルもきっちりグルーヴを牽引しているんだ、ということを強く感じます。歌だけでなく、ビートのグルーヴも完成度が高いです。音が洗練されて一気にあか抜けたので、インストで聴いても気持ちいいんじゃないかな。PVも必見ですよ。
それとあわせて聴きたいのは、Spotifyで見つけたラーサーン・パターソンの「So Fine」。1997年に発売されたセルフタイトルのアルバムに入っているんですけど、最近の曲って言われてもわからないくらい、一周まわって"今"な感じがします。特に「四つ打ち的なグルーヴでボーカルもグルーヴを刻んでいる」という観点でパエリアズと一緒に聴くと、全然古くさくない。むしろ新しくすら思えてきます。個人的にはソウルやジャズもよく聴きますし、そこにダンスミュージックを感じさせるグルーヴが入ってくると、よりテンションがあがります。聴きやすい歌ものなので、家で聴いてもいいし、踊れる曲でもあるので、DJの現場でかけても盛り上がる。2曲とも少しだけセンチメンタルで聴き心地もいいので、秋の夜長にぜひ。
Profile
リカックス
DJ/ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」 主宰者。J-WAVE「SONAR MUSIC」 ではラジオパーソナリティー として活動中。
interview & text:Annie Fuku photography:Yuhki Yamamoto
PICK UP
『Ash』
Ibeyi
¥2,200/Beat Records
伝統と革新は、相反するどころか親和性が高いのだと教えてくれるのが、ここに新作を発表する双子姉妹だ。西アフリカ系キューバ人のカルチャーを、洗練されたサウンドに投影し、さまざまな問題提起をする二人の声は、遠い昔の英知を現代に届けているかのよう。
『Reaching For Chiron』
BIGYUKI
¥2,500/UNIVERSAL
長年アメリカの音楽界で活躍する日本人のキーボード奏者が、満を持してアルバムを送り出す。軸足はジャズに置きつつヒップホップやテクノにクロスオーバーし、絶え間なく音色を変えながらグルーヴを紡ぐ彼。感覚を覚醒させる強めの刺激が、全編途切れない。
text:Hiroko Shintani
着たい服はどこにある?
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