2019.09.07

「50年後にこの歌詞の意味がやっとわかるかも」【LicaxxxのTalk Room】

Licaxxx/リカックス
DJ、ビートメイカー。ウェブ「シグマファット」主宰。インターネットラジオ「TokyoCommunity Radio」もチェック。

GUEST Black Boboi/ブラック ボボイ
小林うてな、ermhoi、Julia Shortreedからなる音楽ユニット。2018年結成、2019年フジロック出演。

Licaxxx(以下L ) それぞれソロアーティストとして活動していた3人がBlack Boboiを結成するようになった経緯を教えてください。

小林うてな(以下U) 2018年にBINDIVIDUALって自主レーベルを立ち上げた際、そのお知らせのために、もともとソロで誘ってたふたりと一緒に曲を作ってみたんです。それが楽しかったので、ライブも楽曲配信もし、名前つけなきゃという具合でバンドの形に。役割としては私がトラックを出して、サンプラーでのパーカッション、スチールパン、歌を担当してます。

Julia Shortreed(以下J ) 私は、ギター、シンセ、歌を担当しています。

ermhoi (以下e ) 私はシンセとシンセベースをやったり、PCでサンプルを出したり、歌を担当しています。

L  名前はどうやって決めたんですか?

U とくに意味はないんですけど、言葉遊びで「Boboi」って単語が出てきて。その前に色をつけようってなって、ブラックに落ち着きました。

L  ファッションも黒の印象がありますが、そこに由来してるんですか?

U そうそう、ブラックってついてるし黒着てみるかみたいな(笑)。

L  最近の制作やライブはどんな感じなんですか?

U 今までPCに従ってる感じだったからフィジカル度を上げたくて、楽器を増やしました。今は曲をどう作るかってところにフォーカスしてます。

J  3人で制作を続けていると、言いたいことを言い合うことが大事だと思っていて。共同作業って面倒なことも放り出せない。放っておくとまたそれがぶつかってくるから、向き合わなきゃいけない。目的に向かって解決していくことは普通の友情ではあまりないことだから、より深い関係が築けています。

L  曲を作るときにコンセプトや思想など、音以外の話ってしますか?

e  しますね。たとえば人間関係についての歌詞を書くときも身近なワードじゃなくて、自然や時間みたいな大きなワードに置き換えて話してみたり。

U 歌詞を書くときに一番考え方の話になるかな。3人がその歌に対して同じ感覚が持てるくらいには落とし込みます。

e  意味があるかわからない歌詞が最近でき上がりましたけどね。50年後とかに意味がわかったら楽しいだろうな。

L  すごいね、自分たちが生み出してるけど解釈は先にある。SFっぽい(笑)。

e  ひとりが大枠を作ってきても、ほかのふたりの意見をどんどん取り入れるから、最終的に完全に3人のものになるのが面白い。

L  ところでイメージと違ってなかなかに陽気な3人ですよね。

J  陽気ですね。ライブのMCでどこまで陽気さを見せるかが難しい。

U MC難しいよね。今は3 人でやる音楽に対して、自分たちのあり方を探ってる途中。3人で濃密な1年を過ごしたけど、もっとできることはあるよね。リカちゃんにも入ってもらって……。タピオカくらいメンバー増やそう(笑)。

J  タピオカまでいかなくとも、いろんな音や人と交流していきたい!

『Red Mind /4 hours』
BINDIVIDUAL

 自主レーベルからリリースされた最新EP。重層的な声が印象的なスチールパン・エレクトロニック「Red Mind」とアンビエント・トラップ調の「4 hours」の2曲。

SOURCE:SPUR 2019年10月号「LicaxxxのTalk Room」
interview & text: Annie Fuku photography: MELON