2024.05.05

あらゆる時代の音をかき集め、ギターで奏でる新鋭|Mk.gee【HASHIMOTOSANの"雑食"音楽紀行】

 

あらゆる時代の音をかき集め、ギターで奏での画像_1

一枚のアルバムとの出合いから始まる、"私的"な音楽の旅。多彩な音が育む、新しいカルチャーの萌芽を目撃せよ!

『Two Star & The Dream Police』 Mk.gee

『Two Star & The Dream Police』 Mk.gee
『Two Star & The Dream Police』 Mk.gee
配信中/R&R

ここ数年の音楽シーンを語る場面でよく目にするキーワードのひとつが「リバイバル」という言葉だ。過去に流行したサウンドを取り入れたり、当時の音楽へのリスペクトをさまざまな形で示した楽曲が多数リリースされている。

その流れの中心にいるのは、現在20代や30代の若手ミュージシャンだ。彼らの生み出す音は、彼らが生まれる前や幼少期の80〜90年代と、青春時代を過ごした00〜10年代の音楽が絶妙なあんばいで混じり、懐かしさとモダニティが重なり合う不思議な響きをしている。

ニュージャージー出身のシンガーソングライター、Mk.geeの作り出す音楽はまさにそんな質感だ。プリンスやブルース・スプリングスティーンからの影響を感じるメロディアスなポップ・ロックを軸とし、実験的なアプローチで現代的に仕上げた『Two Star & The Dream Police』。彼のギタリストとしての才能も堪能できる傑作だ。時に荒々しくひずませたギターの音色は、美しいメロディにスパイスをきかせ、全体を切れ味鋭く引き締めている。ギタリストやプロデューサーとして、オマー・アポロなどの同年代のミュージシャンの作品に参加し、高く評価されている。

また、先日ミラノで行われたジル サンダーのショーにはパフォーマーとして招かれ、ファッションシーンからも注目を集める存在に。トレンドの90年代前後を象徴する音をミックスし、フレッシュな魅力を開拓するMk.gee。彼もまた次世代に影響を与える音楽を生み出す、ミュージシャンの一人なのだ。

HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)プロフィール画像
HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)

ジャンルを問わずさまざまなミュージシャンを愛する音楽マニア。Itなアーティストを紹介する自身のX(@hashimotosan122)にファン多し。全世界待望、ビヨンセが手がける最新アルバム『Cowboy Carter』を聴き込む日々。

2024年5月のおすすめ音楽

『Only God Was Above Us』 Vampire Weekend

『Only God Was Above Us』 Vampire Weekend
¥2,970/Sony Music

バンドの故郷であるニューヨークにインスピレーションを見出し、最新作を作り上げたおなじみのトリオ。町と縁が深いフォークやパンクロックを介して過去と現在をつなぎ、その豊かな歴史に答えを探している。

『The Garden Dream』 gglum

『The Garden Dream』 gglum
¥2,640/Big Nothing

gglumこと、21歳のエラ・スモーカーのデビュー作から聞こえるのは、成長に伴う痛みと戸惑い。時にドリーミーで、時にノイジーなサウンド空間に安全な居場所を見つけ、秘密を分かち合うようにして歌う。

『All Born Screaming』 St.Vincent

『All Born Screaming』 St.Vincent
4月26日配信開始/Virgin Music

米インディロック界の奇才が、渾身の7作目を発表。大きな試練に直面して絶望の底にいたという彼女は、自分が愛の力に救済を見出すまでのプロセスを濃密な音楽体験に転化。喪失と再生のコントラストは鮮烈だ。

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