日本が誇るチームラボ。チームラボが誇る日本の美学。2018年6月に爆誕してからワールドワイドな注目を集めている「森ビル デジタルアート ミュージアム：エプソン チームラボボーダレス」が、春限定作品の公開をスタートしたそうです。久しぶりにお台場のミュージアムを訪れ、春の息吹を感じさせる作品を拝見しました。
何度訪れても異次元にトリップしたような感覚で没入できる「チームラボボーダレス」。内部は壁や床中に花が咲き乱れているイメージですが、実は季節によって写し出される花や風景が変わり、四季を感じられる空間のようです。エントランスを入ってまず、目の前に現れるのは光の滝の作品。「人々のための岩に憑依する滝」というスピリチュアルなタイトルがついていますが、天井から流れ落ちる滝が岩をつたって流れる神秘的な光景には目を奪われずにはいられません。滝の音にも癒されます。お客さんはつい滝に夢中になってしまうそうですが、実は周りの壁には季節の花々が咲いているのです。3月には黄色い菜の花が出現。巨大な菜の花を見て、かつて故郷で見た菜の花畑を思い出す方もいることでしょう。
手をかざすと花の茎がしなり、花びらが舞い散ります。そしてまた新しい花が咲く、という美しくも儚い花の命を感じることができます。自分が立っている足元を、滝からの川がよけて流れている演出も見どころ。立っていたところには次第に花が咲きはじめます。このミュージアムでは壁を触ったり何かアクションを起こすことで、花咲かじいさんばりに花を咲かせることができます。自分の行動で周りを明るくしたり、世界を変えられるかもしれない、という希望がわいてくるので、落ち込んだり無力感を覚えたときに訪れると癒されます。花を咲かせるだけでなく、壁を歩いている動物に触って振り向かせたり、落ちてくる漢字に触れると風景が現れたり、たくさんの演出が隠されていて何度来ても飽きません。各部屋でのアートの演出も毎回来る度に変化するそうです。
“地図のないミュージアム”というテーマがかかげられているので、約10,000平米の広大なミュージアム内を迷いながらも探索する楽しさが。これまで何度か訪れた中でも、たどり着けたり、たどり着けなかったりする場所があるのですが、そんな中でぜひ探し出したいマストなスポットが「呼応するランプの森」。ベネチアン・グラス製の大量のランプが、来場者の動きに反応して一筆書きで光の線を描いて戻ってきます。幻想的で美しい光景ですが、そのランプの光の軌跡を描くために用いられた数式も美しいそうで、理系の人は見たらわかるのかもしれません。
3月からはランプが桜色に輝く演出と、春の野山のような色合いの演出を体験できます。「呼応するランプの森」は大人気で、海外からのお客さんも多数訪れていたコロナ前の時期は、１時間待ちなんてこともあったそうです。でも今はほぼ日本人のお客さんしかいないので、待ち時間も少なくて入れる穴場スポットに。スタッフの方が、おすすめの映え写真の撮り方として、「ランプに手をかざすと魔法使いみたいな不思議な写真が撮れますよ」と教えてくださいました。手で触るのはNGだそうです。
「呼応するランプの森」はインスタなどに記念写真をアップするセレブが多数。セレブは教えられなくてもそれぞれかっこいい写真の撮り方を瞬時に編み出しているのがさすがです。これまでにキム・カーダシアンとカニエ・ウェストファミリーや、ベラ・ハディッドとザ・ウィークエンド、ヘイリー・ビーバー、メラニア夫人と昭恵夫人などの名だたるセレブが、ランプと共に映え写真を撮影。
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続いて海外セレブに大人気なスポットが、日本のお茶を楽しめる「EN TEA HOUSE 幻花亭」。3月下旬からはノンカフェインの六条麦茶ラテがメニューに加わります。優しい味わいのラテと、お茶の表面に咲く花を堪能。このティーハウスには、キム・カーダシアンとカニエ・ウェストファミリーやメラニア夫人と昭恵夫人も訪れてお茶を飲んだそうです。もしかしたら誰かセレブが座ったのと同じ椅子に座れるかもしれません……。館内いたるところでセレブの残留オーラが感じられます。「Oh my god!」「Love it!」といったセレブの感嘆が幻聴で聞こえてくるようです。
ちょっと前まではセレブの東京観光スポットというと新宿のロボットレストランでしたが、ここ数年は「チームラボボーダレス」の人気が台頭。そのきっかけについて伺うと、2019年にヒュー・ジャックマンがホテルのコンシェルジュに聞いてたまたま訪れて、激推ししてくださったのがブレイクの発端ではないか、とのことでした。『グレイテスト・ショーマン』のプロモーションで来日したのでしょうか。当時インスタで「東京を訪れるなら…チームラボボーダレスは絶対に素晴らしいです!」と書いていたのを発見。その感動はセレブ仲間にも広がり、ウィル・スミスも訪れて「チームラボ is TRUTH!」とリコメンド。他にもケイティ・ペリー、リアーナ、ヘイリー・スタインフェルド、ミランダ・カー、ジャスティン・ビーバーなどたくさんのセレブが「チームラボボーダレス」を訪れ、写真を投稿したりしていて、宣伝効果に換算すると何億円にもなりそうです。いつかコロナが沈静化したら……またセレブや海外のお客さんが戻ってきてくれることと思います。それまでは、日本人客の１人として、時々この施設を訪れて守っていきたい気持ちです。セレブの残り香と最先端アートを吸収しながら……。
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森ビル デジタルアート ミュージアム：エプソン チームラボボーダレス
開館時間などは季節で異なるので、HPでチェックを。
2月全日 11:00～17:00
3月平日 11:00～17:00 土日祝 10:00～17:00
※EN TEA HOUSE 幻花亭は、施設開館1時間後から営業。
ラストオーダーは施設閉館の30分前
※ 最終入館は閉館の1時間前
※開催日時などにつきましては、新型コロナウイルス感染症の発生状況により、変更の可能性もあるので、念のため下記HPなどでご確認ください。
会場：森ビル デジタルアート ミュージアム：エプソン チームラボボーダレス
住所：東京都江東区青海１-３-８ お台場パレットタウン２階
https://borderless.teamlab.art/jp/
漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』（祥伝社文庫）『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか 』（PHP研究所）『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』（光文社新書）『妙齢美容修業』（講談社文庫）『辛酸なめ子の現代社会学』（幻冬舎文庫）。Twitterは@godblessnamekoです。
