ロードやキンブラの活躍で脚光を浴びるニュージーランドから、またまた登場した注目すべき女性ミュージシャンが、先頃来日したフェザーデイズ。全部の楽器を自らプレイして、ベッドルームでコツコツと作り上げたファースト・アルバム『Morningside』で、国内外のメディアの賞賛を浴びている。そこから聴こえるドリーミーで切ないギターポップは、シャイな笑顔を絶やさず、周りの空気をほっこりさせてしまう彼女の佇まいとも一致する。
音楽への情熱の源泉
――そもそもあなたが音楽に夢中になったきっかけは?
14歳の時に両親が離婚して色々悩んでいた時に、音楽に心の拠り所を見出したのがきっかけだった。すごく救われたのよ。それでバンドを組んで曲作りを始めて、ミュージシャンたちのコミュニティが私の新しいファミリーになったってわけ。以来ずっと音楽界を志してきたわ。
――今は、全部の楽器を自分で弾いてレコーディングするという形をとっていますね。
本当はバンドが好きなんだけど、音楽への情熱を分かち合える仲間と出会えなかったのよ。何しろ私は「昼も夜も音楽作りに費やしたい!」っていう勢いだった。そんな私に付き合ってくれる人を探すのは大変だから(笑)、待っていても時間がもったいないし、自分でできることをやってみようと思ったの。そうして誕生したのが『Morningside』よ。独りで作業をしていて煮詰まった時は、ボーイフレンドもミュージシャンだから意見を訊いたりしたわ。「それって違うんじゃない?」って無視しちゃうこともあるけど(笑)、彼は怒らないし、すごく助かってるの。
アルバム名の由来
――じゃあ、あなたにとって『Morningside』はどんなアルバムなんでしょう?
これらの曲を書いていた時期は、私にとってすごく辛い時期だった。パーソナルな面でさまざまなことが起きていたから、アルバムには、自分自身と向き合って心の整理をしている私の姿が、率直に描かれているの。それに当時はミュージシャンとしても気持ちが揺れていて、「誰も聴いてくれないかもしれないのに、なんでこんなに一生懸命やってるの?」と弱気になったりしたっけ。結果的には大勢の人に聴いてもらえたから、本当にうれしいわ(笑)。
――タイトルに掲げた“モーニングサイド”は地名なんですよね。
そう、私が住んでいる、オークランド郊外のなんの変哲もない住宅地で、コーヒーショップが2軒あるだけの退屈な町よ(笑)。でも、アルバム制作の途中でここに移り住んだ時にようやく生活が落ち着いて、私はハッピーになれた。だからタイトルにしたの。言葉そのものの響きも楽観的でしょ? 私にはとても居心地がいいし、ツアーから帰ってくるとほっとするわ。
アートワークへのこだわり
――ミュージック・ビデオも自分で監督していますが、ヴィジュアル表現にも関心があるんですか?
そうなの! アルバム・ジャケットも、友達がフィルムで撮った写真に自分で手を加えて作ったの。すごくアルバムに合ってる気がして、コンピューターに取り入れて思い切り拡大して、画素を浮き彫りにしてみたのよ。ほら、私はコンピューター上でアルバムをレコーディングしたし、独りでこんな風に音楽が作れるのも、デジタル時代ならでは。そういう感覚を表したつもりよ。
編集Iのインタビューのぞき見話
★インタビュー中じーっと目を見てくれる愛らしさにキュン!本当に可愛い……
★ナチュラルメイクでインタビューを受けていたけれど、いざ撮影!となったとたん、「ちょっと待っていてね」と赤リップを引いてきてくれた。可愛い……
★ボーイフレンドも有名なミュージシャン。彼について話すときの表情は、瞳もいちだんとキラキラ! 可愛い……
INFORMATION
『Morningside』
フェザーデイズ
(¥2,400/Tugboat)
世界に名立たるニュージーランド発のパンク・レーベル、フライング・ナンから今年6月に発表。ビートルズやボブ・ディランに学んだという古典的なソングライティング術、90年代のオルタナティヴ・ロック譲りのエッジをアメリア流に消化し、成長に伴う葛藤を素直に歌った、ベッドルーム・レコーディングの傑作だ。
Profile
本名はアメリア・マーレイ。インドネシア人の母とニュージーランド人の父の間に、ウェリントンで生まれる。バンド活動を経て、大学で音楽を専攻していた時に“Fazerdaze”の名義で宅録プロジェクトをスタート。2014年にEP『Fazerdaze』でデビューした。11月半ばに控えたニュージーランド・ミュージック・アウォーズでは、新人賞や最優秀アルバム賞など4部門の候補に挙がっている。
着たい服はどこにある?
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