19歳で英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少男性プリンシパルとなったSergei Polunin(セルゲイ・ポルーニン)のパーソナル・ポートレート。途方もない才能に恵まれ、スターになるべくして生まれたポルーニン。だがバレエ界のしきたりの厳しさや、スターダムの重圧で自滅の淵へと追い込まれてしまう。様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲『Take Me to Church』のミュージックビデオだった。本人や家族、関係者のインタビューから、彼の本当の姿が見えてくる。
19歳で英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少男性プリンシパルとなったセルゲイ・ポルーニンをご存知だろうか。本作は無類の才能を持つ彼のパーソナル・ポートレート作品だ。
途方もない才能に恵まれ、国際的なスターになるべくして生まれたと言っても過言ではないポルーニン。しかし彼はプリンシパルになった2年後、人気のピークで電撃退団してしまう。バレエ界のしきたりの厳しさや、スターダムの重圧で、青年・セルゲイの心は傷つき、自滅の淵へと追い込まれてしまったのだ。そのニュースは国内のみならず世界中を駆け巡り、バレエファンたちに衝撃を与えた。
オリンピック選手を目指していた6歳の頃から、ロイヤル・バレエスクール時代の練習風景、さらには彼の家族や友人、同僚へのインタビュー、舞台風景から彼の暮らしまで、その人生を余すことなく映し出している。
もちろん、セルゲイの感情表現豊かなダンスシーンもたくさんちりばめられている。そのどれもが息を飲むほどに美しい。その中でも特に注目したいのが、写真家デヴィッド・ラシャペルが監督を務め、ポルーニンが踊ったホージアの楽曲『Take Me to Church』のミュージックビデオ撮影を収めたシーン。彼がこれまで生きてきた苦悩と、かすかな光を表現したこの作品は、You Tubeで1800万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだのだ。
類い稀なる才能に恵まれながら、それを持て余してもがき苦しみ、一度はバレエを捨てたポルーニン。今、再び踊ることで観客を魅了している彼の素顔に迫る傑作!
『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』
監督:スティーヴン・カンター
『Take Me to Church』演出・撮影:デヴィット・ラシャペル
撮影:マーク・ウルフ
出演:セルゲイ・ポルーニン、ガリーナ・ポルーニナほか
現在、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国随時公開中
http://www.uplink.co.jp/dancer/
text:Misato Kikuchi