対象の美を際立たせる“新しい具象画”。「エリザベス ペイトン:Still life 静/生」、原美術館で開催中

東京・品川の原美術館にて、アメリカの女性画家、エリザベス・ペイトンの個展「エリザベス ペイトン:Still life 静/生」 が始まった。90年代半ばにシーンに登場し、憧れのミュージシャンや歴史上の人物、身の周りの人物、文化的なアイコンなどを対象とした肖像画で一躍注目を集めたペイトン。透明感溢れる独特の色彩や繊細な線で捉えた人物像は、“新しい具象画”として高い評価を集めてきた。

Kurt Sleeping

1995 板に油彩 27.9×35.6 cm Private Collection, New York

© Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin 

日本の美術館では初の個展となる今回は、ペイトンが最も多く手がけてきた肖像画から静物画まで、また油彩画から版画まで、多岐にわたる作品42点が並ぶ充実の内容に。華やかな女性遍歴でも知られた太陽王ルイ14世や、狂王と呼ばれたルードヴィヒ世、その彼に寵愛された作曲家のリヒャルト・ワーグナーといった歴史上の人物から、ニルヴァーナのカート・コバーンやザ・リバティーンズのピート・ドハーティなどのロック・スターなどの肖像画まで。さらに、お気に入りの映画のスチールから描き起こしたと思われる作品や、近年彼女がインスパイア源としているオペラの場面を描いた作品、そして最近よく描いているという静物画までが並ぶ。ウジェーヌ・ドラクロワやギュスターヴ・クールベなどの作品を参照した作品もあり、四半世紀にわたる彼女のキャリアを一望できる絶好の機会となっている。

Georgia O‘Keeffe after Stieglitz 1918」

2006 カンヴァスに油彩 76.5×58.7cm Collection David Teiger Trust

© Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London; Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin 

1938年竣工の原美術館の美しい建築空間と、ペイトンの瑞々しい表現が見事にマッチした本展。選ばれた作品はすべて彼女にとって大きな意味を持つものばかりだという。モデルや主題に寄せる彼女の想いを感じ取りながら、作品とゆっくり対峙してみて。

INFORMATION

「エリザベス ペイトン:Still life 静/生」

会場:原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
会期:~57日(日)
時間:11:0017:00(祝日を除く水曜は20:00まで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(320日は開館)、321
入場料:一般1,100円、大高生700
電話:03-3445-0651

http://www.haramuseum.or.jp/

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