2018.11.07

【LICAXXXのTalk Room vol.5】ゲスト:Randomerさん

GUEST
Randomer/ランドマー

ノース・ロンドン出身のプロデューサー。L.I.E.S.やHemlock、Dekmantelなど有名レーベルから作品をリリース。

Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」を主宰。パーソナリティを務めるJ-WAVE「SONAR MUSIC」も注目。

ありがちなアンビエントでなく、ダンスフロア向けの音を

Licaxxx(以下L 今回のゲストは初の海外アーティストです。ランドマーの曲は昔から聴いていてずっと共演したかったんですが、なかなか呼べなくて。やっとやりたかった場所で、共演したかった人といつもの仲間とイベントできるのがうれしいです。早速ですが日本の印象は?
Randomer(以下R 日本はアンダーグラウンドな音楽に興味を持っている人が多くて、そのシーンが元気だなという印象です。僕も変わっている音が好きなので相性がいいし、インスパイアされます。食べ物もおいしいし。
L 作品のリリースは定期的にして、DJもいろんなところでされてますが、トラックメイキングとDJプレイはどういうバランスで行なってますか?
R 今は週末にDJが入っていて、作曲できる時間は平日の数日間くらいしかないので、できたらDJの時間を少し削って作曲に集中したいかな。
L サンプリングで印象的なキック(バスドラムの音)を作るとお聞きしましたが、いつもどういうテンションで曲を作っているんですか?
R さあ曲を作ろうとなったとき、一曲まるまるではなくて部分的に作っています。たとえばキックとパーツだけ作っておいて、あとで組み合わせる。そのほうが時間もかからないし、イラつくことも少ない(笑)。自分の曲をサンプリングして新しい曲に組み入れることも。「できた!」という感じではなく、常に模索しながら勉強していますね。
L 「縦ノリでレイドバック的なリズム」のような独特なノリはどうやって生まれるのですか。感覚なのか計算してやっているのか気になります。
R 昔からヘビーメタルを聴いていて、ギターも弾いていました。ヘビメタのなかでもスネアが強くてグルーヴ感のある音が好きで。それからドラムンベースやジャングルも聴いていたので、自分のグルーヴはその影響なんじゃないかと。ウッドの音やダウンビート的な音も好きですね。
L DJをしているときに気をつけていることはなんですか?
R 「自分が作りたかった」と思う曲をメインに、本当に大好きな曲しかかけないこと。自分で作った曲もかけますよ。
L ライブDJセットに近い感じですね。今後作っていきたい曲は?
R 電子音楽でありがちなアンビエントなリスニング用のアルバムを作りたいわけじゃなくて、12曲くらい入ったダンスフロア向けのアルバムを出したい。音はまったく違うんですが、目指しているフォーマットはBaauer(バウアー)というトラップのアーティスト。彼のアルバムはダンスフロア向けだけど、ボーカルが入ったりビートが違ったりと多様性がある。そんな形でアルバムを作りたいです。
L 最後に、今日はどんな夜にしたいですか?(※インタビューは共演イベントの直前)
R アンダーグラウンドな曲から始めようと思います。日本はヨーロッパほどテクノ文化が強くないので、最初にそうじゃない曲をかけて遊べるんです。LicaxxxのDJは初めて見るから、楽しみにしているよ。

PICK UP

『Slicing』
Randomer
/Dekmantel

オリエンタルでパーカッシヴなビートと、未来的なシンセ・サウンドが印象的な新作。ミニマルかつロウなテクノ~ベース・ミュージックが楽しめる。

SOURCE:SPUR 2018年12月号「LICAXXXのTalk Room」
interview & text: Annie Fuku photography: Kikuko Usuyama