2026.04.05

世界を魅了する日本生まれの情緒と美学【Mitski】 | 2026年4月のおすすめ音楽

一枚のアルバムとの出合いから始まる、"私的"な音楽の旅。多彩な音が育む、新しいカルチャーの萌芽を目撃せよ! 音楽マニアのHASHIMOTOSAN(ハシモトサン)が注目の一枚を解説。

一枚のアルバムとの出合いから始まる、"私的"な音楽の旅。多彩な音が育む、新しいカルチャーの萌芽を目撃せよ! 音楽マニアのHASHIMOTOSAN(ハシモトサン)が注目の一枚を解説。

hashimotosanのおすすめ音楽

『Nothing’s About to Happen to Me』Mitski

『Nothing’s About to Happen to Me』Mitski

『Nothing’s About to Happen to Me』Mitski
配信中/Big Nothing

冬季オリンピックやWBCで連日大きな盛り上がりを見せていた日本列島。ハイレベルな戦いの中で躍動する日本の選手たちの勇姿に感動と勇気をもらったが、世界を舞台に日本人が活躍しているのはスポーツ界に限った話ではない。XGや藤井風など、近年日本人アーティストの海外での活動も活発化する中、忘れてはならない存在がMitskiだ。

日本人の母とアメリカ人の父を持つ三重県出身のミツキ・ミヤワキは、母親の影響で中島みゆきや松任谷由実などの日本のポップスを聴いて育ったのだそう。そんな彼女の生み出す音楽は、エモーショナルなロックサウンドに日本的な情緒を感じさせるメロディと、情念や諦念が込められた生々しくリアルな歌詞が交じり合い、彼女にしか作りえない独特の響きをしている。

唯一無二のサウンドは通算8作目となる最新作『Nothing’s About to Happen to Me』でも健在だ。カントリーやアメリカーナに接近しながら、そこにオーケストラ演奏を加え、それまでの音楽性から大きく発展。前作からの流れをより洗練させた一枚と言える仕上がりだ。ストリングスの優雅な音色を携えた、情感豊かなゆったりとした楽曲から、活動初期を思わせる激しく風変わりなロックナンバーまで、その音楽性は実に幅広い。そしてそこで歌われているのが、荒れ果てた家で暮らす引きこもりの女性の心情を軸とした物語なのだから面白い。フジロックへの出演で7年ぶりの来日も決定しているが、今作の独特の世界観をライブでどう表現するのか、注目だ。

HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)プロフィール画像
HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)

ジャンルを問わずさまざまなミュージシャンを愛する音楽マニア。Itなアーティストを紹介する自身のX(@hashimotosan122)にファン多し。最近は、新調したアナログプレイヤーでレコードを聴きながら過ごす時間がお気に入り。

2026年4月のおすすめ音楽

『Sexistential』 Robyn

『Sexistential』 Robyn

¥2,750〈3月27日発売〉/Beat Records

後輩たちに多大な影響を与えたスウェーデン人シンガーの、約8年ぶりの新作。つながりを求め、ときめきを忘れず、快感を追求し続ける彼女の人生哲学が、ミニマルなダンスポップにピュアな形で凝縮されている。

『Honora』 Flea

『Honora』 Flea

¥3,300〈3月27日発売〉/Warner Music Japan

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーのソロデビュー作は、子ども時代に吹いていたトランペットが主役のジャズアルバム。自由な解釈で無邪気に音楽作りを楽しむ、喜びが伝わってくる。

『Wuthering Heights』 Charli xcx

『Wuthering Heights』 Charli xcx

¥3,630/Warner Music Japan

『Brat』で一世を風靡したイギリス人アーティストが、話題の映画『嵐が丘』の世界をサウンドと歌声で描写。壮麗なストリングスに彩られたゴシック・ポップに荒涼とした風景が広がり、激しい愛憎が渦巻く。

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