Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」を主宰。インターネットラジオ「Tokyo Community Radio」もチェック。
思わず赤い服を着たくなる音楽は?
「Mosaic Of The Orient」
Elias Rahbani
「Cosmic Sounds」
N’Draman Blintch
今季は「赤」がトレンドということで、赤い服が着たくなるような音楽を紹介したいと思います。まずはレバノンの作曲家、エリアス・ラーバニによる70年代のアルバム『Mosaic Of The Orient』。裾が風になびく赤いドレスを着た、エレガントで華やかな女性像が浮かびます。エリアスは、レバノン音楽にいち早く西洋音楽を取り入れた、「現代レバノン音楽の父」と呼ばれるラーバニ兄弟の末っ子。このアルバムは「Let’s Dance」という曲から始まるように、全体を通してとてもゴキゲンなつくりとなっています。聴いていると思わずくるくる回って踊りたくなってしまうんです。そうなるのは笛やエレピの音色が民族音楽的で、印象に残るからかも。ノスタルジックな中東のサイケロックが、情熱をイメージさせる赤を喚起します。
続いてナイジェリアの音楽家、ンドラマン・ブリンチの’80年のアルバム『Cosmic Sounds』を。タイトルどおり宇宙を感じさせるシンセが印象的な、ダンスミュージック寄りのファンクです。アムステルダムのレコード店でワールドミュージックをまとめて掘っていたときに見つけて、再発盤を買いました。イメージとしてはハリウッド映画で、世界を舞台に活躍する主人公が、灼熱の地に着いたときに流れる曲。照りつける太陽の下、赤い服を着たグラマラスな女性、という感じですかね。
今年、「Amazon Fashion Week TOKYO」のオフィシャルアンバサダーとしてオープニングイベントでHYKEの真っ赤な服を着たんですが、テンション上がりましたね。プライベートで赤い服はあまり持っていないのですが、今季はトレンドということで、挑戦してみようかなと思います。
Monthly Pick-up
『THE S.L.P.』
THE S.L.P.
¥2,200/SONY MUSIC
英国の大物バンド、カサビアンのギタリストであるサージ・ピッツォーノが、自分のエキセントリックな面を全開にして、ソロ活動を開始。映画音楽もアフロビートも守備範囲とする彼、あり余るほどの好奇心と創作意欲を備えた大人の遊び心を、このアルバムで伝えている。
『Something Like A War』
KINDNESS
¥2,200/Beatink
5年ぶりのサードを完成させた、カインドネスこと英国人アーティストのアダム・ベインブリッジ。多数の女性ゲストの声を絡めた、彼のスタイリッシュなエレクトロR&Bは、ぬくもりと冷ややかさが入り交じる、昼でも夜でもない時間のBGM。そのファジーな感覚が心地いい。
text: Hiroko Shintani
SOURCE:SPUR 2019年11月号「LICAXXXのファッション×ミュージッQ」
interview & text: Annie Fuku photography: Yuhki Yamamoto, Jonas Gustavsson (runway)