電子音のテクスチャーを楽しむ2枚
今回は電子音の質感を楽しむ２枚を紹介したいと思います。まずはヤングジュヴィナイルユース（以下YJY）のアルバム『mirror』。ジェマパーというノイズ音楽、エレクトロニカ系のアーティストが曲を作り、ゆう姫が歌う二人組ユニットです。今作も浮遊感のあるボーカルと電子音楽ならではの硬質な音が聴こえてきます。曲の構成がしっかりしているし、歌も乗っているので聴きやすいのですが、ジェマパーの細かい技もきっちりと残っている印象。とても繊細なトラックを作る方で、『mirror』は仕上げ段階で、パツッとした音が前面に出てくる聴き心地になっています。アルカやクラーク、ラパラックスを彷彿とさせる、奥行きがあってとがっているシンセを使っているのも現代的。そうかと思えばサイン波やホワイトノイズといった王道の電子音も詰まっています。もともとYJYが活動を始める前からジェマパーが作る音が好きで、レコードやライブでよく聴いていました。
そんなジェマパーの2014年のソロ作『Microsleep』を聴いてから改めてYJYの『mirror』を聴いてみてください。「エレクトロニックな曲に歌が乗っていてポップだな」という感想を超えて、彼のオタクともいえるほどの音へのこだわりに気づけると思います。電子音は楽器と違って「点」で出しているので、一点一点粒だった音とか、とても細かい点がたくさん集まっている音とか、それらが空間ではじけている音とか。ひんやりと無機質な点が、エモーショナルで有機的なかたちになっていくさまがたまりません。電子音楽のアーティストが女性ボーカルをプロデュースしているもので個人的に刺さったのは、日本ではYJYくらいかも！ そのくらいイケてますよ。
Profile
リカックス
DJ／ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」 主宰者。J-WAVE「SONAR MUSIC」 ではラジオパーソナリティー として活動中。
SOURCE：SPUR 2018年2月号「LICAXXXのコレキキナ」
interview & text:Annie Fuku photography:Yuhki Yamamoto
PICK UP
『No_OneEver Really Dies』
N.E.R.D.￥2,200／SONY MUSIC
￥2,200／SONY MUSIC
今やソロでもスーパースターになったファレル・ウィリアムスが、バンド形態のサイド・プロジェクトを7年ぶりに再開。本作では天才プロデューサーとしての実力を見せつけ、多彩なゲストを交えて、めくるめく奇想天外なジャンル・ミックスを繰り広げる。
『Pilgrim』
MELRAW
￥2,000／epistroph
ここに驚くべきスケールのデビュー作を発表するのは、サックスを中心に多数の楽器を操るMELRAWこと安藤康平。普段からコラボしているWONKの面々ほか、日本のジャズやヒップホップ界の若い才能たちを巻き込んで、時空を旅する感覚でストーリーを描く。
text:Hiroko Shintani
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着たい服はどこにある？
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