秋の夜長に、読書と音楽と【秋元才加の音語り】

vol.9 秋の夜長に、読書と音楽と

「Early Morning Jungle Background」
Ambient Nature Sounds
『Jungle Sounds』収録

「Just Good Friends」
Michael Jackson
『Bad』収録

　こんにちは、秋元才加です。あれだけ暑くて鬱陶しかった夏も過ぎてしまえば少し寂しい気持ちになったりして。日が暮れるのも早くなりましたが、秋といえば読書ですね。というか読書はずっと好きなんですけど、デジタルデトックスを兼ねて鞄に一冊は忍ばせるようにしています。この仕事をしていてこれを言うのもなんですが、私は普段ニュースかテレビショッピングくらいしかテレビをつけていません。たまにテレビを見ると、情報過多で頭がいっぱいになってしまうことがあります。でも、自分が出た番組は多くの方にぜひ見てほしい！　ジレンマです（笑）。今の私にはテレビよりも「本」のほうがフィットしているのかもしれません。何がいいって、好きなときに好きなだけ読める、自分のペースで読めるし、疲れたらそっと本を閉じればいい。いい距離感の旧友みたいな感覚です。電子書籍と紙書籍をモノによって使い分けてはいますが、圧倒的に紙派。最近は、星新一さんの『ボッコちゃん』と、アート書籍を購入しました。英語のテキストや復習も、紙をめくり、書き込まないと頭に入ってきません。出版業界も大変だとは思いますが、どうにか頑張ってほしいです。
　読書中音楽は聴きませんが、秋の夜長リラックスした時間には鳥の鳴き声などが入ったネイチャーサウンドAmbient Nature Soundsの「Early Morning Jungle Background」を聴いています。鈴虫の鳴き声もなかなか聞くことのできない東京人にはおすすめです。落ち着いて眠くなってきます。疲れ具合で、聴きたい音楽の音数も変わってきますよね。最近は、原点回帰でマイケル・ジャクソンも聴いてます。この時代のシンセの音色が好きみたいで、スティーヴィー・ワンダーとのデュエット曲「Just Good Friends」は秋晴れの中散歩したくなるような一曲です。
　私は、＂積読＂していた本たちと一冊一冊向き合って参りたいと思います。どうかみなさまにも、この秋、素敵な本と音楽の出合いがありますように。

Monthly Pick-up

『Fake It Flowers』
Beabadoobee
￥2,500／Dirty Hit

　ビーバドゥービーことビー・クリスティは、今年の有望新人として注目される、20歳のフィリピン系英国人だ。このデビュー作では、甘くナイーブな声で10代の体験を総括。90年代気分のラウドでひずんだギターが彼女の怒りや悲しみ、悔い、戸惑いに共鳴し、成長とカタルシスに導いていく。

『Acts of Rebellion』
Ela Minus
￥2,100／Beatink

　自ら製作したシンセサイザーを操り、DIYスタイルでテクノにアプローチするコロンビア人女性がデビュー。＂抗議行動＂というタイトルどおりハードなマシーン・サウンドでテンションを高めながら、囁くような声でポリティカルな問題提起をし、新しい形のプロテストミュージックを鳴らす。

SOURCE：SPUR 2020年12月号「秋元才加の音語り」
text: Sayaka Akimoto　text（Monthly Pick-up）:Hiroko Shintani　 photography: Kodai Ikemitsu　styling: Mayu Yauchi　hair: Keiko Tada 〈mod’s hair〉　make-up: Nao Yoshida