2025.03.05

【バッド・バニー】祖国の伝統文化や社会問題を、音楽を通じ世界へ発信【hashimotosanのおすすめ音楽】

 

【バッド・バニー】祖国の伝統文化や社会問の画像_1

一枚のアルバムとの出合いから始まる、"私的"な音楽の旅。多彩な音が育む、新しいカルチャーの萌芽を目撃せよ!

『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』 Bad Bunny

『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』 Bad Bunny
『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』 Bad Bunny
配信中/Rimas Entertainment

年末年始などのタイミングで故郷に帰省し、普段なかなか顔を合わすことのない家族や友人に会ったとき、うれしさや安心感と同時に少し寂しさを感じてしまうことがある。お互い年をとったなぁとか、あと何回こんなふうに過ごせるのだろうとか、若い頃には感じ得なかった感情が次第に身に染みてきているのかもしれない。現在、世界で最も多くの人に聴かれているミュージシャンともいわれるバッド・バニーの最新作『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』は、まさにそんな郷愁や祖国への愛をテーマにした作品だ。

カリブ海の島プエルトリコ出身のバッド・バニーは、世界最大級の音楽フェス・コーチェラで、スペイン語圏アーティストとして初めてヘッドライナーを務めるなど、近年の世界的なラテン音楽ブームを牽引する存在。統治国であるアメリカとの関係やハリケーンによる災害など、さまざまな問題を抱える故郷を飛び出し、世界で活躍を続けている。今作では、自身のルーツに対する愛を多面的に表現。サルサやプレーナなど昔から親しまれてきた伝統的な民族音楽から、レゲトンやデンボウといったここ数年勢いのあるラテンビートまで、異なるリズムやメロディが混在したダンサブルなサウンドだ。決してシリアスなムードになることなく自然と体が動き出すようなお祭り感にあふれた響きとなっている。残すべき文化や伝統、変えていかなくてはいけない現実や社会問題。その両面を音楽を通して世界に発信するバッド・バニーこそ、真のグローバルアーティストと言えるのではないだろうか。

HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)プロフィール画像
HASHIMOTOSAN(ハシモトサン)

ジャンルを問わずさまざまなミュージシャンを愛する音楽マニア。Itなアーティストを紹介する自身のX(@hashimotosan122)にファン多し。最近は、世界各国の年代別ヒット曲を聴けるアプリ「Radiooooo」に夢中。

2025年3月のおすすめ音楽

『Saya』 Saya Gray

『Saya』 Saya Gray
配信中/Dirty Hit

ここにデビュー作を発表するサヤは、変幻自在な声を備えた日系カナダ人アーティスト。日本中を旅して綴ったという、フォークやカントリーに根差したシンプルな曲の数々には、懐かしさと非日常性が同居する。

『Who Let The Dogs Out』 Lambrini Girls

『Who Let The Dogs Out』 Lambrini Girls
配信中/City Slang

英国から現れたガールズ・デュオは、ミニマルなパンクロックに乗せて、公権力の横暴やマイノリティの差別に異を唱え、今の世界の生きづらさを吐露。ユーモアも交えた健全な怒りで聴き手をエンパワーする。

『Hope Handwritten』 Hope Tala

『Hope Handwritten』 Hope Tala
¥2,750/Inpartmaint

何よりもタイムレスという言葉が似合うロンドン出身の話題のシンガーが、ファーストを完成。多様なスタイルを編み込む彼女のリリカルでソウルフルなポップソングは、長年聴き慣れていたかのように心地いい。

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