【LICAXXXのTalk Room vol.1】ゲスト：Seiho

Licaxxx　以前からこの新連載の第１回の対談ゲストはSeihoくんだなと決めてたんです。 なぜならSeihoくんと出会ったおかげで今の私があるから。Seihoくんのことは出会う前からインターネット上で知っていたけど、ある日遊びに行ったお店にめっちゃ派手な人がいて。次の日にイベントを観に行ったら、その派手な人がSeihoくんだったっていう（笑）。
Seiho　僕もめっちゃ可愛い子おるって思ってた（笑）。それが2011年かな？ 音楽だけじゃなく、映像とか美術とか、いろんなクリエイターが集まって、みんながクロスオーバーしていった時期やったな。
L　あの頃、「先のまた先の音楽の話」ができる同世代って、私の周りにはSeihoくんとかtofubeatsくんとか、関西勢だけだったんだよね。
S　Madeggもそうやし、DJのASPARAくんとか、僕らがやってたパーティにいたクリエイターはみんなそんな感じでその先の音楽を考えてたかな。
L　あのときにエレクトロニックな音楽を作ってるSeihoくんたちに興味を持ったことで、一気に音楽の聴き方や掘り方も変わった。Seihoくんは常に2～3歩先の音楽を作ってるから、3歩先になるとクリエイター仲間でさえも、「ちゃんと考えて聴かないとわからない」状況になる（笑）。でもそれでいうと、今回の新作「Purple Smoke」は2.5歩先なのかなって個人的には思っていて。「先に行きすぎず、みんなを踊らせに行くか」みたいな旗揚げ感もあるよね。
S　音楽を作ることは、コミュニケーションやと僕は思ってて。本能でいいと感じる音が頭の中で鳴ってて、それをあえて理性で解釈して世に出すってことは、誰かと音楽で会話をしたいということ。わかってもらえないと意味ないんだよね。新作はその、本能と理性のバランスをきちんと取ろうとしていて、それが「2.5歩先」ってことなのかもしれない。
L　クラークスとかラパラックスとか海外でもそういう動きになってるね。
S　音楽は新しくなければなと思う。古いものもいいけど、新聞と同じで、音楽にも新しい情報が常にあるからそれを届けたい。でもどう届けるかが大事で。先に行きすぎると読めないからね、文字が新しすぎて（笑）。
L　私はそれをDJとして、最初に翻訳してみんなに伝える人みたいな感じかな。本当は私も作りたい側の人間だし迷った時期もあったけど、専門的に突き詰める人がいて、そういう人を愛を持って理解したうえで世間との真ん中に立つ人が必要で。それが自分なのかなって割り切れた。そこに気づけたのも、やっぱりSeihoくんとの出会いが大きいかな。
S　昔からLicaxxxがこういう立ち位置になってくれるのが理想やった。Licaxxxの場合、完全な作り手じゃないというのが重要で。作り手が偉いか裏方が偉いかって話ではなく、世の中にはいろんな役割を担う人がいて、それぞれが心から好きなことをしているのが、一番幸せやと思うから。

PICK UP

「Purple Smoke」
Seiho
デジタル配信中／The Deep Land of Gray and Red

美しい本能とダンサブルな理性が 共存する、Licaxxxいわく「乾いたシンセがサイケに響く」新作。KID FRESINOが「Cherry Pie」に参加。

SOURCE：SPUR 2018年4月号「LICAXXXのTalk Room」
iinterview & text:Kanako Hayakawa　photography:Yuhki Yamamoto