この夏、新潟で2つの国際芸術展が開催中。1つは新潟市内で開催中の「水と土の芸術祭2018」、もう1つは越後妻有全域を舞台にした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」。アートを堪能しつつ、地元の人と触れ合ったり、美味しいご当地グルメを楽しんだり。晩夏の旅のデスティネーションにぴったり!
アートな夏旅のデスティネーションとして、今年訪れたいのは新潟。新潟市内では「水と土の芸術祭2018」が、また越後妻有では「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」が開催中。いずれも3年に一度開催される、地域と一体となったアートの祭典だ。
2009年に始まった「水と土の芸術祭」は、信濃川と阿賀野川の河口を有する古くからの港町・新潟市が培ってきた地理的・文化的な特長を、国内外のアーティストとともに世界にアピールしようというもの。アートプロジェクトには長年国際的に活躍する彫刻家の青木野枝や遠藤利克、ベルリンを拠点に活動し、2015年にヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表作家となった塩田千春、同じく2017年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表作家で、今最も注目を集める若手作家のひとり岩崎貴宏、チェンマイと福岡を行き来しながらコミュニティに根ざした作品を制作するナウィン・ラワンチャイクン、映像や絵画などさまざまなメディアを使って社会と個の間に生まれるさまざまな事象を表現する潘逸舟などが参加している。
また、地元のクリエイターによるアートイベントなどの市民プロジェクトも多数。メイン会場の万代島多目的広場に新潟の美味しいものを載せたキッチンカー「みずつちカフェ」が出店したり、地元の料理人が厳選した採れたての旬野菜を販売する「Chef’s マルシェ」がメイン会場と新潟駅西側連絡通路で展開されたりと、食の楽しみもたくさん。子ども向けのワークショップも多数用意されているので、子ども連れでも楽しめそうだ。
一方、十日町市と津南町を舞台に2000年に始まった「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」には、今回も新作がいくつも登場。なかでも、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]で見られる、森美術館での大規模個展も記憶に新しいレアンドロ・エルリッヒによる「Palimpsest: 空の池」や、MADアーキテクツが手がけた、越後妻有を代表する名所のひとつである清津峡渓谷トンネルのエントランス施設とトンネル施設、そしてそこで展開される同事務所のメンバーの一人、マ・ヤンソンによる作品「ペリスコープ」「ライトケーブ」などに注目。エントランス施設にはカフェや足湯も!
また、前出の[キナーレ]では企画展示「2018年の〈方丈記私記〉~建築家とアーティストによる四畳半の宇宙」も。伊東豊雄建築設計事務所、KIGI、GRAPH + 空間構想、ドットアーキテクツなど気鋭の面々が、鴨長明に倣い、2.73m四方の小さな空間から、旧来の価値観が崩れゆく現代における新たな可能性を考えるというユニークな試みだ。会場にはさまざまな用途で考えられた小さな空間が村のように並んでいるが、今後、このプロジェクトが市街地の空きスペースに展開していく可能性も秘めているというから楽しみ。
演劇仕立てで料理をサーブしてくれる「越後妻有『上郷クローブ座』レストラン」や、「里山ビュッフェ」が楽しめるまつだい「農舞台」内の「越後まつだい里山食堂」など、こちらも食のスポットがいっぱい。車で回るのが便利だけれど、さまざまなコースを巡るバスツアーもあるので、ぜひ公式サイトをチェックして、旅の計画を立ててみて。
「水と土の芸術祭2018」
http://2018.mizu-tsuchi.jp/
会期:〜2018年10月8日(月・祝)
会場:新潟市内全域/メイン会場:万代島多目的広場(大かま・屋外広場)、 サテライト会場:ゆいぽーと 新潟市芸術創造村・国際青少年センター ほか
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」
http://www.echigo-tsumari.jp/triennale2018/
会期:〜9月17日(月・祝)
会場:越後妻有地域/拠点施設:越後妻有里山現代美術館[キナーレ]、まつだい「農舞台」、越後松之山「森の学校」キョロロ、鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館 ほか
作品鑑賞パスポート(当日):一般¥3500、大学生・高校生・専門学校生 ¥3000、中学生以下無料
text : Shiyo Yamashita