超人の歌唱力に酔う【秋元才加の音語り】

vol.10 超人の歌唱力に酔う

「On Your Mark」
CHAGE & ASKA
『VERY BEST ROLL OVER 20TH』収録

「好きさ」
安全地帯

　こんにちは、秋元才加です。このところ、ドラマなどの撮影手順もニューノーマルになり、撮影前の検査や体温測定が定着してきました。Go To トラベルやGo To Eatを利用したい気持ちはありますが、リスク回避のためにもなかなか踏み出せずにいます。今月は、YouTubeでいろいろなアーティストのMVや、過去のCM、子どもの頃によく見ていたアニメの主題歌などを見返したりして、ノスタルジーに浸っていました。過去の映像から、アイデアや、気づきを得ることも多いです。最近はもっぱらCHAGE and ASKAと玉置浩二さんの動画ばかり見ています。彼らのすごさは周知の事実ですが、神がかった動画がたくさんあって、あっと言う間に時間が過ぎてしまいます。その中でも「ASKAの超人的な歌声」をまとめている動画が特に好きで、フェイクをきかせたASKAさんの「WALK」と国家独唱を夜な夜な見てはニヤニヤする日々。
　また、「On Your Mark」の宮崎駿さんとスタジオジブリが製作している作品は、今はなかなか見ることができないかもしれませんが、みなさんにぜひ見ていただきたい大作だと思っています。実際のMVより、私はこのアニメのほうが個人的には好きですね。玉置浩二さんは、アニメ「めぞん一刻」のOP曲にも使われていた「好きさ」を過去と今で聴き比べたりして楽しんでます。昔の玉置さんももちろん素敵なのですが、最近の玉置さんの「好きさ」は厚みと深み、ギラギラした色気があってさらに好きです。伝説の老ライオンに見えてくる……。神々しいです。同じ曲を同じ人が歌っても、歌に変化が出たり、リスナーの年齢によっても感じ方が変わる。音楽って本当に面白いですね……おっと、執筆しつつYouTubeでチャゲアスを流していたら、エレファントカシマシ宮本浩次さんの「喝采」のカバーに出合ってしまった。これも素敵です。これまで主に洋楽を紹介してきましたが、日本にも素晴らしいアーティストはたくさんいるのです！ と、いうことでまた次回もお目にかかれたら。

Monthly Pick-up

『Monument』
Molchat Doma
￥2,200／Big Nothing

　故郷は民主化運動に揺れるベラルーシ、今世界的な注目を浴びているトリオの最新作には、ジャケットと見事に一致する世界が広がっている。それはソビエト時代のコンクリートの建築物を想起させるシンセポップ。威圧的で憂鬱なのにたまらなくキャッチーでダンサブルで、強烈な異彩を放つ。

『Djesse Vol.3』
Jacob Collier
￥2,500／ユニバーサル

　マルチな才能を持つ英国ジャズ界の鬼才が、大勢のゲストを迎えて、エレクトロニックなサウンドに特化した新作を発表する。ダブステップで浮遊したりトラップで跳ねたり、とにかくファンキーであることが鉄則。技巧を極めたポップソングの数々に詰め込んだ、膨大な音の情報量に圧倒される。

SOURCE：SPUR 2021年1月号「秋元才加の音語り」
text: Sayaka Akimoto　text（Monthly Pick-up）:Hiroko Shintani　 photography: Kodai Ikemitsu　styling: Mayu Yauchi　hair: Keiko Tada 〈mod’s hair〉　make-up: Nao Yoshida