Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」を主宰。ラジオパーソナリティを務めるJ-WAVE「SONAR MUSIC」も注目。
タイダイ柄のムードに合う音楽は?
『WISMUT』
SASCHA FUNKE & NIKLAS WANDT
『EXOGENESIS』
HODGE
こんにちは。春はすぐそこですね。今号から、ファッショントレンドに合った音楽を紹介していこうと思います。最初のテーマは「タイダイ柄」。1960年代のヒッピー文化と結びつきが強い絞り染めのデザインで、サーファーやレゲエ好きが着ているイメージがありますよね。昨年、サイケデリック・ロックを代表するバンドであるグレイトフル・デッドのTシャツがはやって、ハイブランドでも見られるようになりました。
そんなデザインと合いそうなのが、サシャ・フンケ & ニクラス・ヴァントの『WISMUT』。ベルリンを拠点とするふたり組で、すごくオーガニックなファンクが楽しめます。もともと土着的なムードを持っている音楽が好きなんですが、より特徴的なレコードを買いたいなと思って探していたときに出合いました。フランス語のサンプリングやギターカッティング、民族音楽のようなさまざまな音色が入っているからか、南国のビーチ感もあるんだけど宇宙的でサイケデリックなところもある。どこか愉快で可愛らしくもあり、聴き続けていても暑苦しくないので、リッチでエレガントな浜辺でのリゾートを満喫している感覚になります。その非日常な雰囲気がタイダイ柄と通ずるんですよね。
続いてはブリストルのベースミュージック、テクノのプロデューサー、ホッジの『EXOGENESIS』。「まさにタイダイ柄!」という印象だったので、こちらはジャケットで選びました。聴き心地も南国やサイケデリックの雰囲気もありつつ、より広大なSFっぽさがあります。ファッションショーでテクノをかけるブランドが今シーズンは多いような気がしていますが、スペーシーな演出のショーにも合いそうです。
Monthly Pick-up
『H.E.R.』
H.E.R.
¥2,400/SONY MUSIC
今年のグラミー賞で5部門の候補に挙がっている美声の米国人シンガー、H.E.R.ことガブリエラ・ウィルソンは、まだ21歳の新人だ。でも、ミニマルでメロウなバラードにこだわる彼女の美学はすでに完成されていて、ミレニアル世代のシャーデーになりそうな予感。
『Meadow Lane Park』
Le SuperHomard
¥2,600/disk union
"偉大なオマール海老"という不思議な名前のバンドが、南仏から登場した。このファーストには、イタリアの映画音楽や英国のサイケデリック・ロックの影響を消化し、ガーリーに仕上げたシンセポップが満載だ。1960年代のヨーロッパに、愛情たっぷりの視線を投げかけている。
text: Hiroko Shintani
SOURCE:SPUR 2019年4月号「LICAXXXのファッション×ミュージッQ」
interview & text: Annie Fuku photography: Yuhki Yamamoto,Jonas Gustavsson(runway)