一枚のアルバムとの出合いから始まる、"私的"な音楽の旅。多彩な音が育む、新しいカルチャーの萌芽を目撃せよ! 『Still』 Erika de Casier 『Still』 Erika de Casier¥2,860/4AD 熱心な音楽ラバーたちの間で近年急速に注目を集める国、デンマーク。ML・ブーフやアストリッド・ゾンネなど、少し風変わりで個性的なサウンドを鳴らすミュージシャンが次々と登場し、ユニークかつ優れた音楽の新たな発信源となっている。その代表格がエリカ・ド・カシエールだ。 R&Bを軸にポップスやクラブミュージック、ボサノヴァなど、さまざまなジャンルの響きが混在したメロウな楽曲が多くのメディアから絶賛され、次世代のサウンドメイカーとして高く評価されている。そんな彼女の名前が一躍世界中に知れ渡ったきっかけは昨年リリースされた、NewJeansのEP『Get Up』にソングライターとして参加したことだろう。エリカの洗練されたサウンドセンスと、気鋭のアイドルのフレッシュなマリアージュが、世界中の人々を魅了したのは記憶に新しい。彼女にとって3作目のアルバムとなる最新作『Still』は、これまで見せてきた「らしさ」全開のサウンドと新たな音楽的挑戦が交錯した、絶妙なバランス感が魅力の一枚だ。 Y2KのポップスやR&Bを思わせるどこか懐かしい響きと、近年トレンドとなっているクラブミュージック由来のアグレッシブなビートが絡み合ったレトロフューチャーなサウンド。ブラッド・オレンジやシャイガールなど、初めてゲストアーティストを迎えることで開かれた新しい感覚。失恋をテーマにした歌詞と涼しげでアンニュイなボーカル。すべてが今の時代の空気感とマッチした、実に2024年らしい仕上がりの一枚と言えるだろう。 HASHIMOTOSAN(ハシモトサン) ジャンルを問わずさまざまなミュージシャンを愛する音楽マニア。Itなアーティストを紹介する自身のX(@hashimotosan122)にファン多し。この春、とめどなくやってくるリリースラッシュにうれしい悲鳴をあげる日々。 2024年4月のおすすめ音楽 『What Now』 Brittany Howard ¥2,790/Island アラバマ・シェイクスのシンガーは、このセカンドでいよいよ破格の才能を全開に。ジャズにソウル、ハウスにファンクへと、新しい音楽的可能性の扉を開き、自己との対話を重ねて、歓喜の在りかを探る。 『Prelude to Ecstasy』 The Last Dinner Party 配信中/Universal Music 2024年の英国音楽界最大のルーキーといえば、美意識の高さで注目を集めるこのガールズ・バンドだ。思い切りドレスアップし、壮大で絢爛なバロック・ポップを鳴らす彼女たちは、個性も演奏力も文句なし。 『GRIP』 SERPENTWITHFEET ¥2,750/Big Nothing "ブラック・ゲイ・クラブ"をテーマにした新作を発表する、米国のシンガーソングライター。一夜のハイとロウを描く、深いブルーに包まれた曲群で、自身に居場所を与えたコミュニティにオマージュを捧げる。 【HASHIMOTOSANの"雑食"音楽紀行】をもっと読む 【フローティング・ポインツ】自宅とダンスフロア双方を揺らす、電子音楽の最先端【HASHIMOTOSANのおすすめ音楽】 【テムズ】愛と希望、苦悩を世界に届ける、アフリカの歌姫【HASHIMOTOSANのおすすめ音楽】 【クレイロ】早咲きのベッドルームポップから、大人のソウル・ジャズへ【HASHIMOTOSANのおすすめ音楽】 【チャーリー・XCX】ポップアイコンが提示する、クラブサウンドとの新たなる交差【HASHIMOTOSANのおすすめ音楽】 【ベス・ギボンズ】加齢を受け入れ、別れと向き合う葛藤と現実を歌う【HASHIMOTOSANの"雑食"音楽紀行】 【ビヨンセ】アメリカ音楽の歴史を、多様な視点で再解釈する旅【HASHIMOTOSANの"雑食"音楽紀行】