2020.07.07

バーチャル空間と、アナログ生活【秋元才加の音語り】

秋元才加/あきもと さやか
女優、タレント。映画・ ドラマ・舞台への出演やテレビ・ラジオの MCとして幅広く活躍。ハリウッド映画『山 猫は眠らない 8 暗殺者の終幕』、ミュージ カル『スクールオブロック』今夏出演予定。ドレス¥211,000・靴¥91,000/Acne Studios Aoyama(Acne Studios)

vol.5 バーチャル空間と、アナログ生活

「Sicko Mode」
Travis Scott
『Astroworld』収録
「Plantasia」
Mort Garson
『Mother Earth’s Plantasia』収録

 こんにちは、秋元才加です。少しずつ街が動き始めてきましたね。みなさんは、今回の外出自粛期間をどう過ごされましたか?

 この期間に何を考え、どう過ごしたかは、いつか大きな差を生むのではないかと思っています。私は、特にデジタルとアナログについて考える時間が多かったです。この期間、ZoomやSkypeを使用しての仕事や学習が多くなりました。今まで積極的にはデジタルに触れてこなかった私ですが、とても便利。時間の有効活用にもつながりました。しかし、この間初めてトライしたリモート放送ではタイムラグが出ることもあり、人数が増えるとリアクションが少しチグハグになるといった印象。便利な半面伝えにくい部分もあり、アナログで対面することの重要性に気づけました。

 そんな中、オンラインゲーム「フォートナイト」で開催されたトラヴィス・スコットの仮想空間ライブ「Astronomical」。「Sicko Mode」から始まるオープニングは、「デジタル空間でもこんなに楽しめるのか!」と、目から鱗が落ちっぱなし。莫大なお金がかかっているからこそあれだけのモノが見られたのかもしれませんが、デジタルとエンタメの可能性に胸が躍りました。世界がつながり、宇宙や海底、どこでもライブができる。なんでもできるなんて最高じゃないか。また、SNSとの向き合い方も再考しました。いろいろな方に触れることで、たくさんの学びや気づきがありました。

 日々の生活では、アナログな部分もしっかり残し、大切にしていきたいと思うように。花や観葉植物のお世話、アクアリウムなど、以前にも増してアナログ生活を取り入れています。デジタル化が進む中で、きっと無意識にバランスをとっているのかもしれません。植物のために作られた楽曲、モート・ガーソンの「Plantasia」を、植物とともに聴いたりしています。やさしい音色で眠たくなりますが、毎日聴かせたらすくすく育つか実験中です。変化していく環境の中で、どうしたら気持ちよく生活できるか、定期的に自分をアップデートし能動的に取捨選択していきたいですね。引き続き気を抜かず、ステイセーフでいきましょう。

Monthly Pick-up

『Civic Jams』
Darkstar
¥2,200/Beatink
コンセプチュアルな作品制作で知られる英国のエレクトロニカ・ユニットが、4枚目を完成。大都市におけるコミュニティの絆を題材にした今回は、再開発などにおびやかされる公共スペースを音楽の中に構築。薄い膜で包んだような2ステップ・サウンドは深い安心感を与える。
『A Quickening』
Orlando Weeks
¥2,300/Big Nothing
「息子よ」と呼びかけて始まる本作は、地元で大きな人気を誇ったUKバンド、ザ・マッカビーズの元シンガーのソロ・デビュー作。父親になろうとしていた彼の心境がデリケートな音だけで形づくられた曲に託され、まだ見ぬわが子を思いながら自分自身に歌い聴かせるララバイ集に。

SOURCE:SPUR 2020年8月号「秋元才加の音語り」
text: Sayaka Akimoto text(Monthly Pick-up): Hiroko Shintani photography: Kodai Ikemitsu styling: Mayu Yauchi hair: Keiko Tada 〈mod’s hair〉 make-up: Nao Yoshida

 

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